33.冒頭で撃墜された飛行機のパイロットが誰なのか、どういうシチュエーションなのか、徐々に明らかになっていくが、不倫とはいいながらも壮大なストーリーが浮かび上がってきてその壮大さに圧倒される。また、舞台が砂漠ということもあり、美しくも恐るべき自然も興味深かった。あの砂嵐は、こんなことになってしまうんだととにかくびっくりした。好み25/50、演出9/15、脚本8/15、演技8/10、技術8/10、合計58/100→6/10点 |
《改行表示》32.《ネタバレ》 文芸作品としての上品な風格とハリウッド映画らしい大作感を両立した作品であり、そのルックスはほぼ完璧。「これは何か賞をやらなければ」と思わせるだけの仕上がりだし、一方で同年には他に突出した作品がなかったこともあって、作品賞を始めとするオスカー大量受賞には納得がいきます。アカデミー会員が求めるものを、ほぼパーフェクトに充たした作品なのですから。ただし「面白いか?」と聞かれると、これはちょっと微妙と言わざるをえません。 ざっくり言うと不倫で身を持ち崩した男の話なのですが、その舞台が第二次大戦前夜というキナ臭い時代だった上に、登場人物達の背景に国際的な諜報戦も絡んできたことから悲劇は雪だるま式に折り重なっていき、最終的には大勢の人の死に繋がっていくという劇的な展開を迎えます。そのまま映画化すればさぞや面白かろうという内容なのですが、厄介なことに、監督とプロデューサーは恐らく意図的に娯楽性の高くなりそうなポイントを外してきています。本作の評価はこの点をどう受け止めるかにかかっており、この手の文芸作品が好きな人にとってはストーリーテリングにおけるこの独特な取捨選択がハマったのかもしれませんが、それ以外の観客にとっては、盛り上がりそうで盛り上がらない中途半端な展開にフラストレーションが溜まる結果となっています。 具体的には、足を負傷したキャサリンを砂漠の洞窟に残して救助を求めに出て行ったアルマシーが、その国籍ゆえにスパイ容疑をかけられてキャサリンを助けに戻れなくなるというくだり。タイムリミットサスペンスの要素とも相まって、詳細に描けばかなり面白くなったであろう展開なのですが、監督は驚くほどアッサリとこのパートを流してしまいます。その過程において売国行為にまで手を染めるという、アルマシーにとって分岐点となったイベントも簡単なナレーションのみで片付けられており、その意思決定の時点でアルマシーが抱えていたジレンマはほとんど描かれません。監督によるこの取捨選択には大きな疑問を持ちました。 他方、無駄に感じたのが看護師ハナの物語全般です。映画は現在パート(1944年)と回想パート(1938年)を行き来しながら進行するのですが、現在パートにおけるハナと爆弾処理兵キップとの恋愛が本筋にうまく絡んでいない上に、この物語がさして面白くもありません。ハナとキップは登場させず、間接的に加害者となってしまったアルマシーと、アルマシーの売国行為によって重大な損害を受けたカラヴァッジョの対話を現在パートの基礎とした方が全体的な話の通りは良くなったような気がします。 【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(吹替)] 6点(2016-01-18 19:18:00) |
31.《ネタバレ》 ハナとカラバッジョの二人がカナダ人という設定は、イギリスの分国であるからなのはもちろんだが、カナダの持つ国際貢献のイメージをハナに重ねたものと思われる。主要な登場人物である二人が、フランス語を母語とするケベック人であることがさりげなく示され、国家の枠組みにとらわれないコスモポリタンとして登場していることは、元カナダ在住の小生には興味深い。■恋人キャサリンの命が危機に晒されているのに、彼がイギリス国籍でなく姓がドイツ風だという理由で必要な援助を受けられず、それどころか捕らえられ連行までされれば、裏切りたくもなるだろう。ところがキャサリンが死んだことで、裏切りは意味を失くす。自分も死のうと決意するが、飛行機が墜落したあとも死に切れず、記憶をなくした彼は皮肉にも「イギリス人の患者」と呼ばれる。■本作は「不倫を美化しているから受け容れられない」という意見が多いが、主人公らの恋を不倫に設定したのはわざとだろう。なぜなら、不倫は二人にとって夫と友人を裏切る行為であり、それが国を裏切る行為と対比されているからだ。■戦争は国家のために命を捧げる行為だが、アルマシーは不倫相手の命を救うために国家機密を売り、その結果多くの市民と軍人を戦禍に巻き込み、友人と不倫相手の夫を自殺に追い込み、その部下もスパイ容疑で拷問されるという惨事を招く。だがそれほどの犠牲を払ったにもかかわらず、キャサリンは息絶えてしまう。それが、作者が背徳者の二人に与えた報いである。■キャサリンは遺書に「いとしい人、あなたを待っている。外に出れば日差しが強すぎる」と綴った。背徳者の二人には、日の当たる世界に出るのは厳しすぎ、日陰に隠れる生活が相応だと暗示している。だがアルマシーを許したカラバッジョと、誰にでも無償の愛を注いだハナは、最後にアルマシーが見ることのなかったまぶしいばかりの朝を見た。恋人との仲を修復したカラバッジョと、その車に乗り込むハナが、全身に日の光をいっぱいに浴びる映像が大変美しく、彼らに輝かしい未来があることを強く予感させる。それから車は画面の右へ、そして飛行機は画面の左へと消えてゆく。ハナとカラバッジョには現実世界での幸福が、そして背徳者の二人には「地図のない世界」での自由が示される。対称的な両者の人生は、偶然にただ一度交差し、そして反対方向へと向かったのだ。 【高橋幸二】さん [地上波(字幕)] 6点(2014-07-06 10:20:30) (良:4票) |
