209.《ネタバレ》 クリント・イーストウッドの俳優人生の終焉が近づいていますが、さすがいぶし銀の貫禄が映像を観ていると伝わってきます。あのため息まじりの低いうなり声がたまらない。仕返しの連鎖や愛する子供達のために命をもって挑んだことは素晴らしい。捨てるものが何もない老人ほど怖いものはないですね。スーがレイプされてからの流れが凄まじく、目が離せない。しかし、あれほど都合よく、しかも皆揃って連射をしてくるものなのかと。こういう地味な映画に高得点付けだすと、歳を感じます。 【マーク・ハント】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-05-10 11:59:12) (良:1票) |
208.《ネタバレ》 歯をむき出しにして犬のように「うー」と唸るクリント・イーストウッドが、可愛い。……この人を愛らしいと感じる日が来ようとは思わなかった。ユーモラスで、いつになく明るいトーン。最近のイーストウッド作品から重厚なドラマを予想していたら、きれいに裏切られた。いい意味で単純な、芸術ぶったところのないヒューマンドラマで、普通に友達に勧められるような作品だった。 中核にあるのは西部劇のガンマンのようなヒロイズムではあるけれど、理想通りには行かない酷薄な現実と向き合ってもいる。スタローンの『ロッキー・ザ・ファイナル』同様に、原点回帰の若々しい意志と、現実的にならざるを得ない成熟の両方があった。頑固な老兵は時代遅れであることをわかっていてなお、自分なりの流儀で戦うのだ。銃の代わりに、強い意志としかめっ面と、ちょっとばかりの茶目っ気を武器にして。 普段ならもっと癖のある作風の方が好みなのだが、これを否定するのは難しい。ストレートど真ん中の球だからこそ、そこにイーストウッドの信念、人間性が込められている。別にイーストウッドファンではなかったけれど、今でははっきりと好きだといえる。この映画も、彼その人も。 【no one】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-05-09 18:01:01) (良:1票) |
207.《ネタバレ》 イーストウッドは50年以上の長きにわたり、俳優イーストウッドという長編映画に出ていたのかもしれない。 そして、全ての物語は終わりがあって初めて物語として完結するように俳優イーストウッドは彼の半生をかけた長編映画の幕引きをこの映画で成そうとしたのか。 俳優イーストウッドは無法者、牧師、刑事、サーカス団長、鬼軍曹、トレーナetcと様々な生を演じてきた。その一つ一つの役を監督イーストウッドとして、「消化(昇華)」させてきた様に思っていた。そしてこの映画で俳優イーストウッドをも昇華(昇華)させた様に感じるのだ。 そのフィナーレは最近の傾向に違うことなく、晴れのち曇りときどき雨展開であり暴力を伴う正義の自己否定的な個人の無力感を伴うものであった。 しかし、私は映画館で泣き続けた。それは感動の涙でもなく、悲しさの涙でもない。まるで92歳で大往生を遂げた祖母の葬儀の際に流れた涙を思い出すものであった。そう、語弊を恐れず語るなら、俳優イーストウッドへの全肯定を伴う祝福の涙であったように思えてならない。 私は映画館を出た後、人生で初めてイーストウッドのサインを持っている事を心の底からうれしく思った。決してこれからも手放さないでいようと思った。そして監督イーストウッドの映画の後味が悪くても見続けるだろうと思った。願わくは健勝で長く映画を作り続けてもらいたい。 【クルイベル】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-05-07 12:46:09) (良:1票) |
206.この監督の作品って、毎回衝撃のラストに泣かされるし愕然とさせられます、、、、。 前半は、くすっと笑えるようなところが多少ちりばめられており、特にイタリア人の床屋さんが出てくる場面はとても好きでした。 それが、後半になるにつれて、暗雲がたちこめるように、悪者とのいさかいがどんどん大きくなってきて、ココロの中で「ああ、もうこれ以上やめて。つらい方向へ話がいかないで」って願ってしまう。 その願いもむなしくそのままラストへ-。って感じなんですけどね。 エンドロールの景色で、少し救われた気持ちになるのですが、しばらくつらい余韻は引きずります、、、。 自分的には、あまり好きな映画ではないけど高得点を出さざるを得ない作品でした。 【カルーア】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-05-06 17:26:42) (良:1票) |
