4.『ポルターガイスト』が82年だから、これはやっぱりショボイです。でも体の切り口だとか溶け具合だとかのグロさは今流行りの血しぶきが大袈裟な低予算スプラッターと比べても引けをとらない大袈裟スプラッターぶりを見せてくれるうえに、湯気があがる肉塊のおどろおどろしさは他に類を見ないインパクトを持っている。当時は『タンポポ』『マルサの女』と立て続けにヒットを飛ばす伊丹十三がホラーを作ったみたいな宣伝だったと記憶してます。レベッカのNOKKOや古舘伊知郎といった異色のキャスティングもさすがは従来の邦画にはなかったエンターテインメントを作り出す伊丹十三だと感心したものでした。でもあらためて(それでも数年前ですが)観てみると、商品としての価値をあげる伊丹の演出と作品の中でのホラー演出とが妙にチグハグしている印象を残しているような気がします。風に揺れる影の演出はなるほど黒沢清だと思った。ラストのファンタジーな展開はかなり浮いている。そしてそこが一番ショボイ。怖いけどムリヤリな感動が邪魔をしている。