3.《ネタバレ》 初期ルパンのテイストを残したまま、うまく映画化されている。時代を考えれば、クローンという設定をいち早く作品に取り入れた着眼点や先進性も評価できる。
ただ、「カリオストロの城」より少し古いとは言え、ほぼ同時期の劇場版という事を考えれば、画にはかなり古臭さや雑な印象を受ける。「カリオストロ」の画が今も色褪せない事と比較すれば、やはりどうしても減点対象になってしまう。
ルパン以外のキャラ、特に次元や銭形の活躍がほとんど無い点など、不満も多い。もっとバランス良く、各キャラに見せ場が欲しかった。マモーのキャラデザも生理的に受け付けない(事実、マモーのパロディであるウッチャンのマモーも嫌いだった)。
また、クローンを作れるのなら、どうしてルパンや次元、五右衛門のクローンと本物が戦うという、お約束な展開が無いのか疑問。そうすれば、各キャラにも見せ場ができるし、娯楽性も高まったはず。大人向けという売りも分かるが、この娯楽性の低さも個人的に今作を好きになれない要因。そのくせラスト付近はあまりにも荒唐無稽な展開でシラけてしまう。
ルパンとマモーという、似て非なる者同士の「自己存在証明」を賭けた死闘。そのテーマは深いし、独特な台詞回しにもシブいものがあるが、娯楽作品としての見せ方や演出はイマイチというのが正直な感想。