205.《ネタバレ》 いや~泣いた。まず主人公が自分の親父にそっくり。頑固で口が悪くて付き合い方が不器用で、子供達から疎まれてて。笑 特にぐっと来たのは3点で、まず余命幾ばくもないと告知を受けた(らしい)後の息子への電話のシーン。あ~こういうぎこちない感じ、わかるな~。このすれ違いが結局身体を張っての事件解決に繋がっていくわけですよね。 それから若造牧師が、ベトナム戦争で上官に命令されて人を殺した記憶に今もさいなまれているのはさぞつらいだろうと理解を示した時に、「ひとつ間違っている。命令されたんじゃなくて、自分から殺したんだ。それが恐ろしいんだ。」みたいな台詞のシーン。このリアリティに戦慄を覚えました。 そして最後に教会で息子達との接し方がわからなかったと懺悔するシーン。わかる、わかるよ~!今思い出しても泣けてくる~ とにかく、頑固親父が描く古き良きアメリカっていうものが、距離も時間も遠く離れたこの自分に、これほど深い感動を味わせてくれたことに非常に驚いています。イーストウッドと同年代の典型的アメリカ人がこれ観たら、それはもうさぞかし心揺さぶられるんだろうなと思うと、同年代の日本人監督にこのようなすばらしい作品を撮って欲しいと思わずにいられませんね。 【HAMEO】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-05-06 17:10:25) (良:1票) |
204.初めて映画館で泣きました。いままでヒューマンドラマなどの感動作で泣いたことなどは一度もなかったのですが、なぜかこの映画だけはしらずしらずのうちに泣いていました。 今までのイースウッド映画なら「ダーティハリー」みたいに最後は法を犯してでも悪党を裁く、みたいな感じですがこの映画は違ってました。 ウォルトはあの悪党の今後の人生まで計算してあの行動をしたのでしょう。誰一人死なないように・・・ あと、この映画で面白いと思ったのはこの映画が現在のアメリカを象徴しているところです。ウォルトがむかしフォードで働いていたが、息子はトヨタで働いているなど・・・ 何回見ても面白い映画です。 【のび太】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-05-05 13:01:54) (良:1票) |
203.ネタバレなしで。ここでの評価がむちゃくちゃ高いのも頷ける佳作だった。見た後こんなにも温かな気分になれる映画はそうそうない。しかもいわゆる「いい映画」然とした映画ではなく、笑いどころも思った以上に多い。友達誘って気軽に観にいける作品。 グラントリノってのは全盛期(前世紀)のアメリカを生き抜いたアメリカ男児の誇りそのものみたいなもんなんだろう。アメリカのじーさんってのはカッコいいね。いやむしろイーストウッド「が」カッコいいのか。老いた自分をネタにギャグを撮れる御歳78歳、恐るべし。 |
202.《ネタバレ》 暴力には更なる暴力を生むという、まるで現代社会の構図を投影させたかの様な図式だったが、結果的に人間としての生き方,価値,存在意義をものすごく考えさせれ最後は涙を流してしまった。異文化交流が実におもしろく描写されていて、そこには最終的に自分の命を犠牲にすることができる程の価値を見出していくことになる。誰もがイエス・キリストになれる訳ではないが、納得の行く人生を送りたいものだ。あと、イタ公の友人は最高だ。あのように常に罵りあえる友人を持ちたいと心から思う。 【ビンセント】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-05-04 21:05:29) (良:1票) |
