1.固い絆で結ばれた金持ち強盗団vs仕事一筋の鬼刑事という典型的な「ヒート」症候群の一作ですなのですが、マイケル・マンのようなディティールに対するこだわりはほとんど感じられません。ひたすらに見てくれのゴージャスさ、カッコよさを追求した画面はトニー・スコットを思わせ、さらにはキャラクター造形も雑なので男臭さも皆無に等しい状態です。ドラマパートはジェイソン・ステイサムが出るような作品群と大差のないレベルで、ロクな見せ場もない前半部分にはかなり退屈させられました。。。
しかし、物語が折り返し地点に差し掛かり、目玉である銀行輸送車襲撃がはじまると、映画は凄まじい勢いで疾走をはじめます。二転三転する怒涛の展開に、スピード感ある見せ場の連打。製作費3,200万ドルという中規模予算のアクション映画としては、恐ろしいぐらいにサービスしてくれます。これにはお腹いっぱいになりました。決して出来の良い作品ではありませんが、大きな期待をしなければ十分に楽しませてくれるアクション映画です。。。
なお、本作のDVDジャケットには「全米No.1大ヒット!」とデカデカと書かれていますが、本作が全米1位を獲れたことには理由があります。アメリカでカリスマ的な人気を誇るヒップホップアーティストT.I.とクリス・ブラウンが強盗役で出演しており、さらにポール・ウォーカーとヘイデン・クリステンセンという2人のイケメン俳優が彼らをサポート。若い人が好むキャスティングをしたことがヒットの要因であり、決して作品の質が評価されたわけではないという点にはご注意ください。