68.初見は中学生。正義面して人の心まで意のままに操ろうとする婦長は長年に亘り憎悪の対象でした。何十年振りかの鑑賞でもその点は変わりませんでした。規則破りや無軌道はカッコいい事ではありません。しかし、規則やシステムが人間性が置き去りにされたものであり、管理者が被管理者を見下している世界、小は家族から大は国家まで、は正常ではないと思います。ラストで元の日常に帰った者達と走り去っていくチーフ。行動する事の凄さと難しさを痛感させられます。本作でのめり込んだジャック・ニコルソン。今観ても最高のニコルソンです。 2022.9.27追記 ラチェッド婦長の メディケーション タ~イム 今も耳に残っています。鉄仮面が崩れたシーン 今も目に焼き付いています。 お疲れ様でした。 合掌 |
67.アウトローな生き方と規律正しい空間との交錯…1975年の公開から半世紀近くとなる今も、どこかでルイーズ・フレッチャーとジャック・ニコルソンがそのままいるように感じる迫真の演技に、現代への警鐘を感じます。個性重視の教育と言われて久しいのに、周りを見渡してもTVに出てくる顔ぶれも、なんだか同じようなタイプばかりですよね。豪傑で型破りな人たちはロボトミーされて消えていったのでしょうか(笑)。1+1が瞬時に2となる規則正しい世の中は、それはそれで安心安全を提供する立派な時代といえますが、違う見方をすればこの映画のように管理された生活とあまり変わらないと思うのは、私だけでしょうか。 確かにアウトローは時として感情に走ってルールを破ったり、とても組織なんかに馴染むものではありません。しかしそこには自由と本能と(本物の)個性が存在します。そしてこの寛容こそが世間体という概念を焼き払い、同じように閉塞していた何人かの自我と感性を取り戻させ、彼らの心の扉を開放しました。 自分は変なのか?息苦しいな…。みんな同じことしてないか? そう感じることが割と多い人に、この映画を推薦します。チーフが水道管を持ち上げて鉄格子の窓に投げ付ける時、ともに歯を食いしばり感情が込み上げたなら、今の自分に自信を持ってくださいね。 【元締・虎】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2019-03-14 16:22:18) |
66.《ネタバレ》 舞台となっている精神病院は私たちが生きている“社会”の一部を象徴している。社会の中で生きる事は、あらゆるルールに縛られること。でも、ルールは自分たちを守ってくれてもいる。そういう中で「自由に生きる」「自分らしく生きる」ってどういうことなんだろう、という普遍的な問いかけになっている。 「体制と自由」、「集団と個」の問題ですね。 主人公マクマーフィーを演じるジャック・ニコルソンの演技が圧巻。こんな人が身近にいたら、乙女座・A型のわたしゃ耐えられません。秩序を乱す人はノーサンキュー、あああ、そんな乱痴気騒ぎで、その汚れた壁、散らかった床は誰が掃除するのぉぉぉッ!きぃぃぃ~ッ!っとパニックを起してしまいそうです。 それに女の扱いもヒドイ。ちょっとアタマの足りなそうな女の子を、ものすごく都合よく利用しているのが、やや不快。 うん、書いてて思ったけど私は完全にラチェット婦長派の人間でした。マクマーフィーのような男は自分の半径100m以内に近寄ってほしくない。…だからこそ、彼が病院の仲間たちをあれほど魅了しイキイキと再生させていく様子が、妬ましくも許しがたかった婦長の気持ちが分かる。彼女だってちゃんと患者たちのことを考えていると思う。彼らが心穏やかに過ごしてくれるようケアをしていたと思う。ただ、彼女の経験値からは、あのルーティンワークが最善としか考えられなかった。あれが彼女の限界だったってだけ。 脱走するつもりだったマクマーフィーが、ビリーのためにほんの少しだけ出発を先延ばしにしたことが運命を狂わせる。開け放たれた窓のすぐ横で、椅子に座ってボンヤリと考えを巡らせている表情のJ・ニコルソンが素晴らしい。マクマーフィーがマクマーフィーでいられた最後の姿をカメラは不自然なほど長くとらえている。窓の外には自由が待っている。それはもうすぐそこ、目の前にある。彼はあのとき何を思っていたのだろうか。 そして、ラストのカタルシスは言葉では表わせない。心が解放される、というのを実存レベルで実感できる名シーンだ。婦長派の自分も「まいりました」の自由讃歌です。 多くの人に見てほしい名作。 【ポッシュ】さん [DVD(字幕)] 10点(2017-07-23 16:10:57) (良:2票) |
