《改行表示》168.《ネタバレ》 「逆ビッグフィッシュ」のような映画。主人公の物語は本当にあったことであり、彼女が現実ではない夢を見るのはラストのみです。どんなに不器用ながらにも生きて、現実をきらびやかに描いても、実際に松子が望んでいたのはこのラストシーンのことだけだったと考えると涙が止まりません。 現実とはかくもつらいものだけど、彼女はその現実をずっと見つめていました。だからでこそ、やっとラストの台詞が言えた松子に「おめでとう」と言いたくなるのです。 【ヒナタカ】さん [DVD(字幕)] 10点(2010-07-16 20:05:16) (良:1票) |
《改行表示》167.結末からして重くてやるせないにも関わらず、観終わった後の爽快感ときたら。 一見こういう人生は送りたくないっていう中身だけど、こういう人生も悪くないのかもね。 【HAMEO】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-06-28 15:33:27) |
《改行表示》166.かなり最低の部類に入ると思われる人生を生きた女性の話なのだが、なぜかこれがさらっと観られちゃうから不思議だ。「幸福」は徹底的に主観的なものということを改めて認識した。「人生とは何をしてもらったかじゃなくて、何をしたかだ」というメッセージも確かに受け取ったが、それよりも主人公の持つ「幸福」の基準が興味深く、なるほどと思いながら鑑賞した。男に殴られてもついていく女の気持ちが少し分かった。アイデンティティの見出し方は千差万別だ。 それにしても、この映画の中谷美紀は一世一代の名演技!大好きになった。この監督は女優を使うのがうまいなあと思う。 【枕流】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-06-14 00:34:55) (良:1票) |
《改行表示》165.《ネタバレ》 伊勢谷友介のちんぴらについて書く。 服役中に身につけた資格で美容師として働く松子の所へ、松子が教職を辞する原因を作った教え子・龍として登場する。雨の降る路地裏で「覚えてませんか?」と呼びかけ、「やくざになったの?」とあっさり言われて、つかつかと近寄られ、教師が生徒に問いただす時の声で「で、何の用?」と言われる。 両手をポケットに突っ込んで立ち(脚が長い!)、下から睨み上げるようにカメラを見る姿はいかにもちんぴらで、カッコイイ。それが、まったく生徒としか見ない松子の“上から目線”の声に出会ったとたんに“生徒”に戻りそうになる。背中を丸めてポケットから手を出そうとして、辛うじて踏み止まり、「いや、先生と話がしたかったから‥。先生はあのころとちっとも変わらないですね。」ここが楽しかった。どれほどかっこつけてうわてに出ても“生徒”だった過去は消えない。 ちんぴらのかっこよさと哀れさとこっけいさと、そんなものがどっと表現されてた。 伊勢谷の衣装は着こなしの難しいピンストライプスーツで、スーツの中は白地に大きな花が散るシャツだ。下品さを良く出すとともに、色彩の統一感があって、伊勢谷の立ち姿を美しくする。玉木宏が「リボルバー」で似たようなスーツを着用したときは、中は赤いトレーナー?だった。こちらはいかにも田舎の高校生で、そうすると龍は、なかなかおしゃれな都会のちんぴらだ。 【TAMAKIST】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-05-28 19:40:46) (良:2票) |
164.こんな作り方もあるのですねと感心しましたし、テーマ曲にも涙しますが、個人的にハッピーエンドにしてほしかったとの勝手な思いでマイナス点としたのでこの点数としました。 【ダルコダヒルコ】さん [DVD(邦画)] 4点(2010-04-30 00:48:20) |
163.《ネタバレ》 不運な女性、というよりも、男依存症な松子。松子のように、男がいないと生きていけない女性って結構いるんじゃないでしょうか。そしてそういった女性には、何かと不運が付きものですね。なぜか、自分のせいでは無く「運が悪い」の方で考えてしまっていて。だからまた男を見つけても、同じことの繰り返しで。「嫌われ松子」ってなってるけど、父親や妹に愛されてましたね。あと龍や、友達の沢村めぐみにも。口には出してないけど、松子の弟もきっと。憎く、そして愛しかった、父親や妹と同じ場所へ逝ってしまった松子が、最後に見せる笑顔が切なすぎて、涙が溢れてしまいました。醜いものも愛しいものも今は同じ、すべてあの世・・・。゜。゜(ノД`)゜。゜。 【VNTS】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-04-02 19:42:27) |
