156.最初に観たのはテレビ放送で中学の頃だったと思います。部屋で一人で観てボロボロ泣きました。それから二十数年の間に何度も観ていますが、今でも胸が詰まります。物書きと会って遊び回るくだりが、現代から見るとのっぺりしてだるく感じますが、そこを除けばテンポの悪さも感じません。「七人の侍」でボスを演じた志村さんが、この作品で全く違う男を演じて、この映画で初めて役者ってすごいなと思いました。公園で倒れて水を飲むときの子供のような瞳が忘れられません。生きることの幸せをどこに求めるか、それを「家族」とか「仲間」とかいったものに求める物語もあるけれど、この物語の主人公は息子に心の拠り所を求めるのもやめ、職場の仲間たちと目的に向かって心一つにして盛り上がったというわけでもなく、惹かれて止まない女性とも「ハッピー・バースデー」の歌のなか卒業し、自分の生きる充足感を決して他人に求めませんでした。二階から声をかけた息子のもとへ駆け上がりかけたものの、あっけなく「おやすみなさい」と明かりを消され置き去りになった主人公が、息子に何も語り残すことなく自分一人の「生きる」道を黙々と進み切った姿はカッコいいなと思います。ケータイをカチカチ常に誰かと繋がっている気分でいたい人たちにも、もし心に穴があるなら、この主人公の心のベクトルは穴を埋めるヒントになるかも。といっても「七人の侍」でも、この映画でも、ラストには「人は簡単に変われない」って姿が示されますが、そこを「そうそう、みんなそうなのさ」と甘えるか「自分はそうなりたくない」と願うか、それも生き方。大感動のままで終わらせないシビアな終わらせ方もニクイです。 【2014/7/23追記】ずっと引っかかっていることがあります。とっても小さなことなんだけど…主人公が夕日を見て美しいと感激する場面です。あの場面ですぐ「私にはそんな暇はない」みたいに歩み去りますけど、なんかそこに引っかかっちゃうんです。ラストで別の人が同じ場所で夕焼けを背景に立ちますから、それとなく意図することはあると思いますが「そんな暇はない」は足引っ張りに対してだけにして欲しかったかなー。僕も癌だけど、生きる残り時間のことについて思うのは、ストイックすぎるこの映画より、『ブレードランナー』だったりするのが不思議。 【だみお】さん [DVD(邦画)] 10点(2009-11-02 23:54:29) (良:1票) |
155.いろんな評判を聞いて期待しすぎたせいか、大病を煩った生死の境をさまよった経験が無いせいか、いまいち主人公に感情移入ができなかったため、面白くありませんでした。 特にあの有名なブランコのシーンでは、「あれっ?泣けないぞ?やべっ、どうなってんだ?」って焦ってしまう始末。 それと、公務員の体質って、昔も今もそんなにかわらないんですね。 【MANSON】さん [DVD(邦画)] 4点(2009-09-04 01:20:20) |
154.志村喬の演技が、もう演技に見えない程光っていました。混沌とした時代の映画ですが、今改めて見ると凄く新鮮で、夜の街のシーンなんかもう日本とは思えませんでした。カラーがあれば見てみたいです。後半の通夜の席の話は若干冗長でしたが、『12人の怒れる男』のような展開は面白かったです。全体を通して、とても切ない映画でした。色んな人に見て欲しい映画。 【Fukky】さん [DVD(邦画)] 10点(2009-08-26 17:32:37) |
153.この世に生きた証を残して,最後は笑って終われる人生ってとてもすばらしいと思う。お気楽に毎日を過ごしている自分の生き方が,映画一本見たくらいで急に改まるなんてことはないけれど(それで変わるくらいなら,とっくの昔に変わってる),こういう映画と出会うことで確実に心には何か残っている。自分の「その時」がいつかなんてわからないけど,その時までに少しでも成長した自分でありたいと思う。志村喬のしぼり出すような歌声が,心に響きました。 【さそりタイガー】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-06-28 01:04:18) |
152.元ネタはゲーテの『ファウスト』なんだろうけど、日本を舞台にした現代劇として、確かにうまくアレンジされている・・・しかし「うまくアレンジ」と言いつつも、何か釈然としないものが。いや、私が『ファウスト』を深く理解しているとか、真髄をつかめているとか言う気はさらさら無いんだけど、少なくとも「多分、この方向に、これより“上”は無いんだろう」という感触(あるいは、畏れ)くらいは持っている訳で。これを“換骨奪胎”という言い方で納得してばかりもいられない。多分、本作の「作りこみ過ぎ」あるいは「語り過ぎ」の面に、引っかかるものがあるのだろうか。この映画の、ウマさとクドさ。確かによく出来ていると大いに感心させられはするのだけど、そして目を引く印象的なシーンも多いのだけど、全体を通したときに、一番印象に残ってしまうのは、“作為”に他ならない。「必要性」と「十分性」のバランスが、前者に傾いてしまったときの、危うさ。そしてもうひとつ。これらの事と、本作のテーマの重さとの間の不釣り合いが、気になってしまうのだ。私もそこそこ歳くってきて、それなりに人の生死にも関わる機会があり、それも思わぬ形で関わってしまうものなのです、これがホントに。だから、だから。いややっぱり、この映画は、とても良くできた映画、ということで、いいのかもしれない。ただ、私は『生きる』ではなく『死ぬ』として、この映画を観てしまう。いっそ、中盤の歓楽シーンが延々と続いた揚句、何の前触れもなく主人公が死んでしまう、そんな映画を観たいのかも、知れない。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-05-09 12:16:23) (良:2票) |
151.志村喬、凄すぎます。黒澤ヒューマニズムの集大成。 【Junker】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-02-15 01:19:11) |
