90.《ネタバレ》 ダークファンタジーの最高峠。
ティムバートン監督の真骨頂。
悲しすぎるラブロマンスに心を揺さぶられる。
シザーハンズエドワードの優しさに感動した。
無垢な人間が怪物になってしまうのは他人の悪意が原因であると思う。
どことなくデイビッドリンチ風な感じもしたのは僕だけだろうか。
町の変な感じが良い。
まるで機械のシステムで動いているようなシュールさが不思議で何とも言えない。
カラフルな家々はおもちゃの家のようで不思議だ。
そしてその家々とは雰囲気のかけ離れた古城のギャップに驚かされる。
この効果のセンスはティムバートン天才的だ。
そしてティムバートンは村の人たちの両面性というか正体を上手くとらえていると思う。
最初は心の未発達な怪物が人々の愛と優しさに触れることで徐々に才能と人間性を開花させてゆく話だと思った。
しかししょせん平和なところの人の集まりとは悪意の渦巻きでしかないとこの映画を見てると思えてしまう。
怪奇映画な雰囲気が楽しい。
「カリガリ博士」のチェザーレのような歩き方、「吸血鬼ノスフェラトゥ」のような影、「ドラキュラ」の古城、「呪われた町」のような設定、
「エレファントマン」のように綺麗な心を持ち芸術性に富んだ感性、
「フランケンシュタイン」のような人造人間とそれから終盤で村人が結束して怪物を追いつめる場面、
そして怪奇映画名優ヴィンセントプライスの演技、
などなど過去の怪奇映画からの影響が怪奇映画ファンをうならせる。
優しさと悲しさと幻想性の相性がみごとぴったり。
残酷さに裏打ちされてるがこんな美しいお伽噺はない。
美しい感性を持つシザーハンズエドワードを追いやったのは他人の悪意と嫉妬でしかない。
しかしエドワードは愛する女性から告げられるある言葉を聞くために神様が彼を地上に落としたのだと思う。
その言葉を聞けただけで彼は報われたと思う。
雪の舞う中で踊る美女キム。ダークファンタジーをいくつか見ましたがこれほどロマンチックで美しい場面はない。
10年ぶりくらいの鑑賞。こんな素敵な作品をどうしてもっと観なかったのか自分は。