78.《ネタバレ》 やはりシンドラーとユダヤ人従業員たちとの別れのシーンが一番印象的。もっとも偽善的に見える演出、セリフ、シーンかもしれないが、実はあの瞬間から、ユダヤ人たちには通常の日常が、シンドラーには本当の地獄が始まる。敗戦までは、明日をもしれない緊張感で気がまぎれていたかもしれないが、いざ平和になると、助けた人の数よりも、助けられなかった人への悔恨がふくらんできて、始終彼を悩ましただろう。金のボタン1個で人が1人救えたという勘定をしてしまうくらいだ、何を見ても聴いても、ことごとく人間の命に換算してしまったろう。幸せになれるわけがない。案の定、その後は結婚も事業も全てうまくいかず、晩年は不遇だったというテロップが流れる。彼は大勢のユダヤ人を救ったけれども、逆に彼らがどれほどの人数をもってしても、たった1人の恩人を救うことはできない。この矛盾は、あのラストでいぶし銀のように光っている。達成感のない偉業というのは、悲惨だ。 【tony】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-11-25 09:57:38) (良:3票) |
77.ひさびさに泣きました。このような映画を娯楽として楽しんでいる自分に-1点(←偽善的)。皆さん偽善偽善と書かれてますが、いったい誰が偽善者なの?そりゃシンドラーさんは苦い偽善の味を噛みしめたはず。だって全員は助けられないんだから。映画監督は観客を楽しませるために映画を作ってるんだから、偽善という評価は当てはまらない。この映画を楽しめず、「偽善だ」としか評価できない人こそが、偽善者でしょう。この映画を観たら、ほかに考えるべきことがあるはず。これは評価されてしかるべき映画と思います。 【よしふみ】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-06-06 12:44:47) (良:3票) |
76.最後のカラーになるシーン。スピルバーグは未来に残すためにあのシーンを入れたんですね、きっと。どんなに実話に忠実でもこれは映画だよねって安心して見ている側の心理なんか、本当にあの地獄を耐え抜いた人たちが生きて歩いてるところを見ると吹っ飛んでしまうよ。もう皆さん高齢だしあの人たちが全て死んでしまったら、昔こういうことがありましたで終わってしまいそうになるんだけど、それがただの歴史ではなくて現実だったんだと認識させてるのが最後のシーンだと思う。映画としてはあのシーンはいらないと思うんだけど、50年後、100年後には必ず価値のあるシーンになる。 【たろさ】さん 9点(2004-06-21 00:30:05) (良:3票) |
75.《ネタバレ》 実はこの映画を見てからもうしばらく経つが、あまりにも一言二言では表すわけにはいかない作品なので、レビューをしようとしてもなかなか上手くいかなかった。つたない言葉ではあるけど、記憶をたどってやっとレビューしてみようと思う。私はユダヤの映画が好きだ。どんな映画が好き?と聞かれてノンフィクションと答えるとかなり高い確率でシンドラーのリストは見たかと聞かれた。まだ見ていないと答えると見るべきだとたくさんの人が言った。ずーっと見ようと思っていたけど、その度に何故かためらう。暗い気持ちになる準備がなかなかできていなかった。レンタル屋でこのDVDを何度手にしたか。その度に「この中には凄まじい残酷が詰まっているはずだ」というまだ見ていないにも関わらず思い込んでしまっていた。そんなことを繰り返して何度もたったある日、遂に見ることにした。夏の夜中に一人で見た。3時間も経っていたとは。全然長さを感じず過ぎてしまった。まず白黒っていうのが良い。カラーよりもずっとリアルに写っただろうと思う。その証拠が赤いワンピースの少女のシーン。あのシーンは残酷ですよね。全裸で走らされるユダヤ人達の群れ。シューティングゲームのように無差別に狙われ打たれる人々。それをあたかもひとつのストレス解消法のように楽しむ中佐。地下のトイレに息を潜めひっそり隠れる少年。それらのシーンが印象的で今もなお鮮明に焼きついて忘れることができない。また、ラストにもっと多くの人を救うことが出来なかった自分にいらつき、後悔に暮れ泣き叫ぶシンドラーの姿はこの映画の鍵と言うか、なんというか言葉が浮かばないが、とても重要なシーンとしてみなさんの記憶にしっかりと残っているのだと思う。私も思わず泣いた。最後の最後にシンドラーによって命を救われた人々が出演俳優とシンドラーの墓に石を置いていくカラーのシーンもまた良い。実際の人々が出演することでこの人があのシーンの人か、あの少年は今は私の父親世代のおじさんになったんだ、とか時代の流れを感じることが出来るから。とにかくいい映画を見せてもらった。映画で歴史を知るってなんて素晴らしいことなのだろうと再度実感した。シンドラーの行動によって生きることが出来た人達の子孫がこの世に存在する限り、自分が生きているこの奇跡を知るためにもこの映画を次の世代に伝承して欲しいと願ってやまない。 【未歩】さん 9点(2005-01-12 21:09:47) (良:2票) |