201.《ネタバレ》 最後の20分はもう言葉に言い表せないくらい凄い。 タオに金網越しに「贖罪」するシーン、指で銃の形を作り不良達を打ち抜くシーン、 グラン・トリノが浜辺沿いを走るED、テーマ曲等々全てにおいて格好良い。格好良過ぎる。 自らの死によって暴力の連鎖を断ち切り罪を認め許しを請うラストはこれまでの映画でイーストウッドが演じてきたキャラクターの言動に対する贖罪の行為であり、40年越しの「クリント・イーストウッド」という名の物語の締めくくりにふさわしい最高のラストでしょう。 彼の鋭い眼光が、銃を持ったときの「何が起きるか分からないドキドキ感」が「ダーティ・ハリー」の、「夕陽のガンマン」の頃からなんら変わっていなかったのが凄く嬉しかったです。 【bolody】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-05-03 22:09:25) (良:1票) |
200.《ネタバレ》 評判通り素晴らしい作品でした。頑固な老人が毛嫌いしている他人種から受けた本当の優しさ。その優しさに答えていく最中に起きた事件。そして罪の意識・寿命・懺悔の中から導き出した究極の選択。単純でわかりやすい流れでしたが、今の社会に欠けている「何か」のヒントが映画全体からあふれていました。そしてウォルトとモン族・床屋との関係こそが本来の多民族国家アメリカの姿なんだぞといいたかったのだと思います。とりあえず「デカ文字電話機」は笑ったなあ。 【すたーちゃいるど】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-04-29 22:39:25) (良:1票) |
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199.《ネタバレ》 レビュー見て期待しすぎたんでしょうか?いい作品でしたがイーストウッドにしては無難というか置きに行った感じがしました。死にかけのジジイは肝が据わってるね。勇敢?向こう見ず?そりゃあんな安易な行動してたら復讐されますって。それでも死に際は流石にカッコよかったです。 白人頑固爺とモン族の青年やその他の人たちとのやり取りはよかった。特に散髪屋のシーンは好きです。 【雪駄】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-04-29 00:59:08) (良:1票) |
198.前評判が上々なので期待していつものシネコンへ行ったら、「なに?8番シアター(狭い)?人気無いのかいな???」と思ってたら、平日午前中にも関わらずけっこうなお客さんの入りじゃないですか。 こりゃクリント・イーストウッドに失礼ってもんですよ。お願いですから1番シアターで上映お願いします。 狭い館内のせいで近所のアホ夫婦の持ち込みおやつの袋のシャカシャカ音にずーっとイライラしてなきゃいけなかったのですよ。 なんでいい大人がマナー守れないものでしょうかね。 シャカシャカしてペチャクチャしたいならもう少し待ってDVDでもレンタルして自宅で観賞お願いしたいものです。 んで映画の内容はって言うと、良かったですね~。秀作です。 最近、アメコミものかリメークものばっかやっててつまらなくなりかけてたハリウッドに後光が射した感じですね。 特にエンディングは素晴らしかった。 結核か肺ガンか分からなかったけど、余命僅かを覚悟出来た時に人の為にああいった落し前をつけれるって素晴らしいです。 あと、エンドロールも通常の黒地に白文字が流れるのと違って、淡々とした風景なんだけど淡々とした曲との相性がピッタリでとても余韻を楽しむ事が出来た。 シャカシャカ夫婦はエンドロールと同時に退席かと思いきや、ちゃんと最後まで御覧なられてたところは褒めてあげる事にしよう。 【Pea Shan】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-04-27 23:31:54) (良:1票) |
197.《ネタバレ》 イーストウッドは彼の国が抱える社会問題を盛り込んだのでしょうか? 親を/祖父をリスペクトできず、葬儀すら普通にできない、息子達・その妻達・孫達。 未だ根強い人種差別。 日常化してしまっている暴力、犯罪。 あまりにも安易な銃の保有、そして発砲。 いくつかは我々日本人にも突きつけられた問題でもあります。 が、彼の国の人達ほどには直面していないのも事実であり、そこには当事者ではない日本人には決して解らない諸々があるのでしょう。 私には、解る、と軽々しく使うことが出来ません。 名作だと思いますが、日本人と米国人とでは思いを寄せるところが異なると思います。 【hyam】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-04-27 19:48:21) (良:1票) |
