1.《ネタバレ》 恋人の影を追って水筒を持ち歩いたり、巨大スナメリビニール人形に水を詰めて町に出たり。私はそういう子、嫌いではない。むしろ興味津々に話しかけたりするかもしれない。自分が周りからどう見えるかほとんど考えていないところは、少し怖いですが。でも周りからどう思われようが、気持ちが走って隠しようがなくなるのはとても理解できる。笑顔で会話なんてできなくなるし、仕事も手につかなくなるし、常に塞ぎ込んで楽しい気持ちになんて一ミリもなれない。様子がおかしいと励まされたり声をかけてもらっても、頭の中はそのことしかなくて。愛想笑いくらいしても心は全然別のところにあって、そんな状態が何年も続く。
ずっと一緒にいる、何年経っても何十年経っても、というセリフに縛られながら、でもミナトとの訣別を迫られるし、なんなら自分でもそうしなければいけないということを理性ではわかっている。でも感情がそうはいかない。そんな葛藤を感じられる映画でした。
アニメだから成立していることがたくさんありました。死んだ恋人が水に投影されるだけならともかく、落とした携帯がエレベーターのように水に持ち上げられたり、ビル一棟がまるまる水に囲まれてその屋上からサーフィンとか、アニメじゃないとあり得ないですね。上述したスナメリ人形の持ち歩きなども、情景としてリアルならおそらく見れたもんじゃないだろう。良くも悪くも、アニメだなと実感しました。
水の前で特定の歌を口ずさむとミナトの姿が現れる、逆に言うと歌わないと現れない。その設定のせいで少し歌が耳タコでした。例えば歌によってひな子のおじいちゃんが出てくるとか、顔も知らない誰かが出てくるとか、バリエーションがあったらまた違う面白さがあったかも。少し話が一本槍すぎたかな。