189.黒澤明監督の生きるを見てこの映画を思い出したのでこちらも再見したのですが、今見直すと欠点が目立つ映画ですね。主人公ウォルト・コワルスキーは偏屈ジジイとしてある程度客観的な目線を持ち込んで描かれてはいますが、彼のアメリカ人としてのプライドは最後まで尊重されておりそのために物語が都合良く展開しているように見えてしまいます。物語上警察の介入が排除されているのは西部劇的シチュエーションをやりたいんでしょうけどやっぱり不自然です。モン族との交流もアメリカ人の自尊心を満たすために都合よく使われてるだけのような感じがします、ウォルトが彼らの文化から何かを学ぶのではなくあくまでアメリカの精神が受け継がれるわけですから。ウォルトの家族はいかにも嫌な連中で彼らの立場に理解を示すわけでもなく平等な描き方とは言えません。この映画で直接悪さをするのは同じモン族や黒人だけで白人側の差別発言は軽いジョーク扱い、イタリア系やポーランド系というマイノリティを選んではいますがここでも危うい線引きをしているように見えます。しかしながらこうやって現代の目線から重箱の隅をつつくような真似をしても不公平ではありますね、こういう映画の積み重ねがあってこそ現代の多様性尊重の風潮もあるのです。一番この映画の価値を下げてるのはこの映画が結局クリント・イーストウッドの遺作にはならなかったという歴史的事実かもしれません。 |
188.そこそこ面白がったので、他のイーストウッドも見てみようかという気にさせてくれた作品 【afoijw】さん [DVD(字幕)] 6点(2023-03-15 01:26:01) |
187.《ネタバレ》 なんとも手に負えない感じの頑固ジジイのイーストウッドが、お隣さんのモン族とのか関わりのなかで。。。 なんとなく微笑ましい交流から、シリアスな展開、復讐のラストへ!て流れですが、いやあどうでしょう? 戦地での経験で魂が傷つき、妻に先立たれて環境も孤独に、体も吐血するような状態だから、あのラストの決断なのか。 と、するといささか安直な気もするし、そこまで穿って観なくて、フツーにお話として受け入れればいいじゃんって気もするし。 いや、いくらおじいちゃんになってもクリント・イーストウッドにはかっこよくいてほしいんですよね。 そこからするとこの結末は少々残念かな。 ま、君子あやうきに近寄らずで、差別的にお隣と交流を断っていれば、こんなことにはなってなかったけど、結局はカタをつけることとなり、こーなりましたとさ、でしたね。 グラントリノの取扱いも、わかったようなわからないような。 ウォルトの最期の現場にタオくん、お姉ちゃんとグラントリノで乗り付けたとこはズッコケましたが(笑) 理容師役のジョン・キャロル・リンチには萌えました。 【ろにまさ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-02-26 22:33:18) |
186.タオやモン族とコワルスキーとの付き合いが、温かく印象深く描かれていて面白かったけど、タイトルにもなった車や、息子たちとのエピソードがもっとあればよかった。 【noji】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-01-03 23:38:51) |
185.《ネタバレ》 イーストウッド役者としての最後のシーンはどうしても荒野の用心棒のラストシーンと重なってしまって感無量でした。 歳をとってもいい味が出せる役者さんはいいですなぁ。 この頑固じいさんのキャラでもっといっぱい作って欲しかったです。 散髪屋とのやりとりとか最高! 今度いつもの飲み屋に入った時に「この脳ミソかんてんのクズ野郎!元気か!」 ってバーボンとビールを頼もうかしらん。 【jetter3】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-07-30 10:47:33) |
184.ファンタジー娯楽映画が好きな私としては、あまりに重いテーマでなおかつ現実的な題材は好きじゃないんだが、いまのアメリカの現実をみているとこういう映画も評価せざるを得ない。 見終わって感動したとか、かっこいいとかそんな感情はなく、ただいろいろ考えさせられた。自分の立場としてならどう考えるだろうかと。なんせ、最初っから俗物でゲスな人間が続出するのである。しかもリアルな描かれ方で。 決して上映時間が短くないこの映画で惹きつけられるのは、登場人物の描き方とセリフの秀逸さのせいだろう。偏屈なりの老獪なジョークでやり込めたかと思えば、若い神父がビールを飲むシーンは印象的だ。 マイノリティーであるモン族の描かれ方は、目を合わせないとか日本人と共通するものを感じた。アジア人にとっては主人公との友情はまた一味違ったものに感じられると思う。 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-07-29 22:14:16) |
