1.快晴の屋外ロケを活かしたPerfumeとのコラボダンスシーンは、森山未來の切れの良い動きにクレーンショットも組み合わさり『(500)日のサマー』のそれよりも華やかで俄然盛り上がる。
森山がベッド上で見せるアクロバティックな側転。飛んできたバッグに驚く日傘の女性のリアクション。長澤まさみの手裏剣。真木よう子の飛び蹴り。そうした不意討ち的に登場する小技も単発ながらとても魅力的だ。
夜の路地や、居酒屋内、森山の部屋を窓側から捉えた屋内シーンはいかにも光量不足で貧相だが、逆にその薄暗さの中に俳優の生々しい表情が浮かび上がり、部屋の奥側から半逆光で捉えた森山・長澤のキスシーンや、麻生久美子の牛丼完食シーンの露光もまた官能性を帯びながら彼女らの表情を包んでいる。
ベッドシーンに遠く聞こえてくる発情した猫のよがり声はユーモアを醸し、ドアロックの意識的な音は主人公の緊張を、そして振られた森山が長澤の部屋を出て行く気配を伝えるオフの音は悲哀を、と音響演出にも凝りを感じさせる。
だが何より画面を支えているのは、女優二人の顔といって良い。