44.《ネタバレ》 “Driving Miss Daisy”『人使いの荒いデイジーさん』。アカデミー作品賞受賞作。 当時映画に興味を持ったばかりの私は、アカデミー作品賞とは『その年の数ある(アメリカ)映画の中で優勝を勝ち取った映画』が受賞するモンだってイメージを持っていました。優勝って、つまり一番すごい作品が勝ち取るモンだと。すごい問題作。すごい壮大な作品。すごい話題作… なのに、俳優もテーマも地味なこの作品が、大きな大事件が起きるわけでもないこの映画が、しかも前年のレインマンとちょっぴりイメージが被るロードムービーが、何で優勝したんだ??何だろ?アカデミー作品賞って?って、謎が膨らむきっかけとなった作品です。 この映画、歳を重ねる度に好きになっていきます。たった99分の作品なのに、デイジーとホークの半生が、ゆったりとした心地よい時間とともに流れていきます。のちのち笑い話になったであろうサケの缶詰事件。デイジーのツンデレっぷりが可愛らしいクリスマスの贈り物。恐怖、アラバマの路上で一人ぼっち。安らかな日常生活のまま穏やかに迎えたアデイラの死。老後のドラマとしてこのくらいのハプニング、事件が丁度いい、これくらいが良い。 デイジーは食卓で食事をし、ホークはキッチンで食事をする。それが主従関係。アラバマの道中もデイジーは車内、ホークは外。それが彼らの立場。人種の壁が生んだ立場。明らかな差別を受ける黒人と、目に見えぬ差別を受けるユダヤ人。二人の間に徐々に生まれる友情。ホークがデイジーと同じテーブルに座り、パイを食べさせるのに要した時間は30年。 このゆっくり、ゆったりした映画、人種間の見えない壁。生まれた時から知らずに出来ていた壁。それが壊れていくのに必要な時間を解りやすく観せてくれる。30年だって。 SDGs?2030年までに実現可能?ハァ?だよね。 あ、私にとってアカデミー作品賞の基準って、今でも謎です。多くの受賞作品を観るたび、むしろ謎が深まってます。 【K&K】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2023-03-28 22:17:29) |
43.《ネタバレ》 アメリカの黒人ラッパーには、この映画が大嫌いだと公言するのが多いそうです。まあ彼らの言い分も判らなくもないです。たぶん、出てくる黒人キャラはみな従順でいかにも50年代に南部人が理想とする黒人像でしかない、と文句を付けているんだろうと思います。たしかにキング牧師は話の中に出てくるけれども、従順ではなかった黒人たちが戦った公民権運動については全く触れられてはいません。というか、30年に及ぶストーリー展開でも政治に関する描写はほとんどなく、それは脚本家があえて選んだストーリーテリングじゃないかと思います。その代わりにミス・デイジーと彼女を取り巻く限られた人たちだけの小宇宙にストーリーを限定した脚本、そしてホークが運転する車の変遷を巧みに織り込んで南部黒人社会の歩みを観客に理解させる巧みさは脱帽です。知的ではあるがユダヤ人としてのアイデンティティに頑なに固執する母親、宗教には無関心でキリスト教徒と結婚して一緒にクリスマスを祝うリベラルな息子、とジェシカ・タンディとダン・エイクロイドの親子関係も緻密に計算されています。聞くところによると南部のユダヤ系白人は伝統的に黒人差別意識が強かったそうでミス・デイジーはその類型からはちょっと外れているようにも見えますけど、黒人使用人に接する態度は日本人にはとても尊大に感じます。たとえが悪いかもしれませんが、それはまるでペットや家畜をしつけるような感じで、そんなデイジーが最後にはホークを大切な友人として慕うまでになる、これはミス・デイジーの成長物語でもあるわけです。 映画の出来は別にして、アメリカ南部を舞台にした映画には不愉快な気分にさせられることが多いのですが、本作では「人間っていいなあ」としみじみ感じることができました。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-10-03 23:14:23) |
42.《ネタバレ》 人種差別。貧富の差。老い。 様々なテーマを抱きながら、デイジーとホークの人間関係の在り方は、そういった諸問題をあっけなく超越していきます。 二人の関係は、最も単純な人と人との関係。 その関係を象徴するデイジーの「あなたは友達よ。」のたった一言のせりふ。 泣きそうです。 難解になりそうなテーマに、起伏の穏やかなストーリー。 にもかかわらず、堅苦しくならないのは、ひとえに二人の役者さんの演技がすばらしいのと、脚本なのかなぁ、と素人ながらに感心。 お墓のシーンやラストシーンは特にぐっときます。 もはや運転手ではないホークに、「あなたはまだお給料をもらっているの?」と尋ねるデイジー。 真偽のほどはともかく「はい。」と答えるホーク。 ああ、この人はたとえ車を運転していなくても、ずっとずっとデイジーの運転手なんだと気づきました。 もし本当にお給料をもらっているのだとしたら、ブーリーもなんて素晴らしい息子なんだ! 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-06-02 12:20:55) (良:1票) |