65.《ネタバレ》 ラスト30分で、怒りと悲しみの感情が爆発してしまいました。 今でも、この映画のことを思い出すと、せつなくなります。 【まっか】さん [DVD(字幕)] 10点(2016-11-27 20:18:32) |
64.昔見たときは、わからないところがいくつもあって、さほど良い映画だとは思っていなかったのだが、2度3度と繰り返し見ているうちに、そのすばらしさがわかるようになった。 昔疑問に思っていたのは、チーフがなぜ精神病院に入ったのか、なぜ聾唖者を装うっていたのか、それとラストの行動など。そして最大の謎はタイトルの由来だった。 しかし、カッコーという鳥の習性や繰り返し見ることによって、ほぼ解決できたと思う。 この映画は実に奥行きが深いし、すばらしい。アカデミー賞の多くの部門の賞を得たのも当然だと思う。またこの映画の舞台となった精神病院(カッコーの巣)の問題点は、私たち身近にもたくさんあると思う。それを象徴しているのではなかろうか。 【ESPERANZA】さん [映画館(字幕)] 10点(2012-02-18 22:41:39) |
63.俳優達の迫真の演技で、何回観ても心打たれ、涙してしまう。 特にビリーの吃音や目で訴える演技は特に素晴らしかった。 全俳優の演技力が素晴らしく、本当に何回観た事か。 かなり昔に見た映画だが、自分の中で本作を越える作品に未だ出会っていません。 文句なしの100点です。 【おーる】さん [DVD(字幕)] 10点(2010-03-26 08:21:14) |
62.初見は高校生の時。とにかくあの看護婦が憎らしかったです。あの当時は管理教育が当たり前、格付け向上に必死になり、規律を乱す者はさっさと切り捨てる学校。親より威圧的な教師と看護婦がピッタリ重なったのだと思う。でもそれなりに年をとってから見るとまったくちがうのね。患者たちには自由が殆ど与えられていない、けれど彼らにとっては病院に居る限り、その場しのぎではあるけれど平和と安堵があったと思う。足りないのは自由な豊かな心。看護婦もマクマーフィもどっちもどっちである。この両者の争いに振り回され、自殺者まで出てしまった他の患者たちが気の毒でしょうがなかった。ルールで人をがんじがらめにすることはできない、しかしルールを無視し、他人を巻き込み好き放題やるのを自由とは言わない。ラスト、チーフが洗面台で窓をぶち破り遠くへ走り去っていく姿は心の開放を象徴しているように感じた。これはじっくり、たっぷりと「映画を見た」という満足感を得られました。最近はこういった映画が少ないですね。 【envy】さん [地上波(吹替)] 10点(2009-11-13 13:24:13) |
61.《ネタバレ》 とにかく怖かった。精神病棟という特殊で狭い世界の話のようで、実は現代社会の縮図なのではないかと考えてしまうと、とにかく怖かった。管理社会、管理依存、精神病。独裁(当時はウーマンリブの流れもあるのか看護婦長が強烈)、反抗(テロ)、自殺、洗脳、殺人、そして逃亡…。ロボトミー手術は心情的な洗脳よりもインパクト大で背筋が凍る思いがしたが、管理社会の象徴を「手術」に置き換えた表現は恐怖以外の何でもない。ラストの“チーフ”が幸福を掴んだか否かは知る由も無いし、自由が必ずしも幸福ではない、と言うメッセージとも取れる。そのラストをどう受け止めてよいのかが分からないほど、古い作品ながら現代社会に投石を投げ続けている作品だと思った。 【ちゃか】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2008-10-08 21:58:52) |