74.《ネタバレ》 二度と再視聴しないだろうと思っていた映画だが、たまたまCSで放送されたのと、最近始めた趣味(レビューを書く)の為に観ることにした。20年以上前に観たっきりだが、ほぼ全編を覚えていたから驚いた。それだけ衝撃的でわかりやすく、印象に残ったんだろう。 ホロコーストを扱った映画で残酷な描写が多く、ものすごく重たい。こんな、精神異常者の衝動殺人みたいなことが、近代オリンピック後の先進国により国家主導で行われていたことが恐ろしい。 『映画ほどの善人じゃなかった。』とも言われているそうだが、彼の行なった結果は善行に他ならないし、それが出来るだけの権力を持っていた。プワシュフ強制収容所という閉鎖された空間で、共に絶対権力を手に入れた実業家オスカー・シンドラーと親衛隊少尉のアーモン・ゲート。 賃金の安いユダヤ人を使い、戦争で荒稼ぎをして金銭欲を満たすシンドラー。 下級将校でありながら強制収容所所長の座に付き、気分次第で人を殺害するなど、支配欲を満たすゲート。 シンドラーはゲートに酒や女を提供し、ゲートはユダヤ人女性とキスをして捕まったシンドラーを救う。この権力者二人は、飲み仲間で友人同士だ。 シンドラーを善行に動かしたのは会計士のシュターン。彼は常に死と隣り合わせの生活をしながら、一人でも多くの生活を向上させるための努力を惜しまなかった。 リストを完成させたときシンドラーに「このリストの外は死の淵です」と伝えるシュターン。シンドラーがこの言葉の意味ときちんと向き合えたのは、戦争が終わり自分が逃走するときだった。それだけ、奔走していたとも言える。 開放されたシュターンたちが、どこに行くでもなくその場で朝まで寝過ごしたことも、自由を奪われてきた期間の長さを物語っていて印象深い。 この映画では色んなシーンで対比が描かれる。豪邸を追い出され、雑居アパートに移り住むユダヤ人家族と、その豪邸に移り住み満足げなシンドラー。アウシュヴィッツから生還出来る列車に向かうシンドラーの女性たちと、列車で届けられたばかりの未来のないユダヤ人たち。沢山の石を積まれたシンドラーの墓石と、道路にされたユダヤ人の墓石。 対比と言えるか微妙だが、ユダヤ人を一列に並べて一発の弾で射殺するシーンがある。インディ3で、一列に並んだドイツ兵を一発の弾で倒すシーンがあったが、同じような構図で観る者に真逆の感情を与えるスピルバーグって、とんでもない監督だ。 【K&K】さん [地上波(吹替)] 9点(2021-02-24 00:10:18) (良:1票) |
73.人が殺される様、裸で逃げ惑う様、など実際にこうだったのだろうと確信できる恐ろしくリアルな映像が次から次へと流れ、書籍や戦争娯楽映画でしか知識を持たない私に衝撃を与えた作品。 結果として多くの命を救ったシンドラーの本心は、今となっては不明だが、行動が善意に勝ることもあると身につまされた。 この映画の価値は、虐殺がどのようなものか、環境で人間がどう変わるのかを、国境や宗教観を超えて、戦争を知らない我々のような世代の心に刻み込むことにある。そしてそれは多くの実績で名声を上げ経済力を持ったユダヤ系スピルバーグだからこそ、この世に送り出せたと考えられる。 【taruga】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2018-10-05 17:44:44) (良:1票) |
72.《ネタバレ》 ホロコーストは何度も見てきたがこの映画が1番良い。 モノクロが映し出す映像の美しさと卓越したストーリー。 決して善人では無かったシンドラーの人間臭さと、ナチス党員の彼の心境を変えるほどの凄絶な時代背景。 車やバッジでユダヤ人をもっと救えた。 最後痺れる場面です。人って変われるものだ。 伝わるもの、考えさせるもの。負の歴史に背を向けてはいけない。何かと響く映画なんです。 スピルバーグ最大の傑作と言っても過言では無い。 もう少しファンタジー路線外れたものにも力を注いでくれたらもっと名作が撮れたんじゃ無いかなぁ。 そのくらい思わせる作品。 |
