12.《ネタバレ》 「幽幻道士」シリーズのテンテンちゃんが出演しているのは知っていたが、今回は映画全体が台湾との関連で作られていて、話に出るだけでなくちゃんと台湾ロケを敢行していたのが意外だった。映像的には猥雑な東南アジア的イメージで見せているようだったが、完成直後の「台北101」という当時世界一の超高層ビルもちゃんと映っている。山際の傾斜地にある「虎林街272巷」という寂れた街は実在のようだった(台北市信義区)。なお劇中の老婆が日本語を話していたのは戦前生まれの設定だからと思われる。
内容的には、最初の陰鬱な雨の場面には期待させられたがその後は別に怖いところはない。中盤で台湾に行ってからは普通のサスペンスドラマのようだったが特に旅情を誘う場面はなく、終盤の炭鉱場面(北海道で撮影)はやたらに出たり入ったりで大してスリリングでもない。薄っぺらい人間ドラマも白々しいので泣く気にならず、アクセサリーを落として拾って落として拾う展開も大概だった。
設定に関しては、かかってきた電話を取った他人も被害者になる、という法則を新たに加えてラストに生かしていたが、しかしそもそも携帯電話を呪いに使う必然性がいつまで経っても感じられない。携帯電話の前は固定電話(公衆電話)だったのはいいとして、さらに遡って戦前の台湾(伝染病の後)では何か別のものを使っていたのかも説明されていないのではないか。何にせよ小学生くらいの児童が普通に使える通信手段でないのでは基本設定に無理があるというしかなく、どこまでも適当感のあるシリーズである。
ちなみに序盤で主人公がコンタクトを外してからの出来事は何だったのか。また前回の洗濯物(回想場面でまた出ていた)と似た印象の場面として、主要人物の前面をホールスタッフが横切ってお辞儀したのが目立つ割には意図不明だったが、こういうのも原作では何か意味があったのか。
出演者について、テンテンちゃんは当然もう美少女ともいえないが昔の面影は残している。この人が無惨に殺されるのは日本国民が受け入れがたいだろうという配慮があったのか、代わりに日本人役者のオヤジが死んでいた。ちなみにブタも安らかな顔で死んでいた。
ほか台湾で出た子役がコミカルな演技をしていたのは笑った。