1.《ネタバレ》 黒澤清監督らしい、不条理な世界の物語でしたねぇ。
普通に見れば、登場人物たちの行動は突拍子もなく、なぜそうしてるのかバックグラウンドの説明もない。
だから、こりゃ何なんだって思う人も多いだろうけど、本作はネット社会の比喩ですよね。
赤の他人が赤の他人に激怒して、集団になると行動がいきすぎちゃう。毎日どこかで炎上してるSNSはまさにそうだし、
最近よく聞く物騒な犯罪の数々も、全く知らない人同士が集まって全く知らない人の家に強盗しに行ったり詐欺をはたらいたりするわけだから。
炎上を行ってる人たちは正義感でやってるのだろうけど、赤の他人になぜそんなに執着するのか不条理だし
犯罪に手をそめ悪の側に堕ちちゃう人たちも、誰に指示されてるのもわからないなんて不条理ですよね。
そう考えるとこの現実がまさに不条理な世界になっていってる。
本作を見て、ヘンテコな人たちばかり出てくる映画だなと思ったけど、現実がそういう世の中になってきちゃってることの比喩なんでしょう。
最初の殺しにはドキマギしてた主人公が2人目、3人目の時にはどんどん慣れていくが見ていて怖かった。