1.《ネタバレ》 観客は主人公と共に逃げ惑い慄く。それがホラーの常道です。でも本作は違う。観客が感情移入するのは殺戮者側。憎い相手への復讐にほくそ笑みます。このアプローチは面白いと思いました。でも当然のことながら、全然怖くない。絶対に自分のケイタイは鳴らないのですから。そこで恐怖を抱かせるべく、殺戮される側に感情移入先を設ける必要がありました。その役目を担うのが黒木メイサです。観客は彼女と一緒に恐怖を味わう。死の着メロが流れたとき、あなたならどうするか?と、観客も問われる。でもこの設定が大問題。メイサはクラスメイトの中で唯一、死を受け入れている。堀北へのイジメに対して贖罪したいと願っている。「自分にメールを送って。転送せずに私が死ぬ」とまで言っています。問いかけに対する答えを、早々に出してしまっている。これでは観客の心は震えません。結果、クラスメイトの狂気は単なるドタバタにしか見えない。しかもメイサが覚悟を表明した後に、呪いを止めようと奔走する。順番が逆です。さっきの覚悟は何だったの?ということになってしまう。ラストもぬるく、カンが悪い。堀北とメイサが海を訪れます。2人で海へ行きたいという伏線に対するアンサーです。つまり“海”であることが重要。だのに湖畔なのか海なのか分かり難い。なぜ砂浜を歩かせないのか疑問でした。このシーンに限らず、どうもセンスが合わない部分が多く、結果テンションは上がらずじまい。もっとも1と2を鑑賞済みだったので、この出来は想定の範囲内でした。堀北とメイサの美人ぷりを拝みたいだけなら、これもアリでしょう。