162.悲劇をエンターテイメントとして扱い、でもしっかり悲しませる。初めて今作を観たときはその語り口に驚き、とても新鮮味を覚えました。邦画の歴史の1ページに刻まれるくらいに意義のある作品だと思います。子供の頃に心を動かされたおとぎ話に触れたような、現実感はないけれど重く響く見応え。それはリアリティに乏しいストーリーと、画面の隅々まで神経の行き届いた絵作りのアンバランスから生み出される。まさに、大人のおとぎ話という形容が嵌ります。お涙頂戴ではなく、反対に笑いで綴られた悲劇からは、経験したことのない類いの悲しみが沸き起こる。笑われることを宿命付けられたピエロの存在自体が持っているような深い悲哀という印象でした。凄い映画だと思います。この監督からは明確で強力な作家性を感じます。お世辞じゃなく、世界を相手に個性を発揮して欲しいと思います。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-03-17 23:46:35) (良:1票) |
161.中谷さんが好きならいっそう楽しめそうですね。 【シトロエン】さん [地上波(邦画)] 7点(2010-01-31 17:34:42) |
《改行表示》160.色彩がとにかく派手。この映画のノリにまったくついていけず良さがぜんぜん分からなかった。 好みの分かれる作品のようです。 【Yu】さん [DVD(邦画)] 2点(2010-01-12 16:33:31) |
159.《ネタバレ》 毒々しい人工甘味料で過剰にデコレートされた画面の中あふれかえる雑多な登場人物たち。中島哲也監督によって人形のように配置され操られる彼らは、もはや俳優である必要がない。キャストの相当数がお笑い芸人やミュージシャンで占められるのはそのためだ。そんな中、松子を演じる中谷美紀だけが、喜怒哀楽も血も涙もある人間として強烈なバイタリズムの輝きを見せる。監督が用意する緻密で窮屈な枠組と、そこからはみだそうと目を瞠るばかりの生命力を発散させる女優。反目しあう二人ながら、往年のハリウッド映画さながらにスクリーンいっぱいに浮かぶMIKI NAKATANIの冒頭のクレジットが、この主演女優への最大の敬意と賛辞を表していて素敵だ。映画が主人公松子の一生をミュージカル調に語るのは、パンケーキを食べ百貨店の屋上でミュージカルを観た父との幸福な時間に彼女が生涯囚われつづけるからだろう。パンケーキが象徴するのは松子が何度も挫けそれでも信じた、愛だ。おどけ顔で必死に父の愛を望んだ彼女は、よりによって思い出の場所でその死を知り、「どうすれば私、愛される娘になれるの?」と悲痛に歌う。ただいまと言ってもおかえりと言ってもらえず、おかえりと言ってもただいまと言ってもらえぬ嫌われ松子。彼女が最後の最後に見つけるのは、切望しながら自ら見過ごしてきた、けれどちゃんとそこにあった、いくつもの愛だ。ラスト、襲われ突っ伏した松子は仰向けになり、星空を見上げ立ち上がり、その愛の一つを握りしめ、一歩二歩と前へ進む意志を持ってうつ伏せに倒れる。幾度となく「人生が終わった」と思いながら、それでもさっさとその人生を終わらせたりはしなかった彼女にふさわしいその最期。たとえ同じ犬死にであっても、彼女の倒れる向きとその意味は180度違う。美しい背中で階段を昇る松子を待つのは妹久美だ。階上の部屋で姉の愛を求めた妹。そして父の拒絶に苦しみながら、自らこそが妹を拒みつづけた姉。人に何をしてもらうかではなく何をしてあげるか。劇中示されるその言葉のとおり、愛されるためでなくただ愛するため、松子はその階段を昇る。その時彼女はあれほど必死に追い求めた愛を、思いがけずその手にしている。おかえりとただいまをかわしあえるこの上ない幸福、そして滑稽なおどけ顔など見せずとも浮かぶ父の笑顔。松子は愛されていた。そんな素晴らしき愛を、川尻松子はようやく心のままに噛みしめるのだ。 【BOWWOW】さん [映画館(邦画)] 9点(2009-11-21 15:17:52) (良:2票) |
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《改行表示》158.《ネタバレ》 久し振りに映画を観て泣いた・・。 暗い話を今まで観た事ないような斬新なポップ調?の画像でコミカルに纏めてて ぐいぐい引き込まれた。映像そのまんま漫画読んでる気になった。 殺人の前科持ちのゴミ屋敷汚婆さんなのに、甥っ子と同じ目線で 松子さんの人生に共感をもてるように上手く作ってある。 やっぱり、それぞれ全ての人の人生は傍からみてつまらなくみえても 皆一人一人語るだけのお話があるんだろうな、としみじみ思った。 床屋のケンちゃんが、松子さんの想像の中でどんどんカッコいい男(別役者)になっていく トコはありがちで笑いました。 【梅干御飯】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-11-18 00:40:47) |