71.《ネタバレ》 自身もユダヤ系アメリカ人であるスピルバーグは、約10年の構想を経てこの大作を撮りあげたという。 スピルバーグの映画で最も長く、最も見応えのある映画の一つだ。 ヤヌス・カミンスキーによる撮影は、カラーのパートにおいても“黒”のコントラストを失わない。 それは市川崑と宮川一夫の「おとうと」から続く“銀残し”にも精通する彼の実力が存分に発揮されているからだ。 冒頭と終盤を除いて白黒で撮られた映像。 まるでアラン・レネの「夜と霧」のようにドキュメンタリータッチでユダヤ人の悲劇を描く時もあれば、 バッハ(劇中の“モーツァルト”は間違い)の「イギリス組曲第二番のプレリュード」が虐殺と共に奏でられる胸糞の悪さと芸術的な興奮すら感じさせる“憎たらしい”場面もある。 バッハ好き発狂間違いなし。 序盤の「暗い日曜日」だって陰鬱さは無い。 朝セ●クス後のアーモン・ゲートのクソ野郎が事後処理とばかりに狙撃するシーンも最高に胸糞が悪い&悔しいけどそそられる。これほど美人のおっぱい見て素直に喜べない映画も無いよ。 居住区と元住居の対比、ありとあらゆる場所に隠す財産・人、それすら見つけ嬲り者にするナチスの黒い影。 不気味な鉄ヘルメットの行進は、虐殺を愉しむように、家畜を殺すように引き金を引くのだ。人を治すためでなく殺すために使う聴診器、閃光が語る虐殺・・・。 白黒の画面の中を駆け抜ける赤い服の少女。観客とシンドラーだけが、あの少女に気付く。 そんなドイツ兵も“ロシア戦線”は怖いらしい。冬将軍恐るべし。 列車のシーンは見る度に絶えず絶望感を拭えない。“手違い”でアウシュビッツに送られるシーンの恐怖といったら。 同胞の死体を火葬しなければならない苦しみは彼らにしか解らない。 蝋燭に火を灯す場面からはじまるこの映画は、次々とその灯火が消えていく。その灯火を拾い集め、最後まで絶やさなかったのがオスカー・シンドラーという男だった。 彼は安い賃金で働くユダヤ人を“労働力”として社員集めをし工場に迎え入れる。 飼い犬を可愛がるように接していたが、面倒見が良すぎるシンドラー社長はやがて同じ“仕事人”として、一人の人間として惚れ込んでしまう。自分の総てを犠牲にしてでも“仲間”たちを守りたいと思うようになる。仲間の名前は一時一句総て覚えている。 「私はドイツ人だ。それがどうした?」 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-10-09 20:18:24) (良:1票) |
70.《ネタバレ》 超々超大作!戦争の凄惨さを見事に描いた作品だと思う。 少女の赤い洋服にアクセントが置かれていて、シンドラーはその少女を再度目にする。 蝋燭の灯りもそうだけど、そのアクセントの置き方に監督の並外れたセンスを感じた。 とにかくその少女の存在感は神秘的な妖精のようで、戦争はその少女の命まで奪ってしまうのか!という怒りというか悲しみがこみ上げてきた。 少女はメッセージだったのだと思う。少女は言葉では語られることは無いが、 戦場に咲く小さな「花」のような存在(その小さな命がそこで一生懸命に生き延びようとしたメッセージ)。 アウシュビッツ収容所の煙突から煙が出ている場面は観ていてとても不安な気持ちになった。そこに連れて行かれる人たちに恐怖に怯えた表情がとても印象的だった。 シンドラーは偉大だったと思う。それでも「もっと救えたのに、、、」と嘆く。 あと10人、あと2人救えたのに、、、と泣き崩れるその想い。 (自分が11000人も救った!とは言っていない) 12000人を超えるユダヤ人を救ったとあるが(凄い)、 実際に惨殺された人数は60000人以上(たぶん)だとか、、、戦争の凄惨さはとても想像すらできないほど恐ろしく酷く悲しいものだったのだろう、と無知な僕でさえ思う。 最後にシンドラーの墓を見たときには、とても悲しい気分になった。 物語の最後にお墓をもってこられると淋しくなります。 【ゴシックヘッド】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-12-23 05:50:03) (良:1票) |
