9.《ネタバレ》 王道のファンタジー映画として、綺麗に纏まっていますね。
何よりもドラゴンに存在感があって、彼が動き、喋り、飛ぶ姿を見ているだけでも楽しい。
ただ、主人公の設定が「凄腕のドラゴンハンター」というわりに、全然凄みが感じられないというか、ハッキリ言うなら強く見えないせいで、今一つ没頭出来なかったように思えます。
血生臭い発想ですが、彼がドレイコと出会う前の段階「凄腕のハンターとして各地のドラゴンを狩りまくる」話の方が面白くなるんじゃないか、なんてついつい考えてしまいました。
ストーリーの流れとしては「ドレイコと組んで村人相手に詐欺行為を働くほどに堕落していた主人公が、本物の騎士になる」という形でカタルシスを生み出そうとしているのは分かるのですが、その「詐欺行為」のパートが非常に楽しそうで、あんまり悪事を働いているようには見えなかった辺りも残念。
最後にドレイコが死ぬ自己犠牲展開になるのも、事前に「死んだら星座になりたい」と語られた通り、星座になってハッピーエンドというのが分かり切っており、完全に予定調和の内であるように思えて、ノリ切れませんでしたね。
この辺りは「王道の魅力」と褒める事も「先が読める退屈な内容」と貶す事も出来そうな、難しい部分。
そもそもドレイコが「心臓を分け与えて瀕死の王子を救う」理由が「善行を積めば死後に星座になれるから」というのだから、本作は非常に宗教的な話なのでしょうね。
その辺りが、信仰心の薄い自分の心には響かなかったのかも。
視覚的には十分に楽しめるし、キャラクター造形なども悪くない。
ハッピーエンドなので後味も良い。
色々と魅力的な要素は揃っているだけに、肌に合わない事が勿体無く思えた映画でした。