183.《ネタバレ》 奥さんに先立たれ、家族との折り合いも悪い頑固爺と隣に引っ越してきた一族の物語 特段に盛り上がるシーンもないのに飽きもせずに見ることが出来る。 タオに関しては、もっといい役者を使うべきだったのではないかと思ってしまう。 タオやスーとの(特にタオ)との信頼関係の構築 に関して 物足りなさを感じる 悲劇のきっかけを作ってしまったのも、浅はかに自分が決めたことによって でしたが ラストのけじめのつけ方は素敵でした。 だからこそ、タオの役者・・・・・・ クリントイーストウッド作品は基本的に好きです。 【メメント66】さん [インターネット(字幕)] 7点(2020-01-21 00:55:04) |
182.《ネタバレ》 最後はやっぱり44マグナムを持って悪党をぶち殺しにいくのかなと思いきや、この手があったか! 【チェブ大王】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-08-29 08:27:56) |
181.クリント・イーストウッドらしく、よくよく考えるとツッコミどころやご都合主義なところが見え隠れする作りですが そんな細かいことは一切感じさせない勢いがあり、鑑賞後の深い満足度は高めでした 余談ですが 感動のあまり、後日、実父(年齢がウォルトに近い)に「あのような爺さんになってくれ」と懇願したのですが 「あれは映画だから」と現実的な回答しか得られませんでした 大人って夢がないですね 【ぐりこ】さん [インターネット(吹替)] 8点(2019-03-24 18:21:50) |
180.《ネタバレ》 余命いくばくもないことを覚悟していただろうけど、自らが引き起こした悲劇に対する責任の取り方が凄まじい。 タオに接したように、息子たちにも接することができていたら、彼の人生はもう少し後悔の少ないものになっていただろうな。 「グラン・トリノのけつにスポイラーをつけるな。あれはクソだ」 この遺言には心底共感。 本物は生身で勝負なんだよな。 心にしみるいい映画だった。 |
|
179.大好きなイーストウッド監督作品であるが、2番手に好きな作品群。何が足りないのかは、わからない。けど、個人的には、何かが足りない。いや、足りすぎているのか。筋は、読めます。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 8点(2018-12-25 20:47:22) |
178.タイトルからしてアクションもののように思えるが、 イーストウッドの映画とは思えない低予算で地味な人種問題ものだ。 それもアフリカ系ではなく、アジア系というあたりが珍しい。 暴力には暴力で応えてきた彼の代表作『ダーティハリー』シリーズのセルフパロディ要素がちらつき、 そんな老い先の短い男が不寛容の世界において最期の答えを提示する。 対立と交流を織り交ぜたオーソドックスな筋書きながら、重厚さを出しつつサラッとした味わいに、 イーストウッドの貫録と余裕が感じられる。 欠点も少なくないが、それでも許容してしまうような温かさがある。 |
177.クリント・イーストウッドが、許されざる者とミリオンダラー・ベイビーで描いてきたテーマに対して、彼なりの答えを提示している。 ラストシーンは金槌で頭を殴られたような衝撃を感じた。ラストに向けてミスリードがなされているが、観終わってみると丁寧に伏線が張ってあったことが分かり、これ以上ないくらい納得がいくものになっている。 クリント・イーストウッド作品の集大成と呼ぶに相応しい。 【アクアマリン】さん [ブルーレイ(字幕)] 10点(2018-12-01 01:04:46) |
176.《ネタバレ》 全般静かにストーリーは進んでいきます。最後に丸腰で悪党たちに立ち向かうあたりが、もの悲しい。 【ゆっきー】さん [DVD(字幕)] 6点(2018-04-28 13:33:41) |
175.《ネタバレ》 良い映画というのはわかるのですが、ゆっくり淡々とした流れの前半が正直退屈。アクションやサスペンスを期待しているわけではありませんが、ドラマならではの面白みがもう少しほしい。 また、序盤は可愛げのない孫達や、そんな子供に育てた息子夫婦に若干いらいら。それに、後半への布石とは言え、若い神父に対するウォルトの態度がなかなかひどい。なんか不愉快な気持ちにばかりさせられます。 タオ一家との交流が始まってからは、しだいに温かい空気になっていきます。タオやスーとのふれあいによって、ウォルトの冷え切った心が少しずつほぐれていく様子は、ありふれているけど微笑ましい。 その一方で、偏屈で偏見のかたまりだったウォルトが、隣人と打ち解けていく『これ』といったエピソードが足りない気はします。おばあさんの荷物を拾ってあげるタオや、親しげに話しかけてくるスーだからこそ打ち解けられたのかもしれないが、やはり説得力に欠ける気がしました。 