500.《ネタバレ》 DTSバージョンで見直してみました。
何かと話題にのぼる冒頭のノルマンディー上陸作戦オハマビーチの激戦シーンですが、
これだけでもこの映画がいままでの戦争映画から一歩踏み出しているのがわかります。
映画が映し出す無謀とも思える特攻は、無残な死体の山を築き、足が吹き飛び腸が露出し血で波を赤く染めます。
この映画は興行上も成功したそうですし、内容的にはきっとハリウッド的な娯楽映画なんでしょう。
でも、それでもいままでとは違った新規性があると思います。
戦争を体験したことのない私でも、本物の戦争の悲惨さはこんなものじゃないと想像がつきますが、
それでもその悲惨さをいままで以上にリアルに表現した点でこの映画は観る価値があると思うのです。
リアルに表現すれば観るものに観るものなりの解釈を生じさせることができるのですから。
私が思うに、
オハマビーチで死んでいった兵隊たちも、
3人の兄を亡くしたライアン二等兵を母の元に帰還させるために死んだ兵隊たちも、
准将を守るために重い装甲を施し、そのために機体が失速し命を亡くした兵隊たちも、
最後に残った橋を守るために少ない兵力を駆使して戦車に挑んで死んでいった勇敢な兵隊たちも、
結局は犬死に思えて仕方がありません。自分ならあんな死に方は絶対にごめんです。
たとえそれによって戦局が大きく動き、歴史的な転換点になった重要な戦闘だったとしても、
10人を生かすための一人の死であったとしても、
故郷に胸を張って帰るためであったとしても、自分ならあんな死に方は絶対にごめんです。
戦争のような極限のテーマはリアルによりリアルに描けばいい。
そうすればきっと観るものに同じ願いを思い起こさせるでしょう。