7.《ネタバレ》 あまりにもわかりやすすぎる構成で政治的なメッセージを発したりすると、「映画」としての価値が果てしなく低下するなあ…という見本のようなものになってしまったのではないか。
レッドフォードの力でストリープとトム・クルーズを集めたものの、集めた効果は「メリル・ストリープとトム・クルーズが出てるね」以上でも以下でもなく(ほかに監督としても有望なピーター・バーグも出ている)、なにかとても説教臭い(それぞれが決断する前に考え直せという)映画としか思えぬ。
この作品に示されているようなアメリカの構造は、あらためて映画で見せられないとあそこの国の国民は気がつかないというようなアホなことがあるのか?「ワグ ザ ドッグ」は?マイケル・ムーアの仕事とかは全く無意味だったというのか?
もしかすると、そうなのかもしれない。レッドフォードがこんな初心者向けのわかりやすすぎる説教臭い映画をしかも比較的短い上映時間で作ったということは、そういうことなのかもしれない。NYなどは文化的にはアメリカであるとは言えず、アメリカは本当は巨大な田舎であるのだから。
そのことについてこんな映画を見せられて日本の観客が思うことは「へえーとってもしんどそう」というものだたぶん。日本の一党支配の構造や官僚の利権についての映画を見せられたら他国の観客が思うのと同じように(でも徴兵制やわが国の海外派兵やマスコミについて考える際には参考になるともいえる)。
ちなみにマレー教授のしていることは自分の教え子の中から志願兵を出して自己満足するというとんでもない欺瞞ではないのか。「皆が共犯関係」にあるこの話の中で、レッドフォード自らの役だけが善玉であるはずがない。