2.正直これが高い評価を得ているのが全く分からない。
興味をそそる謎、意外な真実、巧妙なトリック…と言った、ミステリーの基本的な要素は全くない。
じゃあ、ミステリー要素以外に何か見るべき点があるかというと、それもさっぱりありゃしない。
ミステリー部分は本当にひどい。
マスクをした男の中身が入れ替わってるなんて、もうあの男が出た時点でそういうトリックが来ることはすぐわかる。公開当時ですらもうだいぶ古臭いトリックだったと思うが、もうこの現代ではますます鑑賞に耐えないシロモノだろう。
犯人に意外性はない。また、犯行の動機もあまりにそのままである。だって、あの遺言を聞いた時点で、当事者の誰かがそういう行動に出るのは自然なことで、ひねりも何もあったもんじゃない。
犯人は、すでに亡くなった犬神頭首に未だなお踊らされているのかもしれない…とまるで犯人が悲劇のヒロインのように言ってたけど、結局犯人は金に目がくらんだだけじゃない。
全体を通して最後の種明かしに通じる伏線が皆無なのもひどい。
「犬神家」といえば、金田一シリーズでは最も有名で、観ていない(読んでいない)人でも名前くらいは知ってるレベルのものなのに、それがここまで駄作とは。
先程、この映画は「意外な事実」が抜けている、と書いたがそれは嘘かもしれない。
そう、あの有名な「犬神家」が、こんなにも救いようがない駄作だったこと、それは本当に「意外な事実」であった。