208.《ネタバレ》 もういいかげんレビューします。何回か見ているので、感想が定まっていませんが、、、。
これは日常の風景のデフォルメの仕方が面白いと思いました。
日常の風景を切り取り、それをどう面白くするか、どこまでユニークに出来るかというところに表現を追及した宮崎駿の表現力と、アニメーション作家としての芸術的な才能を窺えると思います。
いちばん最近見たのが1年以上前なんでうろ覚えですが、あの天野喜孝を思わせる波の表現が素晴らしい。他のアニメでああいう表現はしない。
現在のアニメの波の描き方を定着させたのが宮崎駿だったと思うんですが、その定着しすぎたところに新たな表現方法を加えるアニメ作家としての魂がすばらしい。
いろいろな描写で見えてくるユニークな日常世界に引き込まれる。
この作品では日常的な描写に温かみが満ちている。
宮崎駿の作品の素晴らしいところは、その世界の日常生活までも見事に(緻密に)しっかりと描き、その世界の温もりを演出することだ。
何かを食べる場面では、宮崎駿の才能を僕は否定できない。
このポニョでは、暖かなミルク紅茶と蜂蜜が印象的だ。
子供の視点かもしれないが、ここまで温もりのあるアニメを僕は最近見ていない。
宮崎駿の核となるのは水の表現であると、以前に宮崎駿監督の特集でやっていた。
この作品でも宮崎駿の得意とする水の表現が見事である。
それはどこかパンダコパンダを思わせる。
この作品はファンタジーではあるが、絵本のように日常の周りで起こっている感じが好感もてる。
ポニョも宗介も幼い子供であり、その視点で描かれているので子供っぽい印象はある。
DVDパッケージからも、テーマソングからも、子供向けの絵本のような作品だと想像できる。“ナウシカ”や“もののけ”のような深刻なスペクタクルではない想像くらいはできる。
そういった垣根がちゃんとあるにもかかわらずに、大人が子供を押しのけてその塀を乗り越えてきて、わざわざ花畑を荒らして「子供っぽい」などと否定するのは(自分も他ジャンルでよくやるが)とても大人気ない。
体が大きくなってしまった僕たち向けには、この作品は作られていないかもしれない。