69.《ネタバレ》 『戦場のピアニスト』とは若干異なり、こっちはドイツ人視点で描かれてますね。だからでしょうか、ずいぶんと優雅に毎日を過ごすシンドラー(リャム・ニーソン)がちょっと嫌味に映ってしまいました。最初は自分の経営する工場のことしか気にしないシンドラーでしたが、徐々にその工場をユダヤ人を助けるために使い出すシンドラーがとてもうまく描写されています。 「この車一つであと10人は助け出せたのに・・・」というセリフはあまりにも悲しく、心に響きます。「あんたは充分やったよ。」って声かけてあげたかったです(泣)。オレとしては「この車一つであと10人…」ではなく、「シンドラーがあと10人いれば1万人の命が救えたのに・・・」と感じました。 この映画を観ても、そしてその評価を見ても、もはや戦争なんてものは愚かなこととしか言えないものだということは言うまでもないはずなのに、なぜ今の世の中にはいまだに人種間の争いや差別による戦争が絶えないのでしょうか。 【TANTO】さん 9点(2005-03-24 01:46:47) (良:1票) |
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68.全編リアルな迫力があり、最後まで衝撃の連続でした。最初の山場、ゲットー解体の場面では本当に震えました。本当にあった話か?、というより、嘘であって欲しい…と思わずにはいられないほど残酷な場面の連続。最後のご本人達の登場で、これがたった約60年前の出来事だという現実を改めて知らされます。映画だから全てを事実に忠実に再現したわけではないかもしれないけど、ホロコーストの悲劇の生々しさをリアルに再現し、物語もきちんと作られているあたりはとても見事です。あまりにショックで三日連続で見てしまいました。 【プミポン】さん 9点(2004-10-07 02:12:21) (良:1票) |
67.《ネタバレ》 イメージだけで避けてた映画。鑑賞して、映像の迫力、ストーリーの重さともに圧巻です。 もっと早く見るべきだった。シンドラーのラストの言葉「努力すればもっと救えたのにしなかった」は一部の人しか救えない慈善活動なんてある種の悪だと考えていた私の胸に強く打つ言葉だった。 【ナノーマル】さん 9点(2004-06-13 18:14:22) (良:1票) |
66.スピルバーグが長年温めていた作品だけに、その意気込みは十分にスクリーンに現れている。淡々の相手を銃殺するシーンや、モノクロの中の赤い少女の終焉を見たときに戦争の重みを感じられずにいられなかった。戦争はあってはなrない事だ。それにしても、重く辛い作品だけに、いつものようにオチをつけられない。なんてことだ。 |
65.《ネタバレ》 暗く重く、何度も見る気にはならない、映画を見ている最中も、映画館からとっとと逃げ出したくなるような映画でした。だけど、目をそらすな、と。スピルバーグは当時のゲットーに、収容所に観客を導きます。客観的な視点ではなく、ぐっと中に入り込んで、その世界を体験させます。それは、スピルバーグお得意のテクニック。だけど、ここは海水浴場やテーマパーク、邪教の神殿ではなく、人が人を意味なく殺してゆく世界。映画は「こんな歴史がありました、さて、どうよ?」と問い掛けてきます。シンドラーという人物の功績よりも、無力感の方が目立つ映画でした。そして、ナチによるユダヤ人の迫害もシンドラーという人も、実際に存在していた事が、ラストのドキュメンタリー部分であらためて明確にされ、人の暗い歴史を思い知るのでした。この映画は、この世界に必要とされた映画だったと思います。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 9点(2003-12-07 15:54:42) (良:1票) |
64.《ネタバレ》 公開当時に劇場で観たはずなのだが、今回改めて鑑賞して、ほとんどのシーンが記憶になく、ほぼ初見のように感じたことに軽い衝撃を受けた。 唯一印象に残っていたシーンはシンドラーがラスト「もっと救えた…」と繰り返し慟哭する場面。このシーンのための映画だったとも言える名シーンだ。 シンドラーが根っからの善人というよりは、普通の欲深な商売人であり、女性や酒が好きな俗な人間として描かれているところは真実味があって好印象。そのシンドラーがエスカレートしていくナチスのユダヤ人迫害に巻き込まれつつ、心が変遷していく様子が丁寧に描かれ、3時間を超えるという当時としては異例な長編ながら、長さはあまり気にならなかったし、リーアム・ニーソンの演技も見応えがあった。 このあたりはスピルバーグ監督らしいつくりで、とかく重くなりがちなホロコーストという題材を、硬軟とりまぜてドラマチックに描く手法はさすがに秀逸だ。 また、ゲットーや収容所における迫害や身体検査、ガス室の描き方、家族が引き裂かれる苦しみなどは史実に基づいた描かれ方をしているが、登場するユダヤ人たちはシンドラーの工場で比較的良好な待遇を受けていた人々が中心のため、本当に(もっと)悲惨な境遇にあった人々については描かれていない物足りなさも感じた。(しかし骨と皮だけにやつれ果てた人物を実際に撮影することは不可能なのも理解できる) いずれにせよ、本作はハリウッドの人気監督が製作した作品ということもあり、ホロコーストの歴史を多くの人々に伝えた功績は大きい。その歴史的意義に+1をつけたい。 【田吾作】さん [インターネット(字幕)] 9点(2021-09-15 17:13:37) |
