2.《ネタバレ》 予告編を見た限りでは、もっとシリアスな映画だと思っていたのですが、タイトルバックがバカ臭さ丸出しだったので(カッコつけまくった映像もバカっぽかったのですが、そもそも日本映画なのに英語で役者名やスタッフ名を出す映画は大抵バカ臭い映画ですね)、これは「そういう映画」なんだと早々に頭を切り替える必要がありました。
でも結局最後までそのバカ臭さを受け入れる事ができず。
スパイものとして致命的なのは主人公がヘボいんです。情に弱いスパイだと語られておりますが、それ以前に公私の区別が付けられず、任務をマトモに遂行する能力が無いお馬鹿さん。で、脚本がそのお馬鹿っぷりに合わせるようにヌルく作られているので、大変に腑抜けた映画で。
クライマックスなんて「偶然」や「運」に助けられまくる状態で、そんなモノに一体なんのサスペンスが生まれるっていうんでしょ? 馬鹿がテキトーにやっても補正かかって生き延びられる世界ではサスペンスなんてものは無効ですからねぇ。
で、そんな弛緩した世界で音楽だけが大仰にサスペンスを盛り上げようと必死なものだから可笑しくて。画面と音楽とがまるで調和してないの。
基本的には大変にヌルい娯楽映画でした。後々カルトな人気が出そうなニオイを漂わせつつも、そこにちっとも手が届かなかったのはバカ臭いなりの尖った個性を持たせる事ができなかったからでしょうか。アクションにしろ衣装にしろガジェットにしろ「この時代設定にこの題材ならばこの程度」という枠の中でしか物を作れなかったような感じが漂っています。どこかしら突き抜けていれば、まだ面白くなったと思うのですが。
それにしても政治的に危ない題材がポロポロと出てくるあたりは誰かを刺激したいのか、それとも無自覚にやっているのか。大戦当時を舞台にしたフィクションだけれども、今に直結している事柄が色々あって「娯楽映画だから」って逃げられるレベルのモノかなぁ?って。「完全に日本国内のみで完結させる映画」として作ってるのかしら?