《改行表示》30.《ネタバレ》 三度目の鑑賞。三度目が一番面白かったかな。やはり不倫なんてものを題材にされても困るのは変わりないが、映像とサウンドのクオリティーの高さは感服。特に飛行機で砂漠を飛行していくシーンがいくつかあるが、何度も見てしまった。そのスケールの大きさと相反してメイン二人に小物感を感じてしまう。二人の独りよがりさと余裕のなさが事態を悪くし、それらに不運にも巻き込まれてしまった人々が居たたまれない。 それでも映像と音楽との画面が壮麗で砂漠映画としては圧巻されるだろう。 【なさんな】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-04-24 16:05:08) |
29.《ネタバレ》 アカデミー作品だと知ってましたが不倫ものだとは知りませんでした。戦争の生々しい部分もありましたが全体的にはキレイな映像。現在・過去と交互に入れ替わる辺りがボンヤリ見てると混乱しそう?w好みのわかれそうな作品でした! 【うさぎ大福】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-05-10 22:43:32) |
28.《ネタバレ》 アカデミー賞作品ということで観たんですが・・・あまり自分とは合わなかったです。まず不倫というシチュエーションが感情移入できませんでした。不倫相手を救えなかった悲しさは十分伝わったんですが。 【H.S】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2005-12-18 18:35:56) |
27.壮大なメロドラマですな。うっかり作品と監督でオスカーまで受賞してしまったけど・・・そしてアンソニー・ミンゲラはもう一回「コールドマウンテン」で勝負したんですかねえ。まあ、嫌味なコメントはこのくらいにしときます。レイフ・ファインズとクリスティン・スコット・トーマスの不倫のほうは、なんかどうでもいい感じ。ジュリエット・ビノシュに対しては否定的になることが多い私ですが、ここでは素直に認めます、ビノシュがいいです。はい、助演ではなく主演でオスカーもらってもよかったと思います。私の印象としては、心豊かで教養ある上流階級のイギリス人患者に心癒された戦場の看護士というところでしょうか。あ~でも面白くないのはコリン・ファースの役どころです。「アナザー・カントリー」でコリンに魅了された私としてはかなりガックリ。これからかなあ、コリンに寝取られ男役が目立ってきたのは。 【envy】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-08-27 10:05:33) |
26.ううむう。凄いのか凄くないのか。深~いモノを見させていただきました。でもないような。確かに戦争も織り交ぜた悲恋ではあるんだけど、イギリス貴族の不倫ですしねえ。「ただの不倫ものじゃん」と決め付けるほうでもないんですが。その不倫部分がぺらんぺらんなのが問題なんですかね。ビノシュの話にしたほうが良かったのかもしれない。だってあのビノシュがですよ、看護婦になって、好きあった男は必ず逝ってしまうの・・・と戦場の廃屋にドレス一枚で現れてごらんなさい。萌えなくてどうする。逝かされたとしても是非お相手しとう存じます。わたくしもこの手をいつか使わせていただきま(自爆)しかし彼女が萌えた相手はなんとインド人もびっくり!インド人。と、たまにどっかずれていて残念ではありました。ビノシュが凄いのだけは分かりました。ビノシュの動向のみに引き込まれておりました。長かった・・・ |
25.個人的には苦手なタイプの映画。深い愛。人間関係の憤り。いろいろ 【ばかぽん】さん 6点(2004-09-12 06:21:19) |
《改行表示》24.火傷した男の回想する恋と看護される現在が交互に描かれるが、肝心のこの不倫話に感情移入できない。この男は二人の入浴シーンの時「束縛されるのも束縛するのも嫌いだ」と言っておきながら、彼女が引きそうになると見苦しく執着する。心から愛してるとか彼女も実はぞっこんだったなんて言われても、そうだったの?と思ってしまう。それで長々繰り返される回想も退屈になってくる。 むしろ看護婦とインド人将校の恋のほうが短くても良く分かる。 砂漠の官能的で美しい映像や看護婦が高い天井画を見せてもらう所など印象的なシーンはあるけれど、やはり劇場で見たときと同じく映像とムードの作品という印象で心に残らない。私はどうもこの監督の描く恋愛は苦手かもしれないと分かった。 【キリコ】さん 6点(2004-06-28 23:44:44) |
