1.《ネタバレ》 このサイトでは最初おもいのほか点数が低く驚きましたが、おそらく大げさなタイトルと副題のせいかと。おまけに必要以上に抑制的で、カット数を決めて撮る平山監督なので、ハリウッド映画のようなドンパチとスリルを想像していると肩すかしにあいます。
大場がいかにフォックスだったか、というより、フォックスと呼ばれた大場の投降までの一年半を描いた作品です。そういう視点でみると、よく撮れているし、細かい所の描き方が非常に良いです。例えば日本軍の戦術、銃剣の使い方、などあの通りで、THE PACIFICの日本軍が米軍みたいな戦いをしているのに較べると、好感を持てます。
バブル以降、日本の戦争映画は兵隊がどれも兵らしくない動きと格好ですが、CG、スタントなしの主人公たちの演技もあって、本作ではかなり真に迫っています。もっと個別の重要人物の心理描写を掘り下げてほしい気もしますが、そうすると3時間ぐらいになるでしょう。もっともこの2時間で飽きなかったので、もっと長いバージョンがあってもいいかも知れません。
最後の投降の場面、大場の剣を納める場面は秀逸です。日本軍の投降をここまでちゃんと威厳をもって描いた映画はこれまでなかったように思います。