106.すべてが物語に奉仕する。観客はただ黒沢の思惑通り、物語の中に誘導される。江戸の街並みを本物以上に本物らしく再現したセットは、その部分しかみせてはくれない。なぜなら、物語に必要ではないから。雨や風は物語の小道具でしかなく、物語上の意味以外に付与されることはない。役者たちもまた同様である。黒沢は、物語が求める以上の芝居を役者たちに許すことはない。余剰の感じられないことの醜さ、物語ではなく、人間を演じることを禁じられた哀しさ。杉村春子は一世一代の拙い演技を披露する、香川京子は精一杯、醜い様を演じようとする、笠智衆は自分のパロディを演じることに精一杯だ。なぜなら物語がそれを要請しているから。あとは、そのような物語をアップ、ロング、ミドルと、三台の望遠レンズで流し撮りするだけ。距離感を無効にし、ただ役者たちを本物らしく撮ろうとするだけのために使われる望遠ショット。その、なんと醜く、官僚的なことか。そして、1カットが持つ意味、カットの連鎖が与える快感、つなぎの妙など、まったく味わうことも出来ないまま、観客たちは、黒沢によって与えられた教条的な物語を読むばかり。観客には自由はないのだ。こんなものは映画ではない。少なくとも、映画を観る醍醐味や、楽しさは、この映画にはひとかけらもない。黒沢は映画を撮ったのではなく、物語、それも黒沢という独裁者による教条的、説教臭い物語を語っただけだ。 【まぶぜたろう】さん 0点(2004-03-30 23:36:21) (良:2票) |
105.祖母が、黒澤明は娯楽映画の監督だった。と言っていた。 今でこそ世界の黒澤、とか言われてるけど、 きっと今の邦画を観るように気楽に観るのが本来なんじゃないかな。 かっこいい人も多いし、 今や大御所的な俳優さんの若き姿もあるから、面白いよ。 【祥子】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2008-07-26 15:48:40) (良:1票) |
104.「よくあることだ」 赤ひげは理不尽な世の中に対する処世術を心得ている。 【michell】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-09-27 13:51:14) (良:1票) |
103.人は正しく生きるべきだ。俺は定期的にこの映画を観て腐った性根を叩き直す必要がある。 |
102.生きるということの素晴らしさをかみ締めました。これほどまで素晴らしい映画に出会えたことは本当に幸せです。人間一人一人がそれぞれ不幸を背負い、それでも必死に生きていこうとする。そして、そんな人々を赤ひげ先生はそっと見守っている。この映画をみていくにつれ、主人公の保本同様、赤ひげに心底ほれ込んでいきました。黒澤監督はダイナミックな映画を撮る監督だと思っていたら、こんなに人情味に溢れた温かい作品も作るんですね。僕はこの赤ひげが黒澤作品の中では一番好きです。 【デューク】さん 10点(2004-06-27 16:20:54) (良:1票) |
101.私が10点をつける(たい)と思う映画は、完成度や芸術度などの専門的なスキルなどではなく、私にどのような影響を与えたかで判断しています。この映画、観る人によっては説教くさい、理想的すぎて現実味のない話に思えるでしょう。しかし、私はこのような人の生きる道の理想を掲げる事の簡単そうで難しいテーマを扱った物としては、心を揺り動かされる感じがしました。多くのエピソードを絡めて若い医者の成長していく姿を自分に重ね合わせていました。黒澤作品の中では一番好きです。 【クルイベル】さん 10点(2004-04-30 11:46:52) (良:1票) |
100.完成度と言う点においては黒澤作品でも屈指だと思います。エピソードがてんこ盛りでテーマが散乱してしまいそうな感じがしますが、構成のバランスがいいので気になりません。むしろ、それぞれのエピソードが一貫したヒューマニズムによってつなぎ止められ、お互いに共鳴し合っているところがとてもいいです。映画の中で語られる人と人とのふれあいそのままに、それぞれのエピソードが意識の中で絡み合っていく雰囲気が素晴らしい。原作も秀作ですが、本作はその原作に映画的な「躍動感」をうまく加えています。保本が狂女に襲われるシーンはもちろん、六助の臨終シーンという、人の死からさえも「躍動感」を受け取ることが出来るのは不思議。特筆すべきは、おとよが保本を看病するシーン。台詞もなく、テーマ曲と映像だけで詩的にあくまでも静かに表現しながらも、おとよの激しく揺れる心情が見事に盛り込まれています。まさに静の中に動を描いた黒澤映画の中でも選りすぐりの名シーンと言えるのではないでしょうか。三船の存在感も相変わらずで、ここまでくると凄まじいくらいです。結果的に本作は三船が出演した最後の黒澤作品となってしまいますが、黒澤監督が『赤ひげ』以前と以後に分けて評価されることが多いのは周知の事実。黒澤・三船の集大成とも言えるのが本作で、これ以後、黒澤監督は英雄を描き切れなかったという気がします。 【スロウボート】さん 9点(2004-02-05 22:12:27) (良:1票) |
99.前半がとにかく退屈でした。昔話がやたらと長く、かといって面白くもなんともなく・・・。後半は結構良かったのですが。 【のほほん息子】さん 5点(2003-10-31 03:08:52) (良:1票) |