196.《ネタバレ》 まさにクリント・イーストウッド男塾!イーストウッド演ずるコワルスキーが『アメリカで生活する男ならこれぐらいの事は出来なくちゃダメだ!』と庭の手入れ、他の人種の仲間との話し方、しかも女の子のアタックの仕方まで、色々と叩き込まれるモン族の少年タオ。最初はイジイジした奴なのに次第にたくましい漢に成長していくと同時にコワルスキーも頑固一徹の偏屈ジジイから、それまで見せなかった柔らかな表情をユーモアを交えて見せるあたりは絶品でした。そして彼が銃をかまえる姿、近所のどうしようないギャング集団に対して手で銃を撃つ真似をして挑発したりするシーンは様になり過ぎてると言うか・・個人的に痺れてしまいました。そしてギャング集団との決着の付け方は色々な意見があるでしょうが私は納得行くものでした。過去の戦争の忌まわしい出来事と自分の人生にケリを付けるように最後は自らは武器を取らず、丸腰で挑み自分の身体と命をもって解決してしまうなんて出来過ぎなよう・・・。その後、タオに受け継がれたグラン・トリノ・・実にいい表情で運転していて、その上に流れるエンディング曲の素晴らしさに我慢していたのですが不覚にも泣いてしまいました。ベトナム戦争で米国に利用され、用済みになったら見捨てられたモン族とポーランド系としてフォードに長年勤め上げたのに日本車の勢力に追われ車産業で栄えた街が廃れて、そこに取り残されたような主人公と共通する部分とか考えると、より興味深かったです。正直、本作で役者引退宣言していて『何でだよー』と思っていましたが、悔しい事に本作を観て、それも納得してしまいました。イーストウッドの役者人生最後を飾る、あまりにもふさわしい作品でした。 【まりん】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-04-26 20:28:52) (良:1票) |
195.《ネタバレ》 あんなに悲劇的なラストなのに見終わった後は 不思議な安堵感と心地よい爽快さが残る。 CGもVFXも豪華なセットもないだけどこれは・・・ いや!これが「ハリウッド映画」だ!!!!。 【一番星☆桃太郎】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-04-26 04:02:38) (良:1票) |
194.《ネタバレ》 久しぶりに映画館で観て良かったと思わせられる傑作だった。クリント・イーストウッドの最後の作品になるという話もあるようだが、もしそうだとしても納得できる素晴らしい作品だ。近年のイーストウッド作品につながる重々しさ、真摯さを感じさせつつ、前半部分では温かいユーモアも加味されている。逆に言えば、そのユーモアが後半の悲劇的展開の巧みな伏線になっているとも言える。 この作品の中で彼が観客に一番伝えたかったことは「コミュニケーションの大切さ」だろう。イーストウッド本人が演じる主人公であるウォルト自身が変わっていく過程やイタリア人の床屋とのやり取り、スーのウォルトに対する関わり方等がそれを物語っている。アメリカは知ってのとおり、多民族国家だ。属性を共有する人々と付き合うだけでも仲間は集まるし、日々の生活には困らない。しかしそれでは個人レベルで言えば閉鎖的でつまらない世界に閉じこもることになってしまうし、国レベルで言えば国民の一体感は共有化できまい。自らの属性をネタにし、他人種と付き合っていくことが、個人の生活を豊かにし、ひいては国民意識を活性化させるために重要なのだろう。この映画の序盤におけるウォルトのように自らの属性を声高に主張するだけでは、反発を買うだけだ。日本でも人種の違いで摩擦が起きることはほとんどないが、「人種」を「性別」や「学歴」等に置き換えれば分かりやすいだろう。コンプレックスである属性を笑い飛ばすのは難しいことかもしれないが、それができなければ多様な属性を持つ人々が仲良く暮らす社会など生まれっこない。僕はイーストウッドの穏健で妥当な考え方に心から賛同する。 この映画で唯一残念だったのはタオ役の少年の演技があまりうまくなかったこと。特に地下室に閉じ込められるシーンは「本気」が伝わってこなかった。 冒頭でイーストウッド最後の作品云々と書いたが、僕としてはそれでは嫌だ。もっと彼の思いをスクリーンで僕たちに提示して欲しい。老いてますます壮んで進化を続ける彼にはこれからも傑作を期待したい。 【枕流】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-04-26 02:06:12) (良:1票) |
