11. もう30年近くも前の映画になるんだなぁ。もう何度観たことだろうか? ところが何度見ても面白い。こんな邦画はなかなか無い。
ラーメンウエスタンとはよく言ったもので、話の流れはまさに西部劇にありそうな展開。それを意識した絵作りも面白い。
しかし、単純かつ明快なストーリーだけの作品なら、この映画はよくある邦画の一本で終わっていただろう。伊丹監督の『マルサの女』や『スーパーの女』などは題材の取り方こそ面白いが、あとは普通の映画だ。
この『タンポポ』を他の作品と一線を画したモノにしているのは、所々で差し挟まれるミニストーリーだ。役所広司と黒田福美がエロい!w その他にも不条理モノがあったり、ショートコント的なネタがあったりとバラエティに富み、娯楽作品としては実験的でありながら、箸休め的な意味合いにもなっている。これは巧い作りだろう。
そうそう、うまいと言えば……。よく「映画は監督のモノだ」などと言うが、この映画は、監督の力量一つでこうまで違うのか、と思い知らせてくれる。
と言うのも、同じような題材を扱った『UDON』が冗長にして散漫なだけの退屈な映画であり、超うどん好きな私が2時間以上目の前でうどんを食いまくられても、観終わったあとに「ああ、うどん食いてぇ」と思わないのに対し、この『タンポポ』は「ああ、ラーメン食いてぇ!」と居ても立っても居られなくなる。さらには「オムライスも鴨南蛮も、ナンならお汁粉も食いてぇ!」とまで思ってしまう。それだけ撮り方が上手いと言うか、作中で効果的に使われてるんだな。
とにかく、食を扱った作品では珠玉の一本でしょう。役者もみんなイイ味出してます。満点献上いたします。w