48.《ネタバレ》 「レクターはクラリスを犯したいのか殺したいのか食べたいのか」「恐らく三つ全部でしょう」というやり取りが印象的。
答えとしては「犯したい」「殺したくない」「一緒に誰かを食べたい」が正解だったと思うんですが……
何か、その辺りについて真面目に考察する気になれないから、困っちゃいます。
だって本作のレクターってば、控えめに表現しても「クラリスに恋するストーカー」でしかないし、真剣に考えるのが馬鹿らしくなっちゃうんですよね。
原作と違ってレクターの妹について語られていないから「失った妹の面影をクラリスに求めてる」とか、そういう尤もらしい言い訳も出来ないし、本当に良い歳こいた爺様が若い女に執着してるってだけなんです。
しかも回転木馬でクラリスの髪に触れる仕草とか、まるで幼女に悪戯するロリコンみたいだったし……
これは同族嫌悪かも知れませんが、観ていてキツかったのは確かです。
原作ではクラリスと、ドラマ版ではウィルと結ばれたレクターが、本作では孤独な結末を迎えるのが興味深いとか、色々と分析して感想書く事も出来そうなんだけど……
どうも本作のレクターについては、悪口ばかりになっちゃいそうなので、自制しておこうと思います。
で、主人公以外の事について語ろうとしたんですが……これがまた、主人公以外には特に語る事も無いんですよね、この映画。
唯一、本作から登場したメイスン・ヴァージャーという人物は、中々インパクトがあって良かったと思うんだけど、何か彼についても「レクターをヒーローとして描く為に、無理矢理レクターより酷い悪役を出した」って印象が強かったりして、褒め難いんです。
原作だとメイスンには妹が存在し、その事が「レクターにもメイスンにも妹がいる」という形で、両者の因縁を強めていたと思うんですけど、そういう要素も排除されちゃってますからね。
ただ、そんなメイスンの最期に関しては「レクターに誘導された付き人が、主人であるメイスンを突き落とす」という形になっており、これは他者を操るレクターらしい殺し方で、原作より良かった気がします。
その他、印象に残った場面としては……「クレンドラーを調理する場面がグロかった」とか「手錠を掛けられた後、クラリスではなく自分の腕を切断するレクターには驚かされた」とか、精々それくらいかな?
後は、クラリスをお姫様抱っこするレクターに、二人のキスというロマンティックな場面も用意されているので「レクターとクラリスのカップルが好き」という人からすると、満足度の高い映画かも知れません。
何か、気が付けば結局レクターの事ばかり語っちゃいましたが……
まぁ、仕方無いですよね。
なんせタイトルが「ハンニバル」なんですから。
でも、自分としては同じ「ハンニバル」なら、ドラマ版の方が好みです。