4.《ネタバレ》 黒澤監督が戦前の軍国主義の国威発揚映画を撮っていたという、歴史的価値だけで見た。
こんな脚本、選曲しか駄目だったという当時の情勢でどう仕様も無い事情が大きい分、黒澤監督の画面構成や編集技術の卓越した力が素で一番良く分かる作品かもしれない。
今、背景が分かってこの映画を観る分にはいいが、監督の技術一つで人間の感性に訴えることができるものが、このような時代背景の時に公開されたことに、怖さを感じてしまう。
同じような時期に、ハリウッドではすでにたくさんの名作が作られているが、日本も黒澤監督にこんな作品を撮らせてしまうような時代背景がなければ、充分に娯楽として質の高い映画がつくることができたのにとと惜しくてならない。
映画の歴史や黒澤監督の凄さを知る上では貴重な映画だと思うが、本来の「映画」として個人的に楽しめたかどうかという評価は0点。