98.高校の頃ってさ、一番スカしてる時期って言うか・・・私学特有の教育の一環みたいな感じで公会堂に観に来れば出席点やるよって言われてみんな無理矢理見せられた記憶のある映画。誰も見ないでしょう?クロサワの「赤ひげ」っつったって。音楽、ファッション、セックス(女性というよりもネ)にしか興味の無い輩集めて・・・だよ。もうホントに無理矢理見せられて・・・ところがさ、面白いんだコレ!最後なんて80人近い生徒がみんなひとつになってんの。爆笑のタイミングも一緒。あれはミョーな一体感があったなぁ・・・。映画が本当の意味でプロパガンダなどに効果があるという事を教えてくれた作品。 【シュールなサンタ】さん 10点(2002-11-03 11:38:41) (良:1票) |
97.黒澤流ヒューマニズム、ここに極まれり、だね。中でも、佐八の恋物語のストーリーが僕は特に衝撃的でした。雪の降る中での、出会いのシーンの美しさや、祭の日の再会での、風鈴の音の使い方。何とも言えず、ああ日本映画とは、こんなに美しい描き方をしていたのか、と思ってしまう。そして、何よりも「佐八」の心根のやさしさ、現代人には、ちょっと理解し難い部分もあるかも知れないけれど、昔の日本人は、こういう考え方をしたんだろうね。司馬遼太郎氏の傑作、「竜馬がゆく」のなかでも、竜馬が、さなこに(もし、同時に二人の男から想いを寄せられたら、あなたならどうします)と聞かれて、彼女は、(さなこなら、川に身を投げて死にます)と答える。今だったら、「馬鹿じゃない?」と言われそうな、この発想。でも、昔の日本人ってそうだったんだね。いずれにしても、「赤ひげ」一度は見ておいて損のない作品ですね。可憐で、いじらしくて、せつなくて、そして力強い日本映画が、ここにあります。 |
|
【afoijw】さん [DVD(字幕)] 7点(2023-03-15 01:30:35) |
95.赤ひげ先生の頼れる人っぽさは半端じゃありません。3時間もあるのに、もっと見ていたいと感じました。すごい。 【次郎丸三郎】さん [DVD(邦画)] 9点(2022-08-11 13:05:54) |
94.ヒューマニズムに溢れた作品ですね。 日本映画の最高傑作だと思います。 3時間が短く感じられました。 三船の圧倒的な存在感もさることながら、山崎努ら他の俳優陣の演技も素晴らしい。 特に、狂女役の香川京子、当時16歳の二木てるみの熱演は感動を覚えます。 |
93.レビュー100作目はこれをセレクト。 【医は仁術】を描きながらも硬派に、そして世の中≒人間の心模様の現実をも描いている作品。舞台だけを現代バージョンにしてリメイクしても思想は十分通じるでしょう。監督や脚本家は実際の患者やヤクザを取材したんだろうなと解る人物描写はお見事。医大生や看護学生や介護福祉士の実習生の教材として見学させても良いかと思われる作品です。映画黄金期の役者さんて子供から老人まで演技上手いですね。当然だけど。ただリメイクするなら内容からいって、一本の映画で終わらせるより連続ドラマにして、いろんな事件に挑む赤ひげ先生プラス若い医師と仲間たちという作りが良いかも。 【役者の魂】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2019-08-09 10:37:45) |
92.力作。長尺だが、飽きることなく最後まで満足。ただ、黒沢映画の悪しき面の説教臭さが少し垣間見える。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 7点(2018-12-29 06:09:31) |
91.あっという間の3時間でした。赤ひげ先生の生き様に弟子たちが尊敬して共感してついていく。心洗われる快作です。 【SUPISUTA】さん [DVD(邦画)] 8点(2018-12-23 18:26:27) |
90.船越英一郎主演のNHKドラマが始まったので、再度黒沢監督の映画「赤ひげ」を見直した。さすがに赤ひげ三船敏郎は堂々とした貫禄で文句のつけようがないが、ならず者相手に腕をへし折るとは少々行き過ぎかも・・・。加山雄三もこの頃は若大将としてのイメージが強く、演技力はまだまだという感じが強かった。ところがどうしてどうしてこの映画では、三船に決してひけを取っていない。香川京子、山崎努、杉村春子など他の出演陣も超豪華だし、二木てるみはさすがと思う。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 7点(2017-11-28 08:57:36) |
89.すっかり赤ひげに感化される主人公。 人の命を扱う医者はこうあるべき。 【飛鳥】さん [DVD(邦画)] 6点(2017-08-27 23:09:34) |
88.いい話なんでしょうが、大人の童話みたいなエピソードの連続に、退屈しなかったのは半分くらいまででした。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2017-07-03 23:13:39) |
87.名作と言われる映画はそれなりに見応えがある。エピソードそれぞれも万人に受けそうだ。 ただし、自分に合うかどうか微妙に違うことも多い。何故かは難しいが、鑑賞する時点での個人的な気持ちの問題かもしれない。今、この作品にのめり込む程には安定した気分ではないと感じた。 【simple】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-05-05 20:40:21) |