63.《ネタバレ》 素直に感動しました。同時にこんな残酷な出来事がそう遠くない昔に実際にあったんだ、という衝撃も大きかったです。他の方の感想として、賞を意識している、実際の不幸な出来事を金儲けに利用している、などの意見がありますが、それは違うと思いました。そういうものは映画を観た人が評価することであり、結果論で後からついてくるものです。そんなことより「こんな歴史を繰り返してはいけない」という教訓を少しでも多くの人に残した、この事実を評価したいです。印象的な台詞では、シンドラーがドイツ兵士に「殺人者としてではなく、ひとりの人間として家に帰りなさい」というものです。この台詞が事実だったのかどうかはわかりませんが。 【金田一耕助】さん [DVD(字幕)] 9点(2021-08-20 16:55:48) |
62.既にナチスの敗戦を確信していたかのようなシンドラー、SSからの不信の目をすり抜けていく言動にしたたかなパワーを感じます。 見るに堪えない映像の連続に極限状態での人間の本質が心に痛く突き刺さります。 もしこの戦争がドイツの勝利だったとしたらこれらの忌まわしい史実は闇に葬り去られていたんでしょうね。 ヒロシマ・ナガサキへの核使用は戦争の早期終結で多くの命を救ったなんていう勝者の言い訳が詭弁となる日を切に願います。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-08-11 20:33:59) |
61.《ネタバレ》 いきなりどうでもいいようなことだけど、美人秘書をわんさかとはべらすシンドラー (リーアム・ニーソン) がよかった。女たちにタイプを打たせて、それを楽しそうに眺める彼の姿が笑えた。この題材ですら、"娯楽性" にこだわるあたり、とてもスピルバーグらしいな、と。もしかしたら、「ジョーズ」や「インディ・ジョーンズ」すら、本作への試金石だったのかもしれない。そう思えるほど、ユダヤ系の大映画監督がやがてたどり着く、集大成であり到達点のような映画だった。 冒頭、野心のかたまりであったシンドラーは、はっきり言っていけ好かない。しかし、障害者の従業員がナチスに殺られたあたりから、明らかに彼の心に "変化" が生じていく。彼の怒りは単なる一経営者としてか、ナチス上層部への対抗心か、それとも「正義感」が芽生えたのか、ここではまだわからない。やがて、殺りくと死体の山を目の当たりにして、彼が決意したのは、自分が救わなければならない「使命感」だろう。オスカー・シンドラーその人が、人道主義者として覚醒し成長していくという、彼自身の "成長記" としてもよくできた映画だ。 そして、彼が救ったユダヤ人たちに見送られる最後の場面は、私の心に深く突き刺さり、生涯忘れることはあるまい。このとき、リーアム・ニーソンの涙は、確かに演技などではなかった。 数限りなく悲惨な出来事があったホロコーストという歴史について、赤い服の少女と、この涙と、彼を見つめるユダヤ人たちの眼差しが、私に多くのことを教えてくれた。 【タケノコ】さん [DVD(字幕)] 9点(2021-02-22 13:34:40) |
60.深い悲しい映画。 こんな時代があったのかと考えさせられます。 【へまち】さん [DVD(字幕)] 9点(2017-08-20 13:56:44) |
59.《ネタバレ》 派手にやられていくハリウッド映画において、淡々と行われる銃殺の描写に初めて衝撃を受けた。糸が切れたように崩れる人々、色の失われた世界で唯一着色された赤い服の少女、タイプライターで明記された名前、そこにはいつ零れ落ちるか分からない"命"が眼前に横たわっている。シンドラーは金儲けしか考えていない俗物だったが、だからと言って普通の人々が何の疑問を持たずに虐殺に手を貸す、その違いはどこにあったのか。見返りも一切なく、裏切り者として殺されるかもしれない、"偽善"と呼ばれても自分は救えるのかと聞かれると自信はない。ただ、結果的に1100人を救ったのは事実で、そこには打算などない。「お金があればもっと救えたのに」とシンドラーの懺悔とも言える台詞が最も胸に迫る。このシーンからの展開は、今思えば感動に走ってやり過ぎと感じなくもないが。暗いトンネルから抜け出したような青い空があまりにも眩しくて、鮮烈だ。 |