5.《ネタバレ》 それなりに面白かったので5点。
映像は良かった。
でも声の演技は平均以下(主人公の声が余所行きの声に聞こえた、30分くらい)。
音楽の印象は特にない。
主題歌は、男がフリルのついたピンクと白と黄色の服を着て、腰振りながら歌ってるみたい。
メアリはなぜピーターを助けに行ったのか。メアリが良い子だから? 違う。そういうスジだから。つまり「メアリ」という少女はどこにも存在しないのである。監督の中にも、観客の中にも。
しかし現実には「メアリ」は存在する。
見れば「メアリ」と思う絵が存在する。
なぜ「メアリ」が存在するのか。
金儲けのためだろう。映画で儲けてやろうとする大人たちの都合が生み出した「何か」であって、観客が思いを託すことができる「キャラクター」ではなかったということだろう、結果的に、残念ながら。
メアリは本物の魔女じゃないし、魔法の知識もない10歳くらいの子供。
そんなメアリが魔法の学校へ行けば、悪い意味で何されるか、どうなるか分からない(不愉快な思い、大ケガ、死ぬ可能性、動物に変えられる?)。慣れない魔法を使って、ほとんど知らない少年を助けようと思うか。つまり主人公の動機が弱いから、応援したいと思わない。
メアリは保身のために次をした。
ピーターの住所をマダム(校長)に渡した。
呪文の本「呪文の神髄」をバッグに入れて盗んだ。
10歳くらいの子供は、つい嘘をついたり、つい人を騙したりするものだ(問題ない)。
10歳くらいの少女は未熟だ。
メアリは頭の良い方じゃないらしい。
10歳くらいの少女は他人に依存するものだろう。
メアリは独立心が強い子供じゃないような気がする。
10歳くらいの少女が、たった一人で大人たちと戦おうとするか?
それに何より、女子供は好きと嫌いがハッキリしてるもので、だからメアリが「嫌いな奴」「他人」と思ってるピーターのために行動するのが分からない。
なぜ校長はピーターを誘拐したか。メアリに魔法の花を持ってこさせるための人質ということらしいが、校長は強力な魔力の持ち主だから、10歳くらいの魔女じゃない少女メアリから花を奪うのは簡単な気がするので、ピーターを誘拐する理由が弱い気がする。またメアリは、ピーターの住所が書かれたメモを校長に渡したが、そのことで罪悪感をもつ必要はない気がするのである。校長はピーターのことを「魔法の実験台」になるから一石二鳥だと考えて誘拐したのか。それらが「曖昧だなァ」「納得いかないなァ」に思ってしまうのである。
人間を罪悪感なく実験台にする大人たち。人間社会的に見れば、マダム(校長)とドクターは大悪人である。また10歳くらいの少女から見れば、恐ろしすぎる存在のはずだ。主人公の少女メアリが、
「変な動物に変えられるんじゃないか?」
「怖い!」
「あいつら凄く悪い奴らだ」
「やっつけてやりたい」
「悪い奴らに花を渡したら大変なことになる」
など、どう思うかが全く描かれていない、そんな気がするのである。
悪人の二人、マダムとドクター。私利私欲でたくさんの動物や人間の子供を実権材料にしたり監禁して平気な大人たち。もしお店で、出来の良いフィギュアがワゴンで格安で売られていても誰も買わないだろう(ドーラ、ムスカなら売れるだろうが)。この二人、ラストに罰を受けていないように思える。ピーターは誘拐されて殺されかけたのに怒りはないのか? 作者の創作レベルが低過ぎるとしか思えない。
人間が描けていない映画は退屈だ。
でも映像は楽しめたので、5点の価値はある。
すごい映像技術だが、あの程度の映像はもう見飽きてしまった。