1.別れた妻子、敵対する警察側、裁判所の職員、お抱えの運転手に、いかにもヤバそうな暴走族。主人公ミックが彼らと話す言葉には心に十分な余裕があり、テンポがあり、粋でさえある。ウケ狙いのジョークを飛ばすことなく自然に口にのぼるセリフばかりだが、これほど惹きつけられる会話も珍しい。また勝つためには依頼人相手でもコンゲームを挑み、暴力をも辞さないが、社会的に弱い者、はみ出し者、有色人種をかまわず対等に話すミックがふところ広くて頼もしい。彼らもまたミックに力をかし、そうした相互扶助の痛快さがいっそう話を面白くしている。松田優作主演ドラマ「探偵物語」の〝bad city〟の雰囲気をちらっと思い出した。