157.《ネタバレ》 松子の家庭環境は決して最悪ではない。経済的には中流で、妹弟もいて、両親の愛情もそこそこ受けている。松子は父を愛しているが、父の愛情が病気の妹に注がれるのを妬んでいる。父の愛情を自分に向けるためにコミカルな表情をする。愛の飢えの始まりである。松子の不幸を描いているが、本当に不幸なのは他にいる。筆頭は妹で、寝たきりの人生で終る。次は作家志望の男で、自分の才能に絶望して自殺した。もう一人は龍で、家族の愛情は一切知らなかったと言っている。松子は美しく成長し、中学の先生となるが、修学旅行の盗難事件をきっかけにで転落人生に転じる。彼女が家出した心痛で父が死亡、弟から家族の絆と断たれる。家族と故郷を失った松子は、男性に頼るしかなかった。というか、自分を必要とする男性と共依存関係になる。必要とされることでしか、自己の存在意義を感じられない。だから暴力を振るわれても、相手に尽してあげたいと願う。トルコ嬢も厭わない。これが龍をして松子を神と呼ばしめた。不幸な形の自己犠牲。暴力は時にこじれ。殺人に発展する。松子は理容院の男と同棲を始めたばかりのときに逮捕される。タイミングが悪い。刑務所でめぐみという親友を得たのは最大の幸福。出所後は理容院の男と暮らそうと美容師の資格を取るが、出所すると男には妻子がいた。そして愛を知らない男、龍と再会。龍がお金を盗んだのが転落のきっかけだったので、皮肉なめぐり合わせだ。またまた不幸に。松子は足を悪くし、龍は刑務所へ。龍を待つことを唯一の希望にしていたが、逃げらる。以後心を閉ざし、世間と関わりをもたなくなった。ただ一つ、アイドルのファンになることを除いて。典型的な現実逃避。ファンレターとして綴った履歴のバカ正直で長いこと。涙がでます。誰かに理解して欲しかったのですね。返事が来ずに絶望。めぐみと再会し、夢で妹のヘアカットをしたことで、社会復帰をめざす。そんな矢先、中学生に暴殺される。甥の笙が松子の人生を知り、理解を示すのがこの映画の救いの部分。子供に殺人をさせたのは欠点だ。ミュージカル仕立てでテンポがよい。不幸をエンターテイメントとした初の映画だろう。不幸な人生だが、そこに何とか意義を見出してあげたいという心理が働くように作ってある。あのとき、ああしたら、こうしたらと、つい考えてしまう。か弱い松子の”徳”がそうさせるのだ。愚かだが、菩薩のようでもあった。合掌。 【よしのぶ】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-11-08 16:09:56) (良:1票) |
《改行表示》156.意外と面白かった。中谷美紀の演技や変身ぶりはすごい。 松子の人生は最初から最後まで痛い。そして目まぐるしい。 だが、松子自身は男達に生涯をかけて心から愛すことが出来て、きっと幸せだったんだろうと思う。たとえそれが偽りの愛だったとしても。 松子の最期はあっけなくてちょっと嫌だったけど、最期まで報われないからこそ「嫌われ松子の一生」なのかと思うと、それもそれで有りなのかもしれない。 私は松子みたいな波乱万丈な生き方ではなく、平凡な人生を送りたい。 【ひまわり】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-09-08 19:24:15) |
155.愛し、愛される事が生き甲斐の松子。目を覆うような壮絶さも生きている証。求める事を一切放棄した後の生ける屍状態にこそ、歳がさほど離れていない私は胸を衝かれ、身につまされるものがありました。後味の悪さこの上なしの最期の遂げ方に一気に点数が下がりました。酷過ぎます。腸が煮えくり返りました。 |
154.♪HAPPY WEDNESDAY♪がかなり印象的だった。何度もリピートしちゃったよ。部分部分はすごく凝っていて面白いけれど、通して見ると疲れるなぁ。 【はりねずみ】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-08-19 23:31:44) |
