1.《ネタバレ》 菅田将暉と小松菜奈が初めて出会う入江の波立つ情景などは観る側の心もゾクゾクさせてくれるのだが、そのロングショットと
小松の視線、水面の菅田のカットバックが少々ぎこちなく感じられる。
土手のシーンなども、二人の位置関係が不明瞭で、高低差が活きていない。
劇伴や挿入曲も過剰に感じてしまう部分が多く、地方の映画なら尚のこと河川や水路のせせらぎや波音などをもっと活用して欲しいところだが、
ロケーションをロングショットのフレームの中で良く活かし、俳優らを良く動かし、彼らを幾度も水に浸らせて頑張っている。
森の中を風のように駆け、海に浸かり、炎と共に舞う菅田も小松もさすがに達者だが、
これだけ映画への露出が多いと食傷気味にもなるが、本作では重岡大毅がなかなか新鮮なバイプレーヤーであり、ナチュラルな口跡が素晴らしい。
彼絡みのシーンに長回しが多用されているのも頷ける。
バッティングセンターのショット、カラオケバーのショットなど、緩急自在の呼吸でロングテイクを活かしていて感心だ。
快活さとナイーヴさを体現し、一部で科白を噛んだりしているのも逆に自然体の魅力を生んでいる。