193.《ネタバレ》 先日のチェンジリングも素晴らしかったのですが、このグラン・トリノは私にとって特別な作品となりました。噂ではこの作品でクリントイーストウッドは俳優を引退するとか。そうだとしたら、これ以上に相応しい作品は無いでしょう。最後のシーンでは涙が止まらず、周りを憚らずに号泣してしまいました。人生って何だろう?男とは何だろう。まさに一人の男の生き様、汚い部分も、罪も、善行も、生きてきた道全てが最後の選択に凝縮されていたように思います。そして、ウォルトから受け取ったバトンを胸に、グラン・トリノで海岸沿いを疾走するタオこそ希望そのものです。黒沢監督の「生きる」に通じるものが有りますね。私は女性ですが、性別関係なく人生について考えさせられる作品です。映画でこんなに泣いたことは数えるぐらいです。それほど感動し、心の奥底を突き動かされました。中高年世代にも、若者にもぜひ見てもらいたいです。 【ClocheRose】さん [試写会(字幕)] 10点(2009-04-18 19:47:24) (良:1票) |
192.《ネタバレ》 何もかも計算づくで、頑固爺はモン族のチンピラ達に「丸腰」で立ち向かったのであります。こういう計算が出来る年寄りになりたいものです。 |
191.《ネタバレ》 “Gran Torino”『フォード・トリノの一部車種の愛称』。日本だとスカイラインの、GT-Rじゃなくジャパンとか鉄仮面だと思う。 ウォルトはアメリカの輝かしい時代を生きた世代だ。'50年代に青春を過ごし、朝鮮戦争で戦ったのちフォードの工場で働き、愛する奥さんと二人の息子。郊外のニュータウンに一戸建てを持った男の余生、成れの果て。 2000年代、アメリカは様変わりしていた。ニュータウンは寂れて老朽化し、残っているのは老人とヨーロッパの移民系。金のある白人はもっと利便性の良い地域に移り住み、代わりに入ってくるのはアジア人。若者は移民や黒人のギャング。奥さんに先立たれ、息子はトヨタに勤めていて、孫はみんな馬鹿。 当時イーストウッドは78歳。いつ死んでもおかしくない年齢の男から観たアメリカの小さな街。あの街はアメリカの縮図。ウォルトは決して裕福ではない。広いとは言えない建売りの家をピカピカにして、小さな庭の芝を刈り、欠かさず国旗を掲揚している。グラン・トリノも当時大人気のマッスルカーってほどではなく、燃費の悪い中型のアメ車。ウォルトはアメリカの中流家庭の、プライドの塊のような男。 また'50年代の白人文化を過ごしてきた世代からの警告のカタチも取っている。白人中心のアメリカ社会も、アメリカ中心の世界も、今後更に変わっていく。 奇しくも公開年に起きたのが、サブプライム・ローン問題を起点としたリーマン・ショック。今の時代のウォルトのような中流以下の住宅ローン債務が焼き付いて、大手銀行が破綻するまでのダメージに発展し、アメリカ経済がどん底に落ちていった最中の公開。 この街の若い白人は、スーの友達のようなナヨナヨした白人しかいない。移民たちを受け入れて行くしかない現実がある以上、どんな人達と共に生きていくかを考えなくてはいけない。世界の警察だったアメリカは、他民族に銃を向けるのではなく、他の方法で解決をしなければいけない。 ギャングと戦う決意をしたウォルトは、白人の誇り高いスピリットは神父に残し、アメリカの輝かしいプライド(グラン・トリノ)はタオに残した。 最後ウォルトの手に残ったのはジッポーライター。これもまた、アメリカが世界に誇った古き良きアメリカ製品の象徴であり、消えゆくタバコ文化の象徴。 【K&K】さん [DVD(字幕)] 8点(2023-12-23 11:24:57) |
【TERU】さん [インターネット(吹替)] 8点(2023-10-10 20:37:12) |