41.人生ってシンプルでいいんだ。運転手を必要とする者と、仕事を必要とする運転手がいれば雇用成立。最初のBと最後のRが分かれば、バウアー解読。感謝祭にはサンクスギビングパイを食べる。それでいい。それが人生。 【ちゃか】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-05-23 17:46:48) |
40.悪い人が一人も出てこない映画がだった。 こういう友情もきっとあるんだな。 読み書きを教えながら仲良くなっていくのかと思ったらそうでもないし、 どこかがすごく盛り上がるわけでもないけど、 アラバマに入ったあたりの雰囲気はとてもよかった。 もっと年をとってからまた観てみたい。 |
39.公開当時80歳のジェシカ・タンディとモーガン・フリーマンによるユダヤ系老婦人と黒人使用人の心の交流と長年に渡る半生を寒い朝に頂くホットコーヒーのように温かくゆったり、ほのぼのと描かれて癒させられました。息子役のダン・エイクロイドも爽やかで味わい深い。 【白い男】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-01-03 01:12:18) |
38.長い年月を100分足らずの間に見せるのでどんどん時代が変わっていきます。もう少し時間が長くなってもいいので一つ一つのエピソードをもう少しじっくりと見たかったと思います。その点だけが残念でした。それ位ジェシカ・タンディとモーガン・フリーマンの二人の演技が素晴らしく深い味わいがありました。この二人に絡むダン・エイクロイドの孝行息子ぶりも微笑ましかったです。老いとは何なのか考えさせられると同時に家族や、生涯付き合える友人の大切さを考えさせられます。そして本作のモーガン・フリーマン演じるホークのように年をとれれば幸せだろうな、としみじみと思わされました。 【とらや】さん [映画館(字幕)] 8点(2008-12-09 22:00:19) (良:1票) |
37.《ネタバレ》 微笑みながらパイを食べさせるホーク。微笑みながら食べるデイジー。この映画の製作に関わった人達はみんな優しい心を持っているんだろうな。(43歳) 【カスミン】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2007-08-04 22:14:23) |
36.この作品は、こういうダラダラとした日常を綴ったものとしては珠玉のものですね。気の利いた会話、ユーモアとペーソス溢れるやり取りの数々。この手の作品でコレを上回るものってそうない(似たクサイのも沢山あるけどどれも退屈だったり理屈っぽかったり独りよがりだったり、です)。ザッピングでうっかり通りかかったら絶対そのまま観続けちゃう作品。これはワタシ的には映画に捧げる最大級の賛辞です。 【ぞふぃ】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-05-23 17:08:04) |
35.いい映画だなぁ。モーガンフリーマンの演技もジェシカタンディの演技もすごい。2人の気持ちが通じ合って行くところは勿論秀作だけど、結局息子ってなんだかんだで自分の母親に似た女性を選ぶのか、みたいな、そういう随所の細かい描き方もヨカッタ。 【あしたかこ】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-09-30 01:41:43) |
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34.へーーーー。 素敵な映画ですねぇ。 いやぁ、こういうテンションの映画をじっくり楽しめるなんて自分も大人になったなぁと、そんな気にしてくれました(笑) 公開当時に観てたら「辛気臭い映画だなぁ」と思ったかもだけど(笑) 人種も地位も立場も主義も性別もまったく違う2つの「個」が、ゆっくりと打ち解けていく過程が本当に心地いい。 もちろん色んなテーマを含んでいるんだけど、それらを過激な手法にたよらず、淡々と、でもしっかりと紡いでいく。 こんなに素敵な映画だとは思わなかった。 本当に丁寧に作られていて感心した。 しかしあれですね、日頃退屈だと思える「日常」を、こんなふうにゆっくり噛み締めてみるべきなのかもしれない。 「老い」って結構素敵なことかもしれません。 お気に入りの一本になりました^^ 【とっすぃ】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-01-22 21:16:15) (良:1票) |
