5.まず最初にアナ・デ・アルマス演じるボンドガール「パロマ」に心の1点を。歴代のボンドガールでは『黄金銃を持つ男』の「メアリー・グッドナイト」が永遠の一番手だったが、匹敵する愛らしさ。観られてよかった。
ダニエル・クレイグのボンド作品は、『カジノ・ロワイヤル』で「ああ、連作なんだ」。『スカイフォール』で「おお、実は3部作?」。『スペクター』で「ウソっ、4部作」と来て、この『ノー・タイム・トゥ・ダイ』で「まさか5部作だったとは……」、ということ。あまり他の映画の知識はないけれどもこれ以上のことは知らない、文句のない、付けるわけにもいかない5部作完結だったと思います。すげえもん観たよ、もうそれだけ。
まったく観た経験も無く、名前だけはよく知っているけれどもこの先に一生観ることのない作品だと思っていた『007』。それが飲み屋の無音で観てしまった『カジノ・ロワイヤル』でのボンドのカッコ良さに魅せられ、それならばと『ドクター・ノウ』から見始めて一気にハマったこの10年ほど。うっかりパチンコ台まで買ってしまうことになる人間を導いたのは、ショーン・コネリーもジョージ・レーセンビーも実は永遠の憧れとなるロジャー・ムーアもティモシー・ダルトンもピアース・ブロスナンもそうなのだけれども、やはりこの「私“が”愛したスパイ」だった。だから――素晴らしい作品だったよ。だけれどもさ、どうしたって最後になるこの作品は寂しい。あまりにも、寂しい。
ありがとう。
ありがとう、ダニエル・クレイグ。
万感の思いを、胸に。