8.満を持して、川島雄三監督の代表作にして、日本映画を代表する傑作『幕末太陽傳』を鑑賞することができた。
川島監督の作品はいくつか観てきたが、やはり本作のパワーとスピード感は別格だった。
日本映画史に名を残し、「日本映画ベスト10」といった企画等で常連である本作。
その実力を目の当たりにすることができた。
川島監督にハマりつつあるが、それと同時にフランキー堺にもハマりつつある。
フランキー堺の丸っこい体に似つかわしくない、その軽やかな動きに脱帽。
あの動きは確かに“芸術”の域にまで達している。
そして、とぼけた表情に、スピーディな軽い語り口。
外見的には決して二枚目ではないのに、劇中の女性に惚れられる役回りが多いが、確かにそれを納得させる人間的魅力を感じる。
ちなみに本作には、石原裕次郎も出演している。
主演はあくまでフランキー堺だが、石原裕次郎もさすがの存在感。
その他のキャストも実に豪華。
南田洋子、金子信雄、山岡久乃、岡田真澄、菅井きん、西村晃、二谷英明、小林旭・・・などなど。
特に岡田真澄のインパクトが大。
「若い頃は痩せていて、晩年とは全く違う感じだった」と誰かに聞かされた記憶があるが、確かにその通りであった。
本作は、幕末の品川遊郭を舞台にしているので、沢山の女性が登場する。
その中でも中心的役割を演じた女性が南田洋子。
ご存知、長門裕之の奥さん。
これがとても美しくてビックリ!
南田陽子って、こんなに綺麗だったんだぁ・・・と感心してしまった。
これなら長門裕之も惚れるハズ。
フランキー堺の魅力あふれる演技と、豪華な脇役陣、美しい女性たち、そして「古典落語」を題材にした数々の面白いエピソードなど、見所を挙げればキリがない。
劇中の騒々しさとラストの静けさとの対比や、味わいのあるラストシーンも素晴らしく、“日本映画を代表する1本”という肩書きに偽りはなかった。