2.《ネタバレ》 オリジナル版を観ていた大人にも、はじめて観るお子様も満足できる作品に仕上がっています。
オリジナル版から大きく変わっているのは、「青い球体」が可愛いサブキャラクターになっていること。
予告編では不安で仕方がなかったけど、これが映画を観てみるとなんとも愛おしい。
見た目は可愛いけど毒舌というキャラで、いまどきありえないくらいのベタベタのツンデレ具合です。
その新キャラクターの「ピッポ」がどういった役目を果たしているのか。
単純親しみやすく、可愛く、ギャグの要因としても機能しています。しかし、それだけではありません。
オリジナル版では孤独だったリルルが、心を許しあえていた友達がいたこと、しずかちゃんに会う前から「身を犠牲にしてでも好きな人を守る」性格であることがわかるのです。
さらにオリジナルでは、鉄人兵団とともに消えてしまうリリルの気持ちは、しずかちゃんのみに言われたものでした。
このリメイク作品では、ピッポという存在がいるおかげで、その気持ちが、のび太にも伝わるのです。
彼の存在は映画の主題を脱線させることなく、心理描写において役目を果たしていました。それだけでも賞賛すべきことです。
決して不満が無いわけではありません。しかし追加のエピソードのほとんどを、サブキャラクターの描写のみにおさめて、堅実にオリジナルの物語を再現してくれたことに、自分は感動しました。
ラストも、ピッポがいたことで、ほんのちょっぴりだけ違います。これももものすごくいい!
本作は「鉄人兵団」を好きなスタッフが作った、この先も末長く評価されるべき素晴らしい作品です。