2.《ネタバレ》 「シャマラン監督が作ったファンタジー映画」という点をどう捉えるかだけど、素直にファンタジーとして楽しもうにも、色々なメタファーを読み取りつつ見ようにも、あまりにも基本設定やキャラ描写が陳腐&大雑把で、まともに見るには作品としての完成度が低すぎる。
この手の「日常の中に非日常が紛れ込んでくる」という設定自体に、まったく目新しさが無いし、淡々とした日常を送っているだけの平凡な主人公たちが、自分たちの「能力」と「役割」を認識していくという展開もこれまたお約束。
この基本設定やキャラ描写が非常に大味なので、謎解きや戦闘シーンにも面白味が無く、最後まで中途半端なモヤモヤ感が残る。これが日本の漫画なら、登場人物の持つ特殊能力をもっと分かりやすく差別化して表現するだろうし、その「限られた条件」の中で、敵対者との「能力バトル」を盛り上げるはず。
意図的にお伽噺のようなシンプルな構成にしたのかも知れないが、そのせいで説明不足や意味不明な部分が多く、どうして女王が重要な任務の記憶を無くした状態で人間界に来るのかとか、主人公を始め、どうして住人がこんな突飛な話をあっさり信じるのか、どうしてあの狼みたいなのは女王をさらったのにすぐに殺さないのか、どうしてあのサルみたいなのはラストまで出てこないのか、最後に登場する鷲も、どうして「水の精」を救いに来ているのに「鳥」なのかとか、多くの突っ込みどころを生じている。たとえ説明不足でも想像で補って楽しめるのであれば良いが、そもそもこの「お伽噺風味」の基本設定が陳腐なので、あえて想像して楽しむような奥深さや魅力を備えていない。
確かに人間は現実世界の「変わらなさ」を受け入れていながら、心の何処かで自分がヒーローになったり、タイムスリップしたり、魔法が使えるようになる「物語」を求めているだろう。しかしそこには、非日常を描くためのリアリティや詳細まで考えられた伏線が必要で、それが無ければ物語にも説得力が出ないし、それこそ安っぽいお伽噺レベルで終わってしまう。
何にしても、今さらこんな大雑把なシチュエーションで大真面目にファンタジーをやられてもなあというのが正直なところ。