4.《ネタバレ》 北野武版『81/2』という感じなんでしょうけど、自分版『81/2』を撮った映画作家たちは芸術性の行き詰まりをテーマにとしているのに、「どうしたらウケる映画すなわちヒット作が撮れるか?」というどの映画監督も悩んでいるけど口に出せないことを赤裸々に語っちゃうところが武らしいです。小津風、文芸作品、昭和回顧、ホラーもの、忍者映画、と構想練るものの次々に失敗する展開はなかなかの抱腹ものです。武登場シーンのほぼ半分はたけし人形に代役させるのも傑作で、もうこの人は映画に出て演技するのが嫌になっちゃったんじゃないかと勘繰りたくもなります。このまま続けば楽しいのに、SF編になってからは訳の分からない展開で、けっきょく『みんな~やってるか!』とおんなじ様なパターンとなってしまいました。私はたけし軍団の中では井出らっきょが特に嫌いなので、途中から見ていて苦痛でなりませんでした。最近は地上波でもやらない様なセンスが悪いギャグを延々と見せられた挙句の小惑星の地球激突、これがSF編だったことをすっかり忘れていました(笑)。 まあこんな悪ふざけをお金を払った観客に見せつけた末に、「やっぱバイオレンス映画しか受けないんだ」と気が付いて『アウトレイジ』を撮るわけですが、もっと早く気づけよ!