4.前作に引続き今回もティモシー・ダルトンは、007をスマートでかっこ良く、非常に理想的に演じています!ちなみに私はティモシー・ダルトンが、小説の007のイメージに一番ピッタリだと思っています。さらに今作は、アクション・シーンや敵、ボンドガール等も全く申し分無く、全体的にも良くまとまっていて初めて観た時、非常に優れた作品が完成したんだ、と感じました。さすがはジョン・グレン監督、センス抜群!ですがあえて問題点を挙げるとすればストーリーが、スパイの個人的復讐というティモシー・ダルトンを少し意識し過ぎたものになってしまった、とも感じました。異色のテーマを選ぶのはもう少し新007が定着してからにすべきだったのではないでしょうか?まだ2作目だというのに急に私のような熱心なファンでないとちょっと取っ掛かり難い趣向にもなってしまった為、公開当時付いて来れない人も多かったかと思います。結果として次作ではまた主役を交代し、シリーズのイメージをさらに変えざるを得なくなってしまったのでしょう。完成度の高い映画だと感じられただけに主役の交代は、私も他の方と同様非常に残念無念…(泣)。それから作品の内容とは別に問題点をもう1つ、邦題が良くありません。原題は「Licence to Kill」、私が付けるなら「殺しのライセンス」。つまり今迄は当り前のように認められて来た殺しを、今回ジェームズ・ボンドはその資格を失ってしまっても自分個人の為にそれを続けなければならないという英国独特の皮肉を表わしています。その上であえて付けられた「Licence to Kill」という響きが、いわゆる“スパイ”を表わす言葉でもあり、観客の興味を湧かせる事請け合いだった筈なのですが…。この邦題を付けた人のセンスの無さにガッカリ。