60.人間が「真に生きる」とはどういうことなのかを考えさせ、何度も色んな観点から楽しめる名作。 直接的に精神病院というある意味特殊な閉鎖社会の特異性と問題点をテーマにしつつ、管理という名の閉塞、秩序を大儀にした異質排除、それらを内包した権力社会の構造を、説教くさくなく描いていて秀逸。 とりわけ、生の躍動感にあふれた前半ジャック・ニコルソンの演技は素晴らしく、結末の残酷さを一層引き立てる。 また、ルイーズ・フレッチャー演じる看護婦の狂気の善人ぶりもお見事と言うほかない。 人間の尊厳が奪われるということは、死ぬよりも恐ろしいことなのだと感じた。 余談ながら日本でも数万の人が受けたと言われるロボトミー手術の発明者にはノーベル医学賞が与えられているそうだ。何が正しいのか結構間違えちゃうんだよね、人間って。などということを考えながら観ると恐ろしさもひとしお。 【poppo】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2007-09-14 00:16:18) (良:2票) |
59.《ネタバレ》 ジャック・ニコルソンの名演技が光った名作。狂気な感じも、ロボトミー後の演技も最高。彼がいなければ他と何も変わらない精神病院に嵐がやってくるわけだが、もし自分が看護婦側だったらこんな患者は真っ先にぶん殴ってただろう。それくらいムカツク野労だが、彼がいたからこそ一言もしゃべらなかったチーフが人間としての力を得られた。マクマーフィーほど狂気ではないが、私も身の回りに変化を与えられる人間になりたい。 【超甘味王】さん [DVD(字幕)] 10点(2007-07-28 17:29:14) |
|
58.たぶん、数ある映画の中で私の一番好きなのがこの映画です。ジャックニコルソンは言うまでもないですが、ほぼ無名と言える他の精神病患者の演じる役のリアリティに驚かせられ、また腑抜けとなっている患者が精力をだんだんとつけていく様子にとても感動できます。私は中でも、ジャック・ニコルソンがテレビに写ってもいないのに、さもそこで野球を見ているかのようなジェスチャーをして、皆でバカ騒ぎをしているところがスキです。そしてラストではチーフがジャック・ニコルソンに「Let's go」と言って、「一緒に」ここから飛び出そうとしてるんだと思うと、泣けて泣けてしょうがないです。 【SAKURA】さん [DVD(字幕)] 10点(2007-03-30 01:31:40) |
57.そうなんですよね。。。これといって派手な演出もないし、派手な音楽が流れるわけでもない。でも、自然と画面にひきこまれていく。あっという間に二時間経過してた感じ。やっぱジャックニコルソンいいですね。ああいう役が似合う。その他の俳優も、演技がうまい。 【あしたかこ】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-05-31 04:01:54) |
56.愚痴を言いながらも自ら精神病院に入院してしまう「正常な」人間。管理される側とする側。青年は自分の意思で恋愛をし、精神的に自立しかけたのだが、母親の友人である婦長に結局言い負かされてしまい、自己を主張することができずに、また機会を逃してしまうことにより激しい自己嫌悪に陥り自殺してしまう。自由という難しさ。色々考えさせられました。自分の意思を持たないロボトミーにされるくらいなら死んでしまったほうがマシ。殺してしまうことも残酷なやさしさなのかもしれません。 【バチケン】さん 10点(2005-03-19 12:45:33) |
55.《ネタバレ》 悲しい結末でしたがいい映画だなぁと思いました。人間らしくなればなるほど精神障害者として扱われてしまうなんて言葉がありません。生き生きとしていく仲間たちがとても良かった! |
54.なにかが悲しい。そのなにかがわからない。生涯で最も心を掴んだ作品かもしれない。 【ガム】さん 10点(2004-06-07 01:03:31) |
