91.SWとIJシリーズ、そしてBRを除けば、ハリソン・フォードの最も重要な作品、ピーター・ウィアーの品のいい演出が冴える。 サスペンス部分は映画としての体裁と米国人のブックを特殊な世界に投入するための道具立てにすぎないのだろうが、そこもよく出来ている。 見所はなんとも牧歌的で質素なアーミッシュの生活と、その中で移りゆくブックとレイチェル、村人の感情。 殺伐とした外界から隔絶され自然に即した村の17世紀さながらの世界にしばし憩う。 多かれ少なかれ人工的な環境の中にいる現代人が、彼らのプレーンな暮らしぶりに憧れを抱いても不思議ではないだろう。 村人総出の納屋の建設、カーラジオの音楽に誘われてのダンスも魅力的な場面。 洗練されすぎておらず大工の腕もあるフォードはこの世界に違和感なくなじみ、ケリー・マクギリスも通常の美人タイプでないのがよく寡黙でも目で語る。 やりすぎるということをしないウィアーが彼らが結ばれるシーンをカットしたのは正解な気がする、道で抱擁する場面だけで十分だからだ。 子役には興味が少ないがこのルーカス・ハースは静謐な面持ちがよかったし、アカツメクサが咲き匂う中での少年との無言の別れは静かに心にしみ、老人が仲間としておくる言葉に笑みがこぼれる。 寂しさが残る別れだが抜かりなくフォローがされ、時がたてば彼女はダニエルを受け入れるのだろう、ブックのことは忘れずとも、ということがわかるのだ。 モーリス・ジャールの澄みわたるシンセも映画を忘れがたいものにする。 【レイン】さん [映画館(字幕)] 9点(2010-07-06 00:10:16) (良:2票) |
90.刑事モノとしてはよくあるストーリーのはずが、アーミッシュを持って来たところに目新しさが際立つ一篇。時代錯誤な暮らしを続けるアーミッシュの集落を舞台にしたら、普通の話にとびきりのノスタルジックな趣が出た。全体的に時代劇のムードを漂わせ、別世界に暮らす男と女というタイムトラベル物の雰囲気も出た。そういう味つけを一つずつ取り除いていったら単なるフツーの刑事モノにすぎないんだけど、こういう独特な雰囲気を作れたのはピーター・ウィアーならではのセンスでしょう。甘めの映像とハリソン・フォードの無骨な個性がうまく調和したのも目新しかったですね。いろんな意味で女性向けの作品ではあると思うけど、子供を使って泣かせる映画なのかと思ってあまり期待せずに見たらかなり良かったので驚いたのを覚えています。それにしても舞台では非常に高い評価を得ている女優であるはずのケリー・マクギリスがこの映画の次に選んじゃったのが何故「トップガン」だったのか未だに不思議で仕方がないです。この映画ではアーミッシュのシングルマザーという非日常感をかもし出すことに大いに貢献していたと思うんですけど。 【anemone】さん 9点(2003-12-13 14:09:55) (良:2票) |
89.一面に広がる麦畑と緑の草原、この美しい風景はとても刑事が出てくるサスペンスには見えない。どこからかベートーヴェンの交響曲「田園」が聞こえてくるような気分になるくらいだ。しかしこの町から離れたところで事件が起き、小さな男の子がたまたま目撃したことにより、波紋が広がっていく。このあたりの展開がおもしろいし、あれだけ強引だった刑事ジョン・ブックの変わりようも良い。そしてまたアーミッシュと呼ばれる人たちの描き方が何ともすばらしい。いつも大活躍するハリソン・フォードだけど、こんなのもいいんじゃないだろうか。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-05-29 17:55:00) (良:1票) |
88.『君を抱いたら、ここから離れられなくなる・・・』これが確かこの映画の宣伝コピーだったはず。自分、この頃のハリソンがホント好きで好きで、他の作品のレビューでも書いたけど、当時毎月購読していた今は無き『ロードショー』のグラビア写真を切り取って、まだ坊主頭が少し伸びた状態なのに床屋に持って行き、同じ髪型にして下さい!!などとと恥知らずな真似をした事も・・・。ハンソロよりもジョーンズ博士、この刑事ジョン・ブック役が特に好きでした。映画史に残る名ダンスシーンを3つ選ベと言われたら、自分は『追憶』と『ピクニック』、そしてこの映画の、静かな夜の農場でのダンスシーンをチョイスしますね。最初はふざけてじゃれあっていた二人が徐々にリズムに乗りながら、瞳の中に「欲情」の炎を燃え上がらせていくところが、何ともエロチックでたまらんかった・・・。プラトニックな関係の二人だったからなおさら。そもそもハリソンって、眼つきがエロイんですよね、特に笑った時の顔とか←そこだけは何故か俺と似てる。ハリソンはきっと幾つになっても、自分の中でヒーローであり続けると思います。 【放浪紳士チャーリー】さん [映画館(字幕)] 8点(2010-08-22 11:19:31) (良:1票) |
