1.ボブ・フォッシーの監督デビュー作であります。ストーリィはシャーリー・マクレーン演じる男運のないチャリティがただ男とくっついたり離れたりするだけなのですが、そこに彩られる数々のナンバーは、150分ほどの長さをも忘却させるドリーミィな舞台。静止画や逆回転、一気のズーミングアップによるシーン転換など映像も飽きず、歌い踊るマクレーンが表現する身体的言語は、喜びや楽しさや嬉しさといった和音を奏で見る者の身体奥深くへも届いていくかのようです。サミー・デイヴィス・Jrが登場する新興宗教のダンスシーンは既存のミュージカルとは明らかに異質でそこに未知のものに対する昂揚感が生まれ、マクレーンがニューヨークの街中を行く躍動感と相成り、すっかりハイと化した身体はクールダウンを要求してくるのですが、その期待に沿うかのように切ない幕切れへと向かいます。しかしまた歩き出すチャリティに希みを感じ身体は再び静かに燃え上がるのです。チャリティの本名は「チャリティ・ホープ・バレンタイン」。素敵なバレンタインデーをお過ごしください。