150.役人て半世紀も変わりないんですね。しかし七人~の前の作品だったんですか!志村喬の芸の幅は神懸かってます。最後は少しくどい感じもしましたがどっちにせよ素晴らしい作品でした。多言は無用です。 【Kの紅茶】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-02-14 01:17:11) |
149.自分も渡邊が迎えたハッピーバースデーを見出せる人間になれるよう努力したい。 【njld】さん [地上波(邦画)] 10点(2009-02-03 23:39:42) |
148.内容に関しては皆さんが既に述べている通り、素晴らしいの一言。しかし本当に一番秀逸なのは「生きる」というタイトルではないだろうか。それまで惰性で仕事をしていた、志村喬演じる主人公が余命幾ばくもない命を市民のために費やす。そのひたむきなで必死な姿はまさに「生きる」ことそのもの。こんなにストレート且つ映画の本質を見事なまでに突いたタイトルは世界広しと言えども他に見当たらない。半世紀も前に作られた映画だが、この映画の「生きる」ということのメッセージとともにこの「生きる」というタイトルは永久に語り継がれると思う。 【mickey】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-01-31 22:24:58) |
147.自分の死を悟ってから何をやることが「生きる」ことなのか? この映画が提示している考え方には素直にうなずけない部分が残った。志村喬の演技には迫力があった。 【アンドレ・タカシ】さん [DVD(邦画)] 5点(2008-08-19 02:38:54) |
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146.最初から最後までほとんどが退屈だったので、びっくりしました。前置きの長さ、必然性のない心理変化、中途半端に笑わせようとする部分など、期待に反した点はいくつもあるのですが、何よりも至る所での説明台詞の多さ、俳優のわざとらしい演技には閉口しました。これでは普通のホームドラマの域を出ていません。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2008-08-07 04:44:05) |
145.映画に感動して次の日すっかり忘れているあの感覚と似てる(笑)。 会社に入ってまだ新人な私は、なかなか仕事で役に立てずに悩んでいた時期にこれを見ました。主人公と境遇は全く違いますが、なんだか共感できました。余命半年でなかったとしても、誰にでもあてはまる物語だと思う。 【ゆうろう】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-07-13 05:43:56) |
144.志村喬の演技…。鬼気迫るとはこのことです。ちょっとシニカルなラストも面白い。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-06-20 23:08:16) |
143.何かを残したい。自分は自分の人生を生きたと言いたい。それが人生の大きなテーマだと思います。しかし・・その・・つまり・・ いい映画です。 【東京ロッキー】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-04-23 13:44:39) |
142.もし自分が渡辺さんのように死の宣告を受けたら、一体どう行動するだろうか?それは実際に自分が死の宣告を受けないと分からないのかもしれません。この映画を観て、「自分も精一杯生きなければ!」「何かをやり遂げたい!」と強く思いました。その気持ちを忘れてしまった、あの役所の連中にはなりたくないですね。作品のレビューにはなっていませんが、本当に自分の生き方について考えさせられる映画です。志村喬の目の演技に、最後まで全く目を離せませんでした。素晴らしい作品です。 【たけたん】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-03-05 10:22:35) |
141.恥ずかしながら、黒澤映画を観たのはこれが初めてです。主人公の渡辺の功績については葬式での回顧シーンで延々と綴られるだけだったため、この渡辺に感情移入できませんでした。世間では評価の高い作品であるため期待しすぎて観てしまった分、「まあこんなもんか」という感想です。 |
140.ニンゲンの本質を見せてもらった。見るのは疲れるけど、名作です。 【フッと猿死体】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-11-23 09:28:36) |
139.日本映画史に残る傑作に対して、どこからほめれば良いのか分かりません。でももし、1つだけ好きな所をあげろと言われれば、やはり有名なブランコのシーンです。これを見せるためにこの映画はあるのではないかと思うほど、筋が通っており完璧な映画だと感じました。古い映画ゆえのとっつきにくさはありますが、時代に左右されない映画の本質とは何かを見せてくれる作品だと思います。 【ろいぶきゃなん】さん [DVD(邦画)] 10点(2007-07-30 19:15:00) |
138.志村喬がある意味怖かった。眼に涙をいっぱいためて、一点を見つめる姿は、胸のあたりが苦しくなる。家族に愛は伝わらなかった?けど、思いが伝わった人がいたのがなんだか救いだった。しかしあの部下の人、生きる力満々としてて、可愛らしい。 【しゃっくり】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-07-25 01:44:52) |
137.渡辺さんのしたことは、なんだかんだ言っても、結局“自分のため”。それでも、これまでの自分に疑問を持たぬまま死ぬよりマシ、なのかも知れないけど、結局、どこまでも自己都合な人。世情から察するに、多いんでしょうね、お役人には今も昔もこういう人。 【すねこすり】さん [DVD(邦画)] 4点(2007-07-17 17:20:48) |