87.何年かぶりで再見しました。この映画でアーミッシュのことを初めて知りました。アメリカは広い国です、映画ってほんと勉強になりますです。永遠に20世紀のこないアーミッシュを絡めるという発想がいいですよねえ。ふっくらしたケリー・マクギリスが聡明でどっしりした感じですごくいい。すぐにメソメソして、いかにも守ってあげたくなるような女優だったら全体の雰囲気も印象もちがってきただろうなあ。効果音なしのラブシーンがせつないのよ、ここだけヨーロッパ映画のようでした。今回の発見は(「ダイ・ハード」でテロリストやる前にアーミッシュになってたのね、ありゃ、ヴィゴ・モーテンセンもいる~)ってことでした。いや、うれしかった。 【envy】さん 8点(2004-10-29 00:32:28) (良:1票) |
86.邦タイトルからして、ありがちな「刑事もの」「推理もの」を想像して拝見。前半はサスペンスタッチで予想通りかそれ以上の出来栄え。怪しげな音楽と、事件が起こる前後などはかなりの緊張感を保っている。が、この作品が他の刑事ものとの違いを見せるのが、皆さんもおっしゃっているアーミッシュの村へ逃げ込んだ所からですね。ここでののんびりした雰囲気が賛否を分けるところだが、カーペンター・ハリソンも見れ、カーラジオでダンスするセクシー・ハリソンも見れるという、一粒で二度も三度もおいしい、お得感十分な作品になっている。それだけではハリソンのプロモになってしまいそうだが、ストーリーの方もしっかりしており、閉鎖的なアーミッシュの村と、同じく閉鎖的な警察内部という対比がおもしろい。その二つの社会の交わりは実際困難で、ラストの別れのシーンが切ない余韻を残している。 【ちゃか】さん 8点(2004-09-15 10:13:26) (良:1票) |
85.全体的にゆったりとして映像が奇麗です。話は単調ですが心に残っている作品です。 【winger】さん 8点(2003-09-29 01:15:07) (良:1票) |
84.初めて見たときは アーミッシュが何なのか あまりよく分からず、サスペンスな展開を期待してて、少し退屈な思いをしました。しかし、改めて見ると、ストーリーの土台となっているのは、「アーミッシュ」であって、「目撃者」は ただ飾り付けられているだけという事が分かりました。そんな簡単な事に 気づかなかったなんて、ホントにバカだった。情けない・・・。心の奥深くまで沁みる 良いお話しでした! 【ケンジ】さん 10点(2003-06-08 23:05:46) (良:1票) |
83.傑作だとか、駄作だとか、そういうんじゃなくて、愛することができるか否か、こそが大切な作品じゃないでしょうか。そう、確かにアーミッシュというものの風俗的面白さを除けば、陳腐なストーリー展開でしかないのかもしれない。映画史に残る大傑作じゃ、お世辞にもないでしょう。けれど、何気ない人物の表情や、セリフ、ワンカットといった部分が、これほど心に残る映画もそうはないと思う。だからぼくは、この映画が大好きです。時々、いろんなことに疲れたら、いつもこの映画に帰ってきます。そして、心満たされるんです。 《追記》明け方間近の薄明のなか、ハリソン・フォードの主人公にヒロインのケリー・マクギリスが駆け寄り、抱擁し、キスをする。まさに情熱=受苦として“パッション”と、この愛が刹那と分かっている「大人」たちのどうしようもなさを同時に了解させるふたりの姿・・・。今でもぼくはあの場面を、アメリカ映画のなかで最も美しいラブシーンのひとつだと信じております。 【やましんの巻】さん [映画館(字幕)] 8点(2003-05-22 12:58:33) (良:1票) |
82.素直にいい映画だと思います。たしか監督はアメリカ人じゃ無かったと思います。心の機微の画き方なんかはハリウッドしてなくて新鮮でした。「アーミッシュ」を除くとただの映画だとか書いてる方がいらっしゃいますが、なんで除くの?その考え方がよく分かりません。つまらないケチを付けるのは止めましょうね。 【ニーナ】さん 5点(2002-03-29 17:43:48) (良:1票) |
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81.邦題から謎解きやサスペンスかと思いきや、違った。 【TERU】さん [インターネット(字幕)] 6点(2023-07-28 20:27:23) |
80.タイトルから、いわゆる刑事モノかなと気楽に見ようと思っていたら、「シンドラーのリスト」のラストを思わせるようなオープニング。遠い噂に聞いたことのある「アーミッシュ」とは、こういう人たちのことだったのかと。さすがアメリカは広い。勉強になりました。 映画としてもいい感じ。サスペンス感はあるし、随所に出てくる地味なユーモアもいい。異文化コミュニケーションを特に誇張も遠慮もなく描いていたように思います。 そして何より、ストイックにグッと抑えた感じのケリー・マクギリスがいい。今さらながらで恐縮ですが、この方が翌年の「トップガン」のヒロインと同一人物とは、とても思えません。髪型のせいでしょうか。「女は怖い」ということも、あらためて勉強になりました。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-06-06 23:05:25) |
