15.「下妻物語」ではまだ観る者の幅を狭めてはいなかった。しかし本作品ははっきり言って観る者を選ぶ。面白いか否かではなく、生理的に受け付けるか否かという問題である。雰囲気はかなりシュール。物語を描いた映画というよりは、監督の「作品」を見せられている感じがするため、この世界観を新鮮と感じるか驚いて唖然としてしまうかのどちらかに分かれるだろう。不幸な物語をポップに仕上げるという方法には確かに目新しさを感じる。ミュージカルを見ているような楽しさも味わえる。かなり監督の「色」が出ていることも評価に値すると思う。がしかし、監督があまりにもやりたいようにやりすぎた感がしなくもない。悪く言えば独善的なのだ。いつまでもこの調子でやっていてはそのうち飽きられてしまうだろうし、かといってさらに独自のワールドを突き進んでも観客がついていけるかどうかはわからない……というようなことを鑑賞中に考えてしまった私はおそらく本作の世界観に没頭しきれていなかったのだろうと思う。ただ、マニアにはウケそうな作風だとは感じた。 【HARVEST】さん [映画館(邦画)] 5点(2006-07-18 07:13:00) |
《改行表示》14.「オブラートに包む」事の効用には限界があるんだな、と。 「古き良き時代のハリウッドミュージカル」的な味付けをされていても、連綿と見せつけられる松子の悲惨さは、いささかも色褪せない、というか見る側にとって軽減されない。 正直、見ていて吐き気がしたぐらい松子は悲惨だった。その悲惨の責任が、ほとんど全て彼女に帰しているという点でも。 それだけに大きなカタストロフが求められる終盤、正直、落とし所を間違っている気がしてならない。小綺麗に終わらせたくなかったのかも知れないが、観客が最もカタストロフを感じるであろうシーンの後に、さらに10数分も悲惨な話を続け、しかも視覚に訴えた虚構の解放を演出して強引に終わらせる、というのは、かなり違和感があった。 「良い所は?」と聞かれれば「中谷美紀」と「色彩の鮮やかさ」ぐらいしか思い浮かばないが、悪い所ならいくらでも挙げられる。 しかし、不思議と悪い評価をする気にはならない。というか、自分の中で「駄作だ!」という自分と「名作だ!」という自分がせめぎ合っている。これは、このままにしておこう。人生経験とともにこの映画に対する評価も定まるだろう。オススメはするけど、保証はしません。そんな感じ。 【C-14219】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-07-05 04:30:22) |
13.究極のデフォルメの延長線上にシンプルなメッセージを提示する中島監督。下妻なら「友情」松子なら「家族」。CMの監督がCMを作る密度で映画を作っているから、1本の映画でこれだけ濃い作品はそうない。ただ中谷美紀のキャスティングに疑問。撮影現場を描いたエッセイ読んだ。意外にもシニカルなユーモアの持ち主で、頭のいい女優。だけど不器用で泥臭く哀愁のある松子を演じれるほど、器用な役者ではない。 【michell】さん [映画館(邦画)] 7点(2006-06-28 22:41:00) |
【amura】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-06-26 23:50:43) |
11.この手の共依存の女性って珍しくもなく何処にでもいる、父であろうが恋人であろうが、男にどうしようもないほど依存してしまう。不幸とは思わないけど不幸だとするならば、自分が病気である事に気が付いていない事かな。普通に撮ったところで中谷美紀の演技は凄くいいのに。前作同様のトーンと映像が徹夜明けの目にはキツク耐え難く、デジタルを使うため、デジタルの粗消しのため、あんなトーンで映像を作ってるんじゃないのかね。 【亜流派 十五郎】さん [映画館(字幕)] 3点(2006-06-22 12:45:17) |
10.松子は確かに不幸だし可哀相だと思った。だけど、そのあまりの極端かつ軽率な行動パターンには見ていて唖然とさせられた。そりゃあ自業自得ってもんでしょう。見所は「下妻物語」をさらに進化させたような、超大袈裟かつハイセンスな映像の洪水。さらに今回はミュージカル仕立てでスピーディに展開されるので、最後まで飽きずに見れました。この勢いだけは評価したい。 【ヴレア】さん [映画館(邦画)] 4点(2006-06-18 21:53:03) |
9.おもしろかった!しかし前半は笑えましたが物語が進んでいくにつれ松子に感情移入していき松子がどんどん不幸になっていく姿が不憫で可哀想で心が痛みました。見終わったあと気分がどん底に落ちてしまい気が重かったです。中谷美紀が綺麗でした。 【ギニュー】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-06-18 00:03:26) |