《改行表示》153.《ネタバレ》 人物は「何を好み、何を集めるか」で語ることができる。例えば自己紹介欄に「好きなxx」を列挙する。つまり、アイデンテティはレディ・メイドだ。『嫌われ松子』はこの認識を元に作られている。 一女性が、既製品の様々を選択して人生を作る話だ。中学教師というステータスはレディ・メイドだ。トルコ嬢というステータスも然り。 次元を縮小してみよう。デパートの上の遊園地も、流行っていた様々の歌も、レストランのホットケーキも、自分の大事な思い出はみんな既製品を選んだ思い出だし、自分を投影する相手も、自分が今日生きるためのつっかえ棒もみんな既製品だ。 既製品を「選んで」「集める」とき、商品のキャッチコピー・広告・一目でそれとわかるシンボルは大事だ。松子の周りがキラキラなのは、ひとえに松子がキャッチコピー・綺麗なモノが引き連れてる、イメージというものを追ってる消費者だからだ。 社会的事件というものも既製品だ。一度の事件でも多くの人が経験するから、ある種大量生産品だ。松子のキーホルダーにシンボライズされてる大阪万博のように。 こう考えると、松子が晩年にゴミを捨てずに(=集めて)ゴミ屋敷を作ること、そのゴミがカラスに変わって「無駄、無駄」と叫びながら松子を襲うエピソードは、重要な意味をもってくるのではないか。 また、映画自体、無駄に(失礼)有名キャストを集めて作られていることも、松子の一生のアナロジーみたいだ。 ところでこの映画は「逆シンデレラ・ストーリー」つまりあくまで御伽噺の一種である。 従って、主人公は観客みんなの受け皿で、つまり主人公の個人の内面なんざ描いてはいけないのだ。ところがこの映画は、「社会とうまくやっていけない個性の強烈さ」を描いている…と見せて、その実そんな個性なんかに興味はない、というウソを確信犯でやってるのである。そのウソがうまいので、「頑張って生きてるのになぜか社会の不適合者」を自称する我々観客に「あなたが不幸なのはあなたが悪いからじゃない。あなたが強烈な個性を持ってるからだよ」という癒しと、「強烈な個性の持ち主はいつだって不幸になるんだよ、ほら松子をご覧、これはあなただよ」というイコンとを同時に与えることができるのである。 うまいけどうさんくさい。 【月世界婦人】さん [映画館(邦画)] 4点(2009-07-28 13:47:37) |
152.《ネタバレ》 劇場で観てから3年ほどたった今でも鮮やかなカラーで瞼の裏に焼きついているような、そんな映画。おもちゃ箱をひっくり返したような鮮やかな映像は、涙も出ないようなド不幸で死んでしまいたくなるような状況から松子と私を救ってくれる(別に私の人生はそれほど不幸ではないが、まぁとりあえず)最後のシーンでバカみたいに涙が出て明るくなってからもしばらく席を立てなかった。結果オーライな幸せ。最後に幸せだと思えれば、私もどんな死に方してもいいかな・・・と未来の暗雲に対してちょっぴり楽観的な気持ちにもなれた。 【りんす】さん [映画館(邦画)] 8点(2009-07-09 02:46:00) |
《改行表示》151.原作の松子が愛しくてたまらないわたしにとっては、観るに堪えない、悲しい映画。 この映画は、1ミリも松子を描いてなどいない。 おそらく監督は、松子になどなんの興味もなかったのではないか。 どんな仕事をしてもトップになれるほど聡明で努力家な松子は、愛を乞うあまり、愛に翻弄され堕ちてゆく。 そんな受動的な松子の人生は、しかし、ささやかな幸福を夢見る一途な乙女の姿でもある。 その生涯を、柴咲コウ演じる明日香の「決意」によって否定するかのようなラストは、あまりにも解釈が甘い。 ハイコントラストの極彩色に、軽妙な音楽で味付けした中島ワールドは、松子をただの不運な女に貶めてしまった。 この人が撮りたいのは「映画」ではなく、「映像」か、もしくは「画面」だ。 【poppo】さん [DVD(邦画)] 1点(2009-04-19 10:15:06) (良:2票) |
《改行表示》150.おなかいっぱいです。原作を知らないからか、途中まで、なんでこんなカラフルにこんな映画を作ろうと思ったんだ・・・と思ったんですが、次第に「松子に会いたかった」という監督の言葉がとてもよくわかりました。中谷美紀もよかった。 絵がいちいちきれいです。この監督にはたくさん映画を作ってほしい、と思いました。 【しゃっくり】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-04-02 22:40:05) |
149.凝った映画だということはよくわかる。キャストは、これでもかというほど豪華。思ってたよりおもしろかった。色使いでは『チャーリーとチョコレート工場』を思いだした。 【フラミンゴ】さん [地上波(邦画)] 5点(2009-03-25 14:54:47) |