53.見ているうちに、精神病棟の患者がおかしいのか、一般社会がおかしいのか分からなくなった。この作品に出てくる患者たちは、情緒が不安定で社会性に欠ける人々。だがとても素直な人たちとも言える。自我や思考を捨てて周りに迎合して生きる人間が正常で、感情に嘘をつけない素直で純粋で少し弱い人が狂人なのか。そんなことをずっと考えながら見てしまった。 【ラーション】さん 10点(2004-05-24 05:39:01) |
52.この病院の最終目的はきっと、患者さんの治療、社会復帰であると思います。現代医療の見地からだと、精神医療はなんか画一的な方法があるのかも知れませんが、本作の婦長の行う管理療法では患者達は一生病院を出られないと思います。社会主義の是非は一概には言えません(cf:グッバイ!レーニン)が、その集団の目的やイズムが立派でなきゃ社会主義は駄目であり、むしろ実際にそのとおりにおこなわれていなければなおのこと駄目です。そこをしっかりしないからマクマーフィー主催パーティーが悲劇的に終わってしまうのです。映画の後半の方が患者さんたちが人間らしくみえます(もちろん監督の演出であることは事実)。でも僕はこれをすばらしいことだと感じます。よって10点 |
51.《ネタバレ》 チェコスロバキアからアメリカへ亡命したミロス・フォアマン監督の大傑作です。監督自身も語っている通り、この精神病棟はチェコそのもの。日課を断じて変えようとしない病棟は管理された社会主義国家の体制を表し、ビリーの自殺や、マクマーフィーが廃人にさせられてしまうという悲劇は、この管理社会のいわゆる「弊害」でしょう。これらの「弊害」を次々と暴き出すこの映画は、一見すれば、管理社会という非人間的な構造に対して、明らかに反体制の様相を呈しています。ただ、マクマーフィーによって、女が連れ込まれ、看守に賄賂を取らせて酒を喰らい、朝まで騒ぎ続けた後の乱れた病棟の惨状はどうでしょうか。管理人を騙し、勝手に船に乗り込み、はしゃぎ回る彼等の行動はどうでしょうか。もちろん、これらにしてみても到底容認できるものではなく、ここに自由主義による「弊害」をも暴き出し、真の自由とは何かを提示していることも見逃してはいけないと思います。管理社会であれ自由社会であれ、社会主義であれ資本主義であれ、どんな国にもどんな世の中にも、必ず制度による「弊害」は存在します。「看護婦長は善を為そうとして悪を為す」とフォアマンは語っていますが、看護婦長にしてみても、マクマーフィーの理解者となり、勤めを全うしようという思いは強かったはずです。すでにシステム化された婦長にとっては病棟の日課は正常であったのです。こちらでは正常者であるものが、あちらでは異常者であったり、異端児が英雄にもなり得るのが現実。それではどうすれば良いのか?この問いに対する一つの答えが、マクマーフィーの「陰でぶつくさ文句たれてるくせに出て行きもしない!」であり、それに感化されたチーフのラストの「逃亡」なのかも知れません。自分が"人間らしく生きられる"社会への「逃亡」は、逃げではなく、あくまでも積極的な行動であって、選択するという自由の行使です。マクマーフィーがついに逃亡できなかったように、この選択するという自由を行使できる人間のいかに少ないことか。その意味では、チーフこそが亡命監督であるフォアマンそのものであるという評はとても共感できます。フォアマンにはもっと多くの映画を撮ってほしいという気もしますが、自分の好きな作品だけを撮っていく寡作の姿勢は実に彼らしいことで好感が持てます。いずれにしても、自分の価値観に大きな影響を与えた忘れられない映画です。 【スロウボート】さん 10点(2004-03-06 23:12:28) (良:7票) |
【膝小僧】さん 10点(2004-02-27 23:59:00) (良:1票)(笑:1票) |
49.見終わった後、俳優の演技に唖然とされられてしまった。こんなに説得力のある作品は他にはないのではないか。病んでるのは精神病患者よりも我々なのかもしれない。多くの人に見てもらいたい作品である。 【hrkzhr】さん 10点(2004-02-15 15:22:36) |