1.《ネタバレ》 オリジナルを見る度に疑問に思っていたなぜビッグライトを使わないのかということに対する説明や、映画に登場してもいつも冒険には不参加の出木杉に対するフォローがしっかりされているところは素直に嬉しかったし、脚本的にもおおまかにオリジナルの流れを踏襲しながら、それでいて本作オリジナル部分も違和感を感じることなく盛り込まれていてよく出来ていたと思う。とくにオリジナルキャラクターのピイナの存在がうまく活かされていて、この存在のおかげでパピのキャラクター性が高まっていて、恐怖心や子供らしさといったのび太たちとなんら変わらない少年らしい部分をうまく描き出すことに成功しているし、パピの演説がピリカ人たちの蜂起につながるクライマックスの構成はオリジナルよりも説得力があり、とても良かったと思う。ドラコルルは本作でも知的な策士として描かれているが、それ以上に単なる悪役に収まらないような人間味が強調されて描かれていて、ギルモアの忠実な部下である軍人でありながら、心の中では決してこの戦争を望んでいるわけではないと垣間見えるところや、ジャイアンに捕まって降伏するかわりに部下の安全を保障するようドラえもんに頼むシーンなどはドラコルルの部下に対する思いのようなものが伝わってくるし、その直前の副官の行動もドラコルルの人望の厚さをじゅうぶん物語っている。特撮映画が題材の一つということもあってか、実際のミニチュアセットを合成したシーンもあるのはなかなかだし、それによって劇場版らしい迫力も増しているように感じる。欲を言えば映画撮影のシーンでピシアの戦艦を故障させるのはジャイアンであってほしかったところで、オリジナルで楽しかった映画のパロディーがほぼ無くなっているのが少し残念に思うのも本当のところなのだが、それはまあ些細なことかもしれない。挿入歌の「ココロありがとう」はオリジナルで「少年期」が挿入歌として流れるシーンで流れるのだろうと思っていたら、違ったのでちょっと意外に感じた。