1.開始5分で分かるキャラクター。常に進み続ける物語。「愛しさ」、「せつなさ」、「心強さ」、人間の悲喜交交を99分という短いランニングタイムで描いています。『砂の器』や『マグノリア』、古今東西【人間模様】を描いた映画は数多く有れど、ここまでコンパクトに人間を描ききった映画は他に見当たりません。監督の手腕も然る事ながら、演者陣の演技も特筆すべき点が多いのにも注目。三十路になっても先輩風を吹かし続ける永遠の高校生小市民(これがかなり居そうな人物!!!)を高岡蒼甫、そんな彼を愛していて少し御節介なお人よし化粧品販売員を田畑智子、その妹で「永遠の高校生小市民」をナチュラルボーンな色仕掛けで誘惑する中学生ファムファタールを小野恵令奈(当時AKB48)。この3人が織り成す「さんかく人間模様」のアンサンブルが素晴らしい。【物語】と【役者】、全てのベクトルが良い方角を指し、映画を形成しており、かなり好感の持てる映画となっています。最後5分は邦画史上に残るべき名シーン。見て損は無い1本。