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《改行表示》8.評価が高いので恐縮なのですが・・・・ 不幸どころ満載の松子の一生をポップな映像と歌で繰り広げた映画。 これをベタベタのシリアスでやってしまったら、ものすごーーーーーーく 見終わった後、嫌な気分になること間違いなしでしょう。 なので、これはこれでいい作品だと思います。 でも主人公の内面に切り込んで見たいって人には、物足りないかも知れませんね。 他の監督での映画化も見てみたいです。 最後に中谷美紀、ホント美人は鼻血出しても綺麗ですね。 【あずき】さん [映画館(字幕)] 5点(2006-06-17 10:59:17) |
7.暗い内容の作品を暗いまま描こうとせず、ミュージカル仕立てにして、明るく楽しく、そして視覚的にも鮮やかに描くことで、まったく相反するものが画面の中に混在していました。だから見ている側は重くなりすぎず、さわやかに見ることが出来ました。また、140分という長さを感じさせない、脚本のテンポの良さ。無駄を完全にそぎ落とし、必要な部分だけで進んでいきます。とんとんとんとん、すばらしいテンポの良さ。リズムが感じられました。女性の強さ、弱さ、そして美しさが凝縮された作品でした。 【ボビー】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-06-17 00:59:38) |
6.下妻物語をDVDで見て、「なんだこの突っ込みどころ満載の映画は?!」という印象を持っていた。そしたら新作では中谷美紀さんの「女優辞めようと思った」とか中島監督の「殺してやる」発言。これは見に行かなくては?!と、興味を持ってしまった。しかし、すべてが昇華されていい作品ができあがったと思う。日本映画でこんなに楽しめたのは久しぶり。黒沢あすかさんにも1点献上。 【ミルアシ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-06-16 23:12:29) |
5.煌びやかな世界というのが売りなのかもしれないが、CG併合映画が蔓延する今の時代にこの作品の映像面を高く評価することはできない。本当に素晴らしいのは中谷美紀の演技。腹を決めた松子が啖呵を切るときの美しさ、自分の生き方を決して恥じない強い姿勢に胸打たれる。 【ぷりんぐるしゅ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-06-11 18:28:22) |
4.あの原作をよくここまで巧みにまとめたと思う。本作で褒めるべきはポップな演出ではなく、脚本力と構成力です。その構成も、色々な関係者の回想シーンの中で更に松子が回想するという不自然さはありますが、怒涛の演出で押し切ってしまい、こちらが違和感を募らせない内に現在のシーンに戻ってくる力技。このテンションを続けるには少し時間が長すぎた様な気もしますが、鑑賞後の満足度は高いです。気になったのは映像のクォリティ。たぶん本作はDVDの方がクリアな映像で鑑賞できるでしょう。ところで中島哲也と中谷美紀の不仲ですけど、これは、あくまでも「記号」としての松子を求めた監督に対し、女優が人間・松子を「演じたがった」所から生じたんじゃないですかね。映画からはそんな印象でした、7点献上。 【sayzin】さん [映画館(邦画)] 7点(2006-06-09 00:03:29) |
《改行表示》3.リュウが「自分がやりました!」と叫んで、警官に近寄っていき、警官をぶん殴ったとき、強い風が吹いた。あれはきっと松子だろう。 刑務所生活のモンタージュのシーンがチョーかっこいい。 |
2.最後は涙してしまいました。終わった後、彼女に少しだけやさしくなれました。なぜかパンフレットをプレゼントしました。 【シネマパラダイス】さん [映画館(字幕)] 7点(2006-06-05 21:01:58) |
《改行表示》1.「不幸」。とにかく「不幸」。映画の90%以上は、松子という“運命”に嫌われ続けた女の「不幸話」である。独特の美しいビジュアルと、特異でユーモラスな演出に彩られてはいるが、時に胸クソが悪くなるほどに、この物語は“不幸せ”に溢れている。あとほんの少しアプローチが間違っていれば、「大嫌い」な映画になっていたかもしれない。だが、ラストの描写では涙がにじんだ。 松子がどうしてこんなにも「不幸」であると同時に、「美しく」見えるのか。それは彼女が誰よりも、小さな小さな「幸せ」を望み続けたからだと思う。 主人公の女の「不幸」と、それを彩るミュージカル。そして、主演女優と鬼才監督の確執。映画のテンションとテーマ性はまるで違うが、この映画は日本版「ダンサー・イン・ザ・ダーク」だ。 これほどまでに、美しさを携えて、「不幸」に汚れられる女優は中谷美紀しかいない。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のビョークと同様に、彼女が途中降板しなかったことが、最大の「幸福」かもしれない。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-05-29 19:07:15) |