11.《ネタバレ》 “ALWAYS”『いつまでも』。ピートとドリンダがシャンパングラスにビールを入れて乾杯するときの、ドリンダのセリフです。
リチャード・ドレイファスと“煙が目にしみる”と言えば『アメリカン・グラフィティ』を連想するけど、使われたのはロン・ハワードとシンディ・ウィリアムズのダンスシーンでした。
まだCGが普及していない時代、飛行機の映像は遠景の実機か模型で、コックピットは別撮りのパイロットのバストアップ映像が多かったと思います。トップガンでもそう。でもスピルバーグ映画の飛行機は、中に人が乗ってる感が良く出ていますね。本作も例に漏れずで、飛行機越しに中のパイロットを観せたりと工夫が見られます。
あと、とにかくホリー・ハンターがちっちゃくて可愛い。ベッドで小さく丸まって寝てるトコなんて子供のようだし、アルに抱っこされるドリンダの画はまるで少女と特大テディベアみたい。
さて、ドリンダとテッドの恋を見守るピート。さぁここからどうなる?死者がかつての恋人のもとに現れるファンタジーものとして、どうも後半がバタバタしています。ピートとドリンダが惹かれ合う理由付けがイマイチ弱い気がします。レイチェルなんてその後が無いから噛ませ犬扱い。そしてドリンダが独断で飛んだのも突飛に感じました。あとハップはもう一度くらいピートのもとに出ても良かったかと思いました。だってピートの気持ちをわかってあげられるのってハップだけだし。
本作の目玉は、映画に出なくなって久しいオードリーの、最後の作品ということ。永遠に若いスクリーンの王女・オードリー・ヘップバーンが、今現在の年齢を重ねた姿を残したこと。
スピルバーグは本作で“歳を重ねても可愛い女性”を撮りたかったんじゃないだろうか?ケバケバしい厚塗り化粧の若造りしてるオバサンではなく、ナチュラルで可愛い大人の女性。それが当時60歳のオードリー・ヘップバーンであり、31歳のホリー・ハンターだったんじゃないだろうか?
…こう書いてみて、当時の2人が案外若いことに驚いてしまう。今の60歳とか31歳とか、スゴい若いよね。でも平成元年の頃31歳はオバサン呼ばわりだし、60歳は思いっきりお婆さん扱いだったように思う。
いつまでも可愛い大人の女性。美魔女とは違う魅力。阿川佐和子や安達祐実の事を、一部ネットで“ロリババア”と言うらしい。もちろん褒め言葉として。
オールウェイズはスピルバーグが時代を先取りして創った、ロリババア映画のさきがけだったのかもしれない。