4.「これが作品賞?」というのが正直な感想。
130分間退屈なく見れて、『最強のふたり』を彷彿とさせるユーモラスなフィールグッドムービーなので、
映画をあまり見ていない方にも薦められるくらい万人受けしやすい。
100を超えるレビューで平均点8点前後維持し続けているあたり、本作が証明している。
粗はあっても脚本がよくできていることは素直に認めたい。
ただ、やはり白人特有の上から目線の綺麗事、一時的な融和アピールにしか見えず、
作品にあまりのめり込めない自分がいた。
イタリア系だからと同じ白人から差別される用心棒と、
黒人コミュニティから外れたピアニストのはぐれ者同士の話なので事情はもっと複雑だろう。
とは言え、そこまで踏み込まず、ただの"良い話"で終わっている。
予定調和の中に新しい驚きがないのが大きく、物足りなさを感じた。
ヴィゴ・モ―テンセンもマハ―シャラ・アリも正反対なキャラクターでありながら素晴らしい快演で異論はないが、
全体の完成度の高さでは『ROMA/ローマ』に作品賞を与えるべきだったし、
13年前の『クラッシュ』同様、単に変革リスクから逃げたミステイクとしか言いようがない。