79.初見だと思っていたら片隅にこびりついていた記憶が蘇ります。却って身を危うくしてしまうような逃亡劇やクライマックスでの銃撃戦のあっけない幕切れに違和感を抱きますが、盛り上げるためにはやむを得ないのでしょう。随所に光るハラハラドキドキ感はありますが、印象が薄いのはオスカーを貰ったご都合主義的シナリオのせいでしょうか。 【ProPace】さん [CS・衛星(吹替)] 6点(2017-11-18 22:07:36) |
78.これもおそらく二度目の観賞。 思ったより地味ではあるが、良い映画という雰囲気が満載で、こういう作品は存在価値があると思う。最後は多少切ないが現実的なのもいい。 【simple】さん [地上波(吹替)] 7点(2017-07-15 14:59:48) |
77.現代において時代錯誤なアーミッシュの暮らしが凄くいい感じで雰囲気出て映像的にも素敵なサスペンス映画。 ラストの2人の無言の会話が良い。 そしてルーカス君がめっちゃ可愛い。 【movie海馬】さん [映画館(字幕)] 8点(2015-02-20 17:33:43) |
76.ハリソン・フォードの役柄が最初『ブレードランナー』のデッカードとかぶって見えた。単独で捜査して陰謀に巻き込まれて行くストーリー。捜査の途中で恋に落ちる展開(ヒロインの名前もレイチェル!)。しかし、アーミッシュの村に匿われてからはジョン・ブックの人間臭い部分が丁寧に描かれるので、全く別の新しいキャラクターであり安心した。 序盤の緊迫感溢れる展開から一転、中盤はほのぼのゆったりした展開で、中だるみともとれる演出なのだが、最近の退屈する暇を与えず目まぐるしく展開する映画ばかりに飽きている自分としては逆にそれが心地好く、落ち着いて見れたので良かった。子供に銃の危険性を教える場面とか、そういう子供にも配慮したシーンが多いので好印象。 【ヴレア】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-12-09 20:20:25) |
75.初めて観たのは高校の頃、視聴覚教室にて。当時、聞いたこともない映画だったもんで、どマイナーな映画なんだろう、それにしても静かでのどかな映画だわい、と思ってたら、突然殺人事件がおこりビックリ、続いてハリソン・フォードが登場し二度ビックリ。それはともかく、この映画って要するに「風と共に去りぬ」なんですね、いや実際には風と共に去りはしないのですが。強い女性のお話です。そりゃま、アーミッシュの村を舞台にしてることで、文明批判的な文脈で作品が捉えられたりもするかも知れないけれど、それ以上に、村の掟と都会から来た男性との間で揺れ動く、ケリー・マクギリス演じるおっかさんの姿に主眼が置かれてます。彼女を村の掟で縛ろうとする爺さんが暗闇に立つとき、彼女は家の灯を背景に光に包まれながら、それに対峙する。はたまた、彼女にオッパイに睨まれりゃ、さすがのハリソン氏もタジタジになっちゃう。田舎が良いとか都会がダメだとかじゃなくて、彼女の強さと揺らぎ、それがこの作品の魅力。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2013-12-11 22:52:05) |
74.普通の刑事サスペンス物と思ったら、途中からロマンスを含んだ人間ドラマへと変化する、 一風変わった作りの作品。その流れがとても自然で、設定にも妙味があって面白い。 都会暮らしの主人公が、片田舎の村の人々と心を通い合わせる様がよく描かれていた。 呑気すぎるのではという感もなきにしもあらずだが、ついほっくりとしてしまう。映像もきれい。 役者の前に大工さんをしていたハリソン・フォードは、その片鱗を見せてくれるシーンもあり、 生き生きとしていて、いかにも楽しそう。嫌みのない爽やかなラストがいい、お薦め作品。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-12-18 11:32:37) |
73.20年ほど前に鑑賞。この映画を見るまでアーミッシュを知らなかったのを覚えています。 【HRM36】さん [地上波(吹替)] 7点(2011-06-07 11:29:00) |
72.異文化ラブストーリー。もう少しサスペンス要素にもこだわって欲しかった。 【akila】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-03-07 18:55:13) |