10.《ネタバレ》 冒頭にいきなり展開する脱走シーンは迫力があって面白かったわ。
でも、デヴィッド・イェーツ監督になって以降、あーんまり、ってカンジな『ハリー・ポッター』シリーズ。暗くて冷たいトーンが好みじゃないなぁ、って。原作自体がそういうトーンになっていったというのもあるのだけど。
『ファンタスティック・ビースト』はそのイェーツ監督が続投していて、トーンもそのままという感じで、なのでやっぱりそんなには、なのね。
前作はつまらなくはないけれど、でも、もっとワクワクさせて欲しかったな、って。
今回も感覚的には同じ。そして、前作以上に人間関係のごちゃごちゃした感じ、そう、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』以降のローリング女史の興味がそっちに傾きまくったように、そこを描くのに大半が取られていて。
前作にはまだ魔法生物の見せ場が色々あったけれど、今回は会話シーンばかり。誰が実はどういう人物で誰とどういう関係です、っていうのを描いてゆくの、映画としてはそんなに面白くないわ。
っていうか、『ハリー・ポッター』の知識が“かなり”ないと意味のない部分が多くを占めていて、もちろん前作を見ていないと意味のない部分もたっぷりで。なので単体の映画として楽しい点は殆どなし、っていう。
会話シーンばかりで物語を成立させようなんて、ローリング女史は橋田壽賀子?これって『渡る魔法界は闇ばかり』とかいうタイトル?みたいな状態よ。
クライマックスも不発状態で(『帝国の逆襲』ポジションな物語だし)、CGの炎が画面いっぱいにぼわぼわしてるのを眺めるばかり。
もっと人間で、そしてなんと言っても魔法動物で魅せて欲しいのだけど。今回は「ファンタスティック・ビースト」なんて名ばかりの、申し訳程度の存在になっちゃってて、それって後付け設定でしょ?みたいな無理矢理さも含めて、ローリング女史の多分に腐り気味なシュミに付き合わされてる感が切ないわ。
ダンブルドアを始め、ホグワーツやナギニ、フラメル等の『ハリー・ポッター』とのリンク関係はそりゃファンとしては楽しめるのだけれど、それ以前にちゃんとした一本の娯楽映画を見たいのよ。『ハリー・ポッター』はもはや過去のものなのだから。