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23.どうにも分からなかった、不倫?純愛?偏愛? 愛があることは確かだった。 【杜子春】さん 6点(2004-06-28 22:38:54) |
22.大火傷の男の回想物語。不倫なわけですけども、これはそれに対する報いなんでしょうか。二人ともかわいそうな結末。内容はまあまあだと思うんですが、アカデミー賞取り過ぎな感もあります。はっきり言って、そこまでの作品ではないでしょう。 |
21.アルマシーとキャサリンの愛は、悲劇的なストーリー展開によって永遠の愛にされたけど、二人が生き延びていたら、すぐに別れたんじゃないかな~って思った。一時の激情が戦争によってその激しさを増しただけ。不倫であることも、戦時中であることも、二人にとっては、欲望を激情に変える材料であっただけ。アルマシーが「国境線なんてなければ…」と語ったが、平和を求める気持ちから発せられたわけじゃない。アルマシーは公爵の身分。キャサリンは役人の妻。国境線のおかげで今までいい思いをしてきたんじゃないのかよ!!と突っ込み入れたくなりました。カラバッジオがアルマシーに対する復讐をやめたのは、共感や同情ではなく、憐憫だと思いたい。アルマシーを母のように介護するハナは、アルマシーの話に心癒されていく様子だったが、キップとの恋愛・キップへの愛情は、アルマシーのおかげではないだろう。ハナには天賦の気質があったと思う。国境線や人種に関係なく人を愛する力が。ラストに向けて、登場人物が結びついていく姿に共感を覚えた人もいるだろうが、私としては、アルマシーとキャサリンの出来事は、国境線を越えて生き抜いていく人たちが、世俗を忘れさせてくれる小説を読むようなものだったとしか思えない。ハナやキップやカラバッジオが、語り継いでいく悲恋物語だ。そう解釈した上で、そこそこの点数を献上する。 【日雀】さん 6点(2004-06-02 10:30:37) (良:1票) |
《改行表示》20.《ネタバレ》 妻に裏切られたジェフリーは飛行機で自爆死する。夫を裏切ったキャサリンは洞窟で一人寂しく息絶える。悲しみに暮れるアルマシーは全身火傷の上記憶喪失となり一旦記憶が戻るものの死んでいく。“禁じられた愛”により人生が狂いだし、いったん歯車が狂い出すと落ちるところまで落ちてしまう・・・。時に“愛”は恐ろしいものに変狼するものだなと感じた。 それにしても、スパイ容疑を掛けられたカラヴァッジオは気の毒でしょうがないし、自殺したマドックスは悲惨としか言いようがない。 |
19.外人の顔は、区別しにくくてよくわからんです。まあまあおもしろかったけど、不倫話っていうのは... ダンナの立場は? 【よしふみ】さん 6点(2004-03-21 22:24:16) |
18.名作と呼び声の高い本作ではあるが日本ではあまり受けがよくない。不倫は美化できない日本文化に対して、かなりの夫婦が離婚を経験するアメリカとの国民性の違いではなかろうか 【hrkzhr】さん 6点(2004-01-13 22:58:31) |
17.雰囲気は落ち着いて良いのだが、長すぎ。あまり感動もしなかった。 【mhiro】さん 6点(2003-12-07 20:18:58) |
16.《ネタバレ》 なんというか、フランク・ダラポン作をつまらなくしたような映画です。品のよい構成、長いけれど見せ所が忘れた頃にある小説のような感じ。アカデミー受けするいかにも賞タイプの作品。つまり、見てはいないけど、昔の戦争恋愛映画、ひまわりとかの種類と思います。苦手な部類なんですが、忍耐強く見てしまいました。というのはかなりストーリーが複雑で歴史背景や登場人物もわかりにくい、でも絵画のような映像と出だしからすごく品のいい感じでしたので・・シーツのうねる谷間は女性の体であり、その波は砂丘の模様となって中盤にまた現れます。脚本がわかりずらかったのに、洞窟から動かない愛する人を抱きあげ走る男に、わからんが悲しいぞ~!?と、泣いてしまった・・小説のような悲恋を見たい人、大河ドラマが好きな人、昔のヨーロッパ映画が好きな人にお勧め。 【アルメイダ】さん 6点(2003-12-07 11:16:49) |
15.中盤チョットだれました。最後のシーンはチョットなけたかも。 【ブチャラティ】さん 6点(2003-11-24 21:14:13) |
14.恋愛(不倫)を題材にした大人の文芸映画とでもいった感じで、普段から純文学に接している人向きの作品だと思います。退屈には感じませんでしたが、かと言って特別面白いとも思いませんでした。ただ、良い作品であることは認めます。映像も、広大なサハラ砂漠を上空から撮ったシーン、砂漠での夕日のシーンなど、非常に幻想的で美しいシーンが幾つかあります。 |