33.ダラダラした展開で、抑揚がほとんどないストーリー。なにがいいのかさっぱりわからない。……なのに、見終わったとき、涙がこぼれていました。今、思い返しても面白い映画だとは思えないし、もう一度見たいとも思わない。でも、すごく好きな映画ですし、いい映画だと思います。すごく不思議です。こんな映画は他にはありません。 のちにこの作品がアカデミー賞を獲ったと聞いたとき、素直に「ああ、やっぱりなぁ」と思えました。 【zinny07】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-10-31 21:16:59) |
32.お墓のシーンがいいですね。あそこでグっと二人の距離が縮まったのでは ないでしょうか? 人間誰でも年を取るんだよなぁ~。 【あずき】さん 8点(2005-03-15 15:25:47) |
31.こういう心温まる映画いいですねぇ。100分ぐらいの映画だと思うけどその100分間の2人のやり取りを見ただけでも2人の人生がすごく素敵なものだったんだなってなんとなく想像できました。 【ゆきむら】さん 8点(2005-03-11 22:56:55) |
30.題名がすばらしい駄洒落だ。独身女性を呼ぶ際に使うMissと失敗したときとかに使うMissが掛かっておるではないか!。つまりは「ドライブをしているデイジーさん」とも「車の運転を失敗したデイジー」とも取れる題名なのだ。さらにはドライブとは「追い出す」という意味もあるので「(モーガンフリーマンを)追い出す事に失敗したデイジー」とも取れるのだ!。3つですよ!3つも掛かってますよぉぉぉぉぉ!。 【膝小僧】さん 8点(2004-07-14 23:32:58) (良:1票)(笑:1票) |
29.日曜日の午後に何も予定が無くなんとなく時間が空いたから観るぐらいがベスト。アカデミー賞ものだからといって構える必要も無く半分寝てみるぐらいがちょうどいいんじゃないですかね。ただ言うことはひとつモーガン・フリーマンは良かった。 【tetsu78】さん 8点(2004-06-12 22:24:32) |
28.ときどき場所が変わるだけで、飾り立てるものは何も無い。デイジーとホーク2人の会話、たったそれだけなのに…急に悲しくなったかと思えば、次の瞬間には暖かい気持ちになっていたりする。会話だけで観客を魅了する、素晴らしい映画です!(お○ぎ調) 【SAEKO】さん 8点(2004-04-02 17:25:01) (良:1票) |
27.頑固なデイジー、そんな彼女を暖かい眼差しでいつもで見守るホーク、最後のシーンはとても温かく涙しました。温かいだけの作品ではなく所々に人権問題や老いに関する問題が含まれていたところがこの作品の良い部分だったと思う。 |
26.高齢者の自立が云々言う前にこれはアメリカ版親孝行ストーリーですね。息子の厄介にはなりたくないというデイジーさんの意地はわかるけれど、運転手を雇えるような金持ち、しかも親思いに息子を育てた母ちゃんの勝ちですよ。全ての老人がこのとおりにいくわけはないけれど親子間の情愛は本当に良く伝わってきました。運転手が鮭缶を盗んだの盗まないのでもめる場面のオーバーな演出は爆笑ものでしたが、これも息子が財布からお札を取り出して「これで鮭缶買ってきな。」と水戸黄門よろしく解決・・・でも運転手のほうが上手だったりして・・・。親孝行に関してはどの民族も同じのようでユダヤ人が特別だという話も聞かないし、主人公がユダヤ人だということに何か意味があるのかと考えてみましたが、多くのユダヤ人は何十世代もの間、他の民族と商売をしてきたので商売相手や使用人を外見ではなく中身で判断する伝統があるのではないでしょうか。運転手が文盲だとわかってもデイジーさんは動じないでしょう・・・。運転手は運転手として優秀ならばそれでいいのです。ストーリーの舞台、アメリカのジョージア州はいわゆるディープ・サウスといわれる地域で、子供の頃に学校に満足に行けなかった文盲の人が珍しいくないそうです。人間はいつかは死ぬのだけれど、ずっと生きていて欲しいと思うような高齢者が近所にいるので身につまされました。自分の親のことに至っては年金をもらう年になっても高齢者だとさえ思いたくないのがどら娘である私めの本音です。 【かわまり】さん 8点(2004-03-19 14:01:35) |
25.缶詰の出来事が一番好き。後は面倒なので省く。 【taron】さん 8点(2004-02-23 12:25:59) |