331.《ネタバレ》 今さらながらレビューしていない事に気が付いた。
【長すぎる前書き】
大学で「芸術論」の講義を受けた時、担当していた教授が本作の事を以下の様に評していた。
『芸術には大きく分けて「耳」で愛でる芸術である音楽、「目」で愛でる芸術である絵画・写真、そしてそれらを融合した舞台・映画の3種類が有る。どれも素晴らしい作品ばかりだが、この「アマデウス」はそれら芸術が極めて高次元で融合結実した類まれなる作品だ』と。
私は劇場で本作を鑑賞済だったので「なるほど、上手い褒め方するなぁ」と思った次第。
そんな教授の冒頭の言葉を経て始まった鑑賞会は3回に分けて実施され、口コミでその面白さが学生達に伝わり3回目の授業では講義室がなんと満員立ち見の盛況ぶりだった。(単位は貰えないのに!)
それ位、芸術は敷居が高いと潜在的に思っている人をも巻き込む『力』を本作は持っているのだと思う。
これが約35年前の話。
【やっと本題】
そんな本作、私に取っては間違いなく映画ベスト10の一つに入る作品である。
他レビュアー諸氏により語りつくされているが、何といっても珠玉の名シーンはサリエリがコンスタンツェが持参したオリジナルの楽譜を読み、次々と頭の中で音楽が奏でられるシーンだと思う。
これに匹敵するシーンは意識して映画を趣味として観始めた18歳の頃からそうは巡り合えていない。
また、本作はこれまでの映像再生媒体の変化(VHS→LD→DVD→BD、ブラウン管→液晶、HD→4K)に併せて都度ソフトを購入している唯一の作品であり、何だかんだ年に一度は必ず観ている作品だ。
史実に忠実ではない等の指摘も有る様だが、関わられた方々のイマジネーションと創作意欲が文字通り「高次元で融合」した稀有な作品だと言える。
文句無しの10点満点献上。
追伸
本作がアカデミー賞で話題になった年、主演男優賞を受賞した時のF・マーレイ・エイブラムスのスピーチは、彼の受賞を我が事の様に涙ながらに喜ぶトム・ハルスの何とも言えない表情も相まって忘れられない名シーンだ。