3.《ネタバレ》 なぜこの映画が嫌いなのか。●名無しの旦那(狼男)は、どういう人生だったのだろう。天涯孤独で友人が「一人も」いなかった。そして東京の国立大学で無断で聴講中、(同じく)天涯孤独な女子大生・花(主人公)から声をかけられて付き合い始めた。●もし私が狼男なら、子供を作ることに躊躇する。だがこの狼男はすぐに作る。「できた」んじゃなく、凄く作りたかったんだと思う。●在学中の女子大生に二人も産ませて、育児放棄。家を無断でしばらく出て、あっけなく事故死する。●もし私が親なら、「特殊なDNA」を伝えた子供たちに申し訳なく思う。「産ませてすまん」と罪悪感に苦しむだろう。でもこの狼男は逆だと思うんだ。●無口の設定のようだが、どう育ってきたのか。それを子育てする「花」に色々と詳しく話すだろうし、義務だと思って色々とノートをつけるだろう。子育てを放棄しているんだからね(そう見えた)。●この映画、無責任な男女が何も考えず子作りした話だと思う。美談にしてるけど「逆だ」と思うから嫌いなんだと思う。●主人公・花は、二人の子供たちを実は祝福していないし、できないと思う。産んだことには罪悪感は全く感じていないようだ。むしろ、(旦那と同様に)狼男の遺伝子をつないだことを誇らしく思っているように思う。そこがね、何か嫌なんだな。「いいお母さん」のフリしているけど、あんたには「化け物!」と言われて阻害される恐怖がワカンナイと思うんだな。ふつうの人間だからね。●それで大ヒットでしょ。21世紀の宮崎アニメみたいに、「ブランドを有り難がる層」による大ヒットとしか思えない。だから腹が立つんだと思う。●この映画の脚本を書き、監督した細田守が大嫌いだ。さらに小説版を3種類も出していることに呆れる。でも売れてるらしい。「他に読む本あるでしょ」って思う(余計なお世話か)。
<追記>
<注意>『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のネタバレ有り。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の主人公は、息子のことを心配する。遺伝のことで、産んだことを自責する。それが親だと思う。だが、この『おおかみ』の両親は狼人間の遺伝子をつないだことを誇らしく思っている(ように見えた)。
現実に「おおかみ人間の遺伝」はない、存在しない。だから他の何か(国籍や部落)を意味しているのだろう。
『桃太郎』の鬼が、白人を意味しているように。