17.高杉に裕次郎を抜擢したのは、快楽を求め刹那的に生きる当時の若者・太陽族に対して皮肉を込めたメッセージでしょうか。肺病を患っているからこそ人生を謳歌する男と対照的に高杉を筆頭に国を動かすために人生を賭ける勤皇の志士。混沌とした幕末期、先の見えない世の中で人は何を求めて生きるのか。落語の説話も上手くまとめられトータルの仕上がりもよく出来ている。ただラストがサゲとして落ちていないのが非常に残念、落語らしくしっかりオチてないともったいないです。 【亜流派 十五郎】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-11-21 17:54:09) |
16.《ネタバレ》 時代劇なのに現代(昭和30年代)の品川の街並みとナレーション(加藤武)をバックにタイトルロールというのが驚き。ストーリーはコメディーとしてはちょっと重い部分もあるんだけど、フランキー堺演じる佐平次のキャラクターがすごく好き。女と心中しようと川に飛び込んだ金ちゃん(小沢昭一)が後になって棺桶から生きて出てくるシーンに大爆笑した。ラストの墓場のシーンでのフランキーと市村俊幸のやりとりにも思いっきり笑わせてもらった。全体としては傑作なんだけど、やはりいちばん最後のシーンが川島監督の構想どおりのしめ方でないのと、おそらく時代劇初出演だったであろう裕次郎に違和感を感じたのがちょっと残念。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2005-09-07 21:12:22) |
15.幕末モノ、市井モノ、心中モノ、キャットフィアトモノ、その他あらゆるものが一本の映画で楽しめる作品。その合間合間にフランキー堺が写るだけで、なんだかおかしさがこみ上げてきます。遊郭の長~い廊下が妙に印象に残りました。それにしても、映画全体のテンポのよさと、ラストの墓場でのモタツキ具合の、このアンバランス。これほど奇妙なテイストのラストシーンは、いままで見たことがないような気がします・・・。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-08-18 23:37:17) |
14.何と軽快なことか!全体にもの悲しさを感じ、自分は喜劇とは思わない。それにしても落語の映画化として見た場合、他に感じたことのないおそろしいくらいの力を持っているように思う。ただただ凄い。蛇足ながら若い岡田真澄だけはいかがなものか。 |
13.《ネタバレ》 川島雄三監督の才気溢れる才能が見事に発揮され、古典落語として有名な「居残り佐平次」「芝浜」「品川心中」などのネタを取り入れどこか良き昔のアメリカ映画の喜劇を感じさせるテンポの良さとセンスの良さと主演のフランキー堺の神懸り的な演技とでも言いますか?名演あって見事なまでの作品に仕上がっています。その他脇を固める俳優陣もそれぞれが持ち味を十分に発揮して、観ていて本当に楽しい映画です。それでもってただ楽しいだけでなく哀愁漂う雰囲気いっぱいでいつまでも心に残ります。落語をネタにこれだけの完成度の高い作品を作った川島雄三監督を始め、出演者、脚本家、その他この作品に関わった関係者全員に拍手!文句無しの10点です。それにしてもこの映画の中での芦川いづみも何という可愛さだ!あんなにも可愛い芦川いづみとならわたしゃ一緒に牢屋に閉じ込められても平気でございます。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-05-29 08:25:01) |
12.《ネタバレ》 面白かったのですがノリ切れませんでした。フランキー堺の演技がいまひとつ肌にあわなかったのと、バカに徹しきれていないシナリオに原因があるようです。オープニングのぶっ飛び具合を見て勝手にこちらがふっきれたスラプスティックを期待してしまったせいかもしれません。ずーっと“左平次の調合している薬は爆薬で、最後にみんな吹っ飛ばしてくれるんだな”と思って見ていました。左平次マジで病気だなんて・・なんかしけた気分になっちゃったなぁ。とはいえ品川の町並みや風俗、ブタみたいで今までいったいどこがいいんだかさっぱりわからなかった裕次郎が、そこそこ格好いいこと(やっぱりブタはブタだとは思いますが)などたくさんの発見があったのは収穫でした。 【皮マン】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-05-14 00:30:59) |
11.幕末の志士たちのちょっと皮肉めいた描き方や、左平次の痛快なれどその生きかたさえも冷たく見据えたような描き方にこの作品の内包するものを読み取るのも良し、ただ大いに笑ってこの喜劇を堪能するも良し、配役の妙を楽しむも良し、といろいろな楽しみ方のできる傑作喜劇。左平次がドンチャン騒ぎをするシーンの斜めアングルの痛快さ、そして精巧に造られた品川遊郭のセットの中でたくさんの登場人物たちをとらえた長回しがお見事! 【R&A】さん 7点(2005-01-21 11:16:18) |
10.雰囲気がすごく良かった。聞き取り難い言葉がいくつもあったけど、別に聞き取れなくても十分ストーリーは理解できたからOKでした。気分の良くなる楽しい時代劇でした。 【ボビー】さん 8点(2004-07-29 18:32:22) |
