3.《ネタバレ》 最初に見たのは公開後のTV放映だったと思うが、満足した覚えは全くない。「ロミオとジュリエット」(1968)を見て心ときめかせた世代でもないので、有名だったらしい外人女優を見ても何とも思わなかった。いま見れば、まずは第二次大戦中の潜水艦を見せられて原子力潜水艦と思えというのに抵抗感があるが、ここはさすが角川の超大作らしく本物の潜水艦を動かしたこと自体を賞賛するのが正しいらしい。
内容に関しては、前半はほとんど見るに堪えない。外国の映像が細切れに出ているが世界的なスケール感につながらず、人類滅亡に向けて感情が高まっていくこともない。一部の場面で演技が濃いのはマンガのようで茶番にしか見えず、また突拍子もない泣かせの場面を無理やり入れたりして真面目に見る人間を引かせるものがある。
後半の南極編に入るとまあ普通に見られるが、結果として観客に何を伝えたかったのかわからない。主人公が他人の家族写真を見て羨んだり地蔵を作ったり慰安婦に泣きついたりしていたのを見ると、子ども(家族?)に対する思いを内に秘めていたと解されるわけだが、それが最終的にどう本筋に生かされたのか。もしかすると、自分の子孫を残したいという衝動(家族を求める思い?)が大陸縦断を可能にしたのかも知れないが、それが「人生はいいものだ」という言葉で表されていたようにも思えない。
また原作では、宇宙史・地球史との関わりで人類が獲得すべき新たな認識、といった感じのことがテーマであり、それとの関係で南極に少数の人材が残った意味が生じていたのに対し、この映画では南極基地までが破壊され、人類の知恵の蓄積も失われて生存がやっとの小集団になってしまっている。そこで ”Life is wonderful” では、とりあえず生きていれば可というレベルまで落ちぶれた印象があるわけだが、原作の高尚なところは切り捨てて、大衆向けに生殖第一の映画にするというのが方針だったのか。
まあどう作ろうと勝手だが、こういう結末で「復活の日」という題名がふさわしい気もせず、少なくとも原作との関係ではいい映画だったとは思えない。原作者がどう思ったかは知らないが一読者として納得できるものではなく、これなら「日本沈没」(2006)の方がましだという気がする。