ラストの終わり方は意外でしたね。ドラマとしての深みが出ます。余韻も生まれます。それまでのストーリーとのバランスだってとれている気がします。ただですね、時代劇をいっぱい見て育った世代としては、「てめえら、いい加減にしやがれ。皆殺しじゃー。おらー。」ってな感じで、とにかくケタ違いの強さを見せ付けて悪党どもを粉々にして欲しかったのが正直な気持ち。周りからどんな批判を受けよーと、『目には目を』ってわかりやすいケリのつけ方が好きなんです。 つまりは、この作品は『娯楽』ではない、だから性に合わない、ということですね。 【たきたて】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-02-24 04:25:53) |
174.《ネタバレ》 クリントイーストウッド最後の出演作として最高のラストでした。ハリーキャラハンなら問答無用で撃ち殺したろうけど、ある意味どんでん返しでした。こんな決着のつけ方があったのか。これなら復讐の連鎖も無いだろう。お見事としか言いようがない。 気だるそうなラストの音楽も最高です。 【仁】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2018-02-04 01:10:23) |
173.個人的には地味で暗めのヒューマンドラマは嫌いです。 実際、ここでもそのタイプの映画には低い点数をつける事が多いのですが、しかしこの映画レベルになるともはや嫌いだなんだと言うのがアホらしくなってきます。 ストーリー自体は地味でなんのひねりもないものですが、しかし観終わった後に染みる余韻は相当なものです。 それは一見地味ながらもそこに複数のテーマが重層的に描かれているからこそなわけですが、残念ながら生粋の日本人である自分には、この映画に含まれた複数のテーマにあまりなじみがなく、肌感覚で直感的にテーマを感じる事ができません。(頭の中で分析的には理解できるのですが) それでもこれだけしっかりした重厚な感動を与えてくれるわけだから、ほんとたいした映画だと思います。 あと「グラントリノ」、かつてダーティハリーの中で乗ってるシーンがあるんだとか。 【あばれて万歳】さん [インターネット(字幕)] 8点(2018-01-17 00:22:11) |
172.《ネタバレ》 VODで、何があるのか探してたら、知ってる作品で、レビューも良いので鑑賞。 当たりでした。 戦争から帰還後、息子達とうまくやることができず、溝が深まっていくのを心の中では、苦悩するウォルト。 戦争で人を殺したことのある者にしかない苦しみ。。。 自分の命を犠牲にし、命を奪うことなく、復讐の連鎖を連鎖を断ち切ったところは心打たれました。 【へまち】さん [インターネット(字幕)] 8点(2017-12-31 19:25:18) |
171.《ネタバレ》 よくまとまった話だとは思いますが、要は勧善懲悪で薄っぺら感を否めず。「自分さえカッコよければいい」という、イーストウッドの悪い面が出ている気がします。結局、「ダーティハリー」からまったく進歩が見られないわけで。 それはともかく、どうもモヤモヤした点が1つ。救いようのない悪党が出てくるわけですが、彼らをなぜ、隣人と同じアジア人にしてしまったのか。察するに、仮に黒人や白人にするとリアルすぎるからではないでしょうか。それでは主要客である米国人を敵に回すだけ。しかしアジア人、それも中国人や日本人ではなくドマイナーな民族に設定すれば、ある種の対岸の火事として見ることができます。それは良く言えばファンタジーということですが、悪く言えば猛烈な民族蔑視にほかなりません。よく知らないアジア人なら、簡単に銃も乱射するし、親戚をレイプもするし、人も殺すよねと。こんな野蛮な民族に生まれなくて良かったねと。 余談ながら、肝心のグラン・トリノより、息子の乗るTOYOTAや悪党たちの乗るHONDAのほうがよほどカッコよく見えます。 【眉山】さん [インターネット(字幕)] 5点(2017-10-18 23:13:06) |
170.メッセージ性の強い作品。よってネタバレ無しで感想を書くのが難しい。基本的に笑えるシーンも泣けるシーンも結構ベタだなと思いました。しっかり笑わされて、そして泣かされましたけど。自動車産業の衰退や街のスラム化、移民などの社会的な問題について、少ないセリフで上手に説明してあるので、前知識がなくても、ああ今のアメリカ(の一部)はこんな感じなのかなとなんとなく分かります。とりあえず、まだ「ダーティーハリー」を観てない方には、そっちを先に観といた方が良いよとアドバイスしたい。その方が色々楽しめるから。 【すらりん】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-10-07 13:00:58) |