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9.現場でのスタッフ、キャストの反対により変更されてしまったラストシーンは、 蛇足とも思えるほど、無惨なものになってしまいました。 ただし、ラストに辿り着くまでの本作は、本当に素晴らしい。 戦後日本映画の傑作です。 |
8.テンポの良さと、粋な台詞、たしかに、落語を立て続けに聞いているような感覚でした。傑作でしょうね。天才川島監督の名は聞いていましたが、初めて観ました。幕末で時代が大きく動いている時でも、庶民の関心は日々の暮らしや色恋事。天下国家を論じても、つまるところ、いかに世渡りを上手くやるかが先決。建前や理屈を言う前に、生き抜いていかねばなりません。佐平次が高杉晋作に言う「武士にしておくには惜しいな」は、維新後、時代に順応できなたった者たちへの、痛烈な皮肉に聞こえました。 【パセリセージ】さん 9点(2004-05-09 21:46:04) |
7.《ネタバレ》 へっへっへ、こいつぁ正に「痛快娯楽映画」ってな趣でゲスねぇ。フランキー堺の粋でテンポの良い演技・台詞回しはなんとも心地良いし、したたかな女郎たちが男たちを手玉に取るとこなんざぁ、胸がスッとしまさぁね(あ、でもキャバクラなんぞにハマってる旦那方にゃ他人事じゃないってか、ヒッヒッヒ)。若い頃の名優・大御所の演技が堪能できるってェのも魅力でござんす・・・・・・え?石原裕次郎の演技が?他の役者に比べると・・・?旦那ぁ、野暮な事は言いっこなしですぜ。しかし、単なる楽しい喜劇じゃないってェトコが名作の名作たる所以ですよ。胸を患いつつもしたたかに生きる佐平次は最後「えーい地獄も極楽もあるもんけぇ!俺ぁまだまだ生きるんでぇ!」とイカした捨て台詞を吐いて走り去るんですが、こいつぁ、言ってみりゃ「ぽじてぃぶな逃避」ってな感じがあっしにゃ、するんですわ。カッコつけていえば「亡命」がテーマってところですかねぇ(え?別にカッコ良くない?へっへっへ、確かに)。・・・・・・おっと、奴らもうこんなトコまで追っついてきゃあがった。じゃ、旦那、あっしはそろそろドロンさせていただきやす。命があったらまた、会いましょうや、へっへっへっへっへ・・・。 【ぐるぐる】さん 8点(2004-03-27 20:47:17) |
6.人間の欲望にはニーズがあり、そこにビジネスチャンスがある。人間の欲望を仲介し、その中を渡り歩く事により、集金を重ねていく左平次に「商いの原点」を教わった気がする。各々の欲に邁進する人々とそれを利用する左平次。左平次のはなむけの言葉「けっして人を信用しちゃいけませんよ」は、人間の欲望を見続けてきた諦観から生ずる、一種の「優しさ」の表れなのだろうか? |
5.フランキー堺ってうまいですね。そこばかり光っていたような感じがします。熱気は伝わってきますが、幕末独特のパワーという風にも取れませんでした。まあ「落語の映像化」ということに成功した、そんな印象です。コメディだから仕方ないといえばそうなのですが、南田洋子も左幸子もうそ臭い。本物のうまい落語家の女郎のほうが魅力的に感じるのですが。 【神谷玄次郎】さん 5点(2004-01-02 22:28:19) |
4.可笑しくって、ニヒルで、どこか寂しげで、そんな感情を、笑い飛ばす心意気。フランキー堺の羽織を投げ上げて、スッと腕を通す動きの見事さ。お互い様、どうせ死ぬんだ。動かなくなるまでは動きやしょう。 【ひろみつ】さん 10点(2003-11-17 22:21:05) |
3.今、見ても全然古臭い感じがしない。本当に現代劇のようなノリで元気いっぱいの日本映画黄金時代の作品という感じ。とにかくフランキー堺がその陽気なキャラを目いっぱい生かしている。今はオバアサンになってしまった女優さん達の若く、美しく、可愛いこと。それだけでも一見の価値あり。また同じく、今は貫禄充分の岡田真澄が、吹けば飛ぶようなヒョロヒョロの美青年でチョイ役で出ていたりする。あまりの落差にしばし呆然。とにかく面白いです。 【大木眠魚】さん 9点(2003-06-06 23:06:51) |
2.時代劇でありながら、現代喜劇のような雰囲気のある映画。フランキー堺が佐平次というお調子者を演じ、その軽妙さがぴったりの演技で、幕末の志士たち(高杉晋作=石原裕次郎)とのからみが軽快に描かれている。斬新な作りの時代劇。 【キリコ】さん 7点(2003-05-20 21:32:54) |
1.先ずオープニングから魅せられます。幕末の品川で、時計を拾うシーンから一転、軽快な音楽に乗り現在の品川に切り替わり、クレジット、ナレーション、そしてまた幕末へ。こんなセンスの良い時代物のオープニングは他には思い当たりません。そして川島監督のクールで、どこか人を突き放すような人間描写が次々と展開されていきます。実はフランキー堺演じる主人公=川島雄三ということらしいんですが、そうであるのにあくまで客観的に主人公を描いているという点は流石としか言いようがありません。これを観た北野武監督曰く「水槽の中の魚を観察するように人間を観ている感じだ」上手い例えだと思います。 【クロマス】さん 9点(2003-02-03 01:44:10) |