11.《ネタバレ》 自分は前回の東京オリンピックのゴタゴタで、巨大ビジネスと化してしまったオリンピックというお祭り騒ぎにすっかり嫌気がさして興味もなくしてしまったので今回のパリ・オリンピックはいっさい観てもいないが、ここで100年前の同地でのオリンピックを振り返ってみたいと感じて本作を観返してみました。 ハロルド・エイブラハムとエリック・リデルはもちろん実在のメダリストだけど、この映画の中では二人のアウトサイダーと大英帝国とのそれぞれの係わりを興味深い対比で見せてくれます。エイブラハムはユダヤ人移民の出自でリデルはスコットランド人の長老派教会の宣教師、両者とも大英帝国のエスタブリッシュメントからすればイングランドに飲み込まれた異邦人なんです。ハロルドは裕福な家庭で育ちケンブリッジに学ぶ頭脳の持ち主だが、レースで勝つことでユダヤ人というハンデを消したいと熱望する男。英国はロスチャイルド家が爵位を得たりベンジャミン・ディズレーリが宰相に昇りつめたりしているが、ユダヤ人を差別はしないが区別はするというのが英国社会の本音、要は利用できるものはとことん利用しますけど…という感じです。エリックは早く走れることは神が与えてくれた能力で、これを活かして神の御業を称えたい、というコチコチのキリスト者。両人とも、自己の信条をエスタブリッシュメントが求める国家や大学に対する忠誠のためには絶対に曲げないタイプ。対して真のエスタブリッシュメントの一員であるリンゼイには走ることは彼にとって遊びの一つであり、オリンピックでも何の気負いもなく400m走の出場権をエリックに譲る。この三者の生き方の違いを上手に脚色した素晴らしい脚本だと思います。 それにしても100年前のオリンピックの素朴なところと言ったら、100年後と較べると町内会の運動会を見ているような感じです。あとこの大会の参加は44国・地域だったそうですけど、異様なほど有色人種の選手が観れずまさに“白すぎるオリンピック”という感じです。日本はもちろん参加してましたし開会式のシーンではトルコの国旗もチラッと見えましたが、まだアフリカやアジアはほとんど列強の植民地だったころなのでしょうけどね。でもトラック競技で黒人選手がまったくいないというのは、現在の視点ではちょっと異様な感じがします。アメリカ選手団の練習風景では、一人だけ黒人選手がチラッと映りましたけどね。 今やあまりに有名なヴァンゲリスのテーマ曲や海辺を走る映像はもはや映画遺産といって良いでしょう。やっぱ本作はスポーツがテーマの映画としては最高峰なのかもしれません。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2024-08-21 23:05:37) (良:1票) |
10.《ネタバレ》 初見は公開時の日比谷の映画館。予備校生時代の鬱屈した精神を、この映画に出てくる同世代の若者たちの信念の強さや、高貴な意識に打ちのめされた想い出がある。 ある一時期、五輪に向かう日本の選手達が流行語の様に「楽しんできます」「遊んできます」との発言を連呼していた。マスコミに対しても必要以上に不機嫌な表情を露骨に見せていた。。。彼らのアスリートとしての実力は尊敬に値するが、五輪に挑む覚悟や、強靭な信念はそこに感じられなかった。 国民の期待やプレッシャーや、煽り立てるマスコミが、彼らの思考をネガティブにさせていた事実は否めないが、この映画に描かれた若者達には、もっと崇高でもっと歓喜に満ちた五輪への思いがあったように感じられた。 その時のパリ五輪での事実をありのままに伝えようとした映像は、結果として時代を超越して見事な光線美と溢れる格調の高さをスクリーンにもたらしている。心にしみる傑作。 【こた】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-08-02 07:59:47) (良:1票) |
9.「その道で名を成した人々を称えよう。彼らはその時代の人々の誇りであり、栄光でした。」映画中に忠誠・信仰・団結・自己犠牲の精神などが謳われており、同じ様に歴史と伝統のある日本人に大変愛されるであろう作品。偏狭でない良質な愛国映画。文科省は、下手な愛国心教育するより、この作品を授業で鑑賞させるように指導したほうがいいだろう。 【Waffe】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2006-04-04 19:33:32) |
8.いいですね、大好きです。内容もいいけど本当、音楽の入れ具合が本当にすばらしい。最初の砂浜を走るシーン(ネタバレ?)が最後にまた同じように、、、しかもヴァンゲリスの例の曲。そこで感動がピークに達するのです。(笑 何度も観て、何度も泣きましたね。本当に好きな映画です。是非お薦め、暇な休みにどうぞ。 【カルネシウム】さん 9点(2003-07-16 14:34:20) |
7.《ネタバレ》 スターが出ているわけでもなく、どちらかと言えば地味な作品だが大好きな映画。テーマや演出、とりわけ音楽が素晴らしい。全編に漂う1920年代のブリティッシュな雰囲気もいい。最初の浜辺を陸上部が走るシーン、バックに流れるヴァンゲリスのあの有名な曲。個人的にこういうシーンにはめっぽう弱い・・・のに、最後も同じシーンとは・・・「エルサレム」で涙してしまいました。得られるのは名誉だけだった時代。この頃のオリンピックは、まさに理想とされる大会だったんだな(現在の商業主義、薬物疑惑、誘致贈賄etc.と比べると)。ところで、老人2人はオーブリーとアンディでしょうか?〈ちょっとネタばれ〉 【テリー】さん 9点(2003-07-04 22:30:17) |
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6.ここまでブリティッシュな作品は無いんじゃなかろうか(ハリポタくらい?)。音楽は満点です。みゆき座で見た後すぐサントラ買いに行きましたね。一番の見せ場である100m走決勝の演出(音楽含む)が独特で見事でした。イアン・ホルムのコーチ役もよかったですね。国旗掲揚を遠くから見るシーンや、そのあとに2人で酔っぱらって話すシーンなどがとても良いです。 【extl】さん 9点(2003-05-03 01:14:44) |
5.かなり昔に見たのであまり覚えていませんが、音楽による効果が非常に高く間違いなく名作である事は確かです。 |
【なな】さん 9点(2002-02-09 19:20:39) |
3.舞台は1924年のパリオリンピック。信仰とナショナリズム,民族と20年代ヨーロッパの政情。あまりに重いテーゼの感じられる作品だった。色彩を極度に抑制したような地味な映像を通して2人の英国人青年の強烈な生き様が投射される。スコットランド人のエリックは・リデルは,敬虔なクリスチャンとして信仰のため,そしてもう一人のリトアニア系ユダヤ人であるハロルド・エイブラムスは,彼を長年苦しめてきた英国正教会の偏見に対して,民族の誇りをかけて走る。奥行きの深い底光りするような魅力を内包した逸品である。20年以上たった今見ても,その魅力は決して色褪せず,むしろブリティッシュ・トラッドのファッションが垢抜けてさえ見えてしまった。ギリシャの作曲家ヴァンゲリスのメイン・テーマは有名だが,「聖地エルサレム」等劇中にも多くの名曲が散りばめられている。 【koshi】さん 9点(2001-09-15 19:12:15) |
2.陸上競技でオリンピックを目指す若者たちを、これ程までに格調高く思い入れたっぷりに描いた作品は、後にも先にもこの一本だけだろう。今やスタンダード・ナンバーでアカデミー賞を獲ったバンゲリスのテーマ曲が、さらに感動を盛り上げている。 【ドラえもん】さん 9点(2001-03-15 16:00:34) |
【そしえ】